顔の見えない相手にも気持ちが伝わる“笑声(えごえ)”のチカラ#029
私が、笑声(えごえ)という言葉を知ったのは、10年くらい前のこと。
当時、私は会社員として働く傍ら、友人が仕事でかかわる『淡路はたらくカタチ研究島』プロジェクトのサポートをしていました。
イベントがあれば広報用の写真を撮影したり、公式冊子づくりのために取材をして執筆したり、そして私自身も研究会に参加したり。前例のないプロジェクトに果敢に挑戦する友人を応援しつつ、私も学びの多い時間を一緒に過ごさせてもらっていました。
その研究島プロジェクトに、奈良でくるみの木を主宰される石村由起子さんが講師として淡路島に足を運ばれ、何度かお会いすることがありました。
あるとき、石村さんに「まりっぺは笑顔もいいけど、いつも笑声(えごえ)で話してていいわね!とても大切なことよ」とお声をかけていただく機会がありました。
笑声(えごえ)――そのとき初めて聞いた言葉でした。なんだろう?と思っていると、石村さんが「声にもいろんな表情があって、人を笑顔にさせる声があるのよ。聴いた人が思わず明るく楽しい気持ちになれるような声がね」と、教えてくださいました。
そんな声があるんだなぁと思う一方で、私の中で自分の母親のことが思い浮かびました。
私の実家は自営業で、根明(ねあか)な母は電話に出たり接客をしたりするときは、いつも明るく楽しそうな声をしていました。
そんな母の姿をずっと見てきたせいか、知らず知らずのうちに、私も笑声が身に着いたのかもしれません。
先日、娘の前で生協さんに電話をしていて、用件が終わって切ったら「お母さん、生協の人と笑顔で話しててずるーーい」と言われました。
なんでずるいねん!(笑)と思いつつ、「声には笑声(えごえ)っていうのがあったね。お母さんも、昔教えてもらったんだけど。電話越しでも、相手の笑顔が想像できるような明るく楽しい声だと、話してて嬉しい気持ちになるでしょ?」と娘に言いました。
娘は「そうだね!明るい声だと嬉しいよね!お母さん、怒るときも笑声(えごえ)で言ってよ~」と言われて、なんでやねん!(2回目)と、とりあえず笑声でツッコんでおきました。
10年くらい前に教えてもらった言葉ですが、今も私の中でしっかり息づいています。
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