ゲームとプラモしか興味がなかったカー君がエッチな漫画買い始めて家族にバレないように隠してた場所の話
ぼくが中学生の頃、小学校からの友達で川田くんという同級生がいた。
川田くんは、一軒家に暮らしていて遊びに行けばお母さんが必ずお菓子を出してくれて、長屋に住んでる貧乏な僕からすれば羨ましいお家だった。
川田くんはお母さんからカー君と呼ばれてたので、それが浸透して川田くんの家に行ったことある友達からカー君といじられていた。
遊びに行くとリビングがカー君の遊び場で、そこでゲームをしたり、漫画を読んだりしていた。
カー君は毎月コロコロとボンボン両方を買ってもらっていてリビングのどデカいテレビの横のショーケースにカー君が作った最新のガンダムのプラモが飾ってあり、ゲームも最新のものを常に持っていて、ホント何回かこの家の子になりたいと思うような生活を送っていた。
ただカー君はそんな生活のせいか結構太ってた。
友達5.6人でカー君の家に遊びに行くと、ゲームと漫画だけでは、みんな飽きてしまい、外で鬼ごっこをやることになっても、カー君はゴネて全然外に出てこなくて、それでも誘ったら、嫌々お母さんの草履を履いて参加した。
普通の体型のスニーカーvs太ったやつのお母さんの草履。
勝敗は歴然。
走りにくい草履で元々足の遅いカー君は、すぐに鬼になり、みんなを追いかけるも全く追い付かず、気付いたら家でロックマンXをしていた。
みんなでもう一度続きをやろうと誘い、靴を履けと説得しても、「どうせまた家入るし」と訳の分からない言い分で草履で出てくるカー君。
みんなは呆れて、こいつにタッチしてもどうせ家に帰るから、あんまりタッチしないでおこうという作戦にでた。
鬼ごっこが再開し、みんなキャッキャ言いながら走り回っていた。
みんな気を使って、誰かが鬼になって他のみんなが逃げても、カー君だけ爆裂遅いから、すぐに追いつくがそれを追い越して別のやつにタッチをしていた。
これで今回の鬼ごっこは円満に終わると誰もが思ったが、何人がタッチされ鬼が変わってを繰り返している内に、カー君はどんだけ逃げても自分はタッチされないことに気づき、みんなが走り回ってる中、カー君だけ家の前で、全体休めのポーズで夕焼け見ている時間が生まれた。
まずい!と思った頃にはカー君はもうロックマンXをやってた。
カー君は、そんなやつだった。
ショーケースに入っているプラモを取り出そうとすればドンドン飛び跳ねて止めに入って、その振動でショーケースのプラモが倒れて、自分でやって自分で泣き叫んでた。
カー君はゲームは得意でロックマンや星のカービィデラックスで最高のプレイを見せてくれていたが、運動になったら全然ダメでガンダムが好きなやつだった。
そんなカー君に大きな変化が起きた。中学生3年の頃に久しぶりに家に遊びに行くことになった時。
約1年ぶりくらいに家に行ったが内装は特に変わっておらず、プラモもゲームも相変わらず置いてあった。
「最近なに読んでるん?」と最新の漫画情報をそれまで何回も聞いた質問をした。
すると、いつもとは違う、少し間を置いてカー君は言った「ラブひなって知ってる?」
ラブひなは少年誌で連載されている、ちょっとエッチな漫画だということはボクも知っていた。
「え?エロいやつやん!そんなんどこに隠してるん?」
僕は言った。この遊び場になっているリビングは広いけど、物が少なく、ショーケースもガラス張りで中身が丸見えだし、カー君の学習机もあるが隠せそうな場所は見当たらなかった。
ニヤニヤしたカー君は、「1番見つからん場所があんねん」と言って、リビングの真ん中にあるコタツの布団をバッとめくった。
コタツの脚の裏に積まれたラブひな全巻!
「ここやったら絶対見つからんねん」
めちゃくちゃ笑った。
どう考えても部屋の真ん中にあるコタツの中に足を伸ばし入らない訳がない。絶対バレる。
カー君の言い分ではカー君はリビングの左奥にゲームをする小さいテレビが置いてあり、その前でずっとゲームをするのでコタツの左奥には家族の誰も来ることがないから、そのコタツの左奥の脚の裏ならバレないと言っていた。
めちゃくちゃ笑った。
「絶対バレるって!めっちゃアホや!
ラブひな温めてるやん!」と言って笑い転げた。
その日、ラブひなを貸してもらった。
めちゃくちゃエロかった。
読んでる最中、これがさっきまでコタツの中にあったと思うと笑ろてしまいそうだったのでコタツがチラつかないようにするのが大変だった。
ぼくはラブひなを見るとコタツを思い出してしまう。