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ぽこピーから学ぶ、VTuberのお洋服の着せ替え方

はじめに

おしゃれになりた~~~~~~い!!!

 2021年5月24日、ぽんぽこが動画において私服を公開した。今でこそ、カニシャツやプライベートのマイヤン姿は見慣れているものの、4種もの私服を公開した時は驚いた里の民も多かったのではないだろうか。

 また、夏休みの朝配信においては、視聴者から応募のあったTシャツを着ていくという驚異のフッ軽さであった。
 前述の私服公開の動画において、「VTuberの衣装はお金や時間がかかる」「もっとオシャレをしたい、私服感覚で気軽に着替えたい」と発言していたが、そう考えてから実際に行動し、コンテンツにまで昇華したその姿勢にはクリエイターとして感動すら覚える。

 リアル世界では下着は2セットのみ、寝間着とスーツの2種の服しか持っていない自分ではあるが、バーチャルの世界では話は別である。
 「もっとオシャレをしたい、私服感覚で気軽に着替えたい」という発言に心を動かされ、自分自身も同様のことを行ってみたくなった。
 ぽこピーの過去の動画、配信、概要欄、Twitterを隅から隅まで参照し、noteやboothで公開されている記事、更には現役のVTuberの方々から直接Unityやお着替えの方法まで教わらさせていただき……辛酸甘苦の末、ついに自分も同様の着せ替え方法を行えるようになった。

 この知識は一部の層にしか役立ちそうにないものではあるが、自分と同じ気持ちになった里の民が「どうやって着替えさせるんだこれ!?」と戸惑うことがないように、また、VTuberがどのようにお着替えをさせているか知りたい人もいないことはないだろう。
 VRoid向けに公開されたお洋服を着せ替える方法を自分なりにまとめてみたので、#PokopeaHappyAdventCalendarを場で公開させてもらいたい。

準備するもの

下記に一覧をまとめた。必要となるツールは多いので事前にダウンロードしておいてもらいたい。一旦はUnityとVRoidStudioのみインストールしておいてもらえれば進めるように項番を用意してある。

VRoidでのお洋服の準備 1. カニシャツ編

衣装編集からプリセットを素体に変更
センシティブ判定くらわないか不安である

VRoidStduioを起動、女性を選択した上で衣装編集、プリセットから素体を選択。名前はとりあえずカニシャツ子ちゃんとした。

衣装を選択

着せる服によって、選択する衣装は変える必要がある。ぽんぽこのカニシャツセットであれば上はTシャツ、下はズボン(ロングコート)で問題ないが、他の服を着せる場合は配布元のサイトやreadmeファイルに記載されているので参考にしよう。

カニシャツを着せる

テクスチャタブを選択してTシャツのレイヤーを差し替える。デフォルト画像を右クリックしてインポートを押せば対象の操作を実行可能。カニシャツの画像ファイルを選択するだけなので、ここまではスムーズなはず。

ダメージデニムを着せよう

次はズボン。ここも同じようにデフォルト画像を差し替えよう。最近デニムくんの出番がないが元気にしているだろうか……

完成図

VRoidでのお洋服の準備 2. 透明化編

この後の作業のために体を透明化する

体型編集を選んでテクスチャを再び選択、服の時と同様に肌を更新する。ただ、インポートするのではなく削除なので注意。

透明具合がガチ恋さんの旦那っぽい

削除することで体部分の描画がなくなればOK

また髪の話してる…彡⌒ミ

後述の服の着せ替え作業のために一旦、髪を体同様に描画させないようにする。髪型編集を選択し、デザイン、ヘアーリストからベースヘアーを右クリックして非表示を選択するだけなので、落ち着いて作業していこう。

服と頭だけにする

VRoidでのお洋服の準備 3. 素体出力編

撮影・エクスポートを選択。左メニューでエクスポートを選択したら、右メニューのポリゴンの削減から透明メッシュの削除をチェック。

そして作成したOKを押してVRMファイルを作成すれば第一段階は完了!ここから先が長いぞ……

Unity準備 Unityと和解せよ

UnityHubを起動してプロジェクトを作ろう

事前にインストールしておいたUnityHubからプロジェクトを作成。一番難関のUnityとの和解が始まる……

Unityが起動すると上記のような画面が開くはずである。まずはUnityで着せ替えを行うために必要なツールを追加していく。

  • UniVRM-0.91.0_72a1.unitypackage

  • kisetene/kisetene_v0.8.unitypackage

  • MeshDeleterWithTexture_v0.8.1b/MeshDeleterWithTexture_v0.8.1.unitypackage

  • 羅生門ツールv1.5.1/RaShowMon_v1_5_1_NoUniVRM.unitypackage

Assetsの欄に上記の4ファイルをドラッグアンドドロップする。拡張子は人によっては表示されないので、その場合は同名ファイルをドラッグアンドドロップしよう。順番はないので上から順に対応していこう。

ドラッグアンドドロップすると確認のダイアログが出るので画面の指示に従ってImportを押す。

Import途中で上のような確認のダイアログが出てきたらAccept Allを押そう。

一旦ここまでで上記のように出ていればOK

インポートしたライブラリが正常に動作しているか一旦確認を行う。カニシャツを着せたいVRMファイルのモデルを読み込んでみよう。UniVRMが登録されていれば、先ほど読み込んだツール群と同様にドラッグアンドドロップで読み込むことができる。

VRMを読み込ませると下のAssets欄にTポーズしたキャラクターが表示されるので、そのデータを画面中央にドラッグアンドドロップすると添付画像のように表示させることができる。

こんにちコンコン~! pokotanで~す!
今日は、みんなにカニシャツの着せ方を教えちゃうぞ~!!

嘘です、使用させてもらったVRMファイルはboothで販売中の京狐ちゃんです、可愛い。モデルをクリックして出てくるXYZ軸の矢印を操作すればモデルの位置を変更できる。変なことになったらCtrl+Zを押せば元に戻せるので、落ち着いて操作してみよう。また、画面中央の部分を右クリックした状態でドラッグしたりスクロールすると視点の変更も可能だ。

Unity着せ替え カニシャツ作成

ここから先は詰まりがちなので注意しよう。慣れないうちは変なことになったらAssetsの中のデータを「Scenes」以外は全て消して最初からやり直す勇気も大切。

 カニシャツ子ちゃんを同じように表示させよう。並べてみると上記のような形となるので、服を着せるモデルと同様に位置を動かしてみよう。
 もし何か変な状態になってしまった場合、画面左のHierarchyの項目から削除すれば画面上から削除することができるので、その後で再びAssetsにあるデータを登録し直すのがオススメである。

羅生門ツールでカニシャツ子ちゃんを服だけにする。服だけにするを押しても羅生門ツールのダイアログは自動で閉じないので、左のHierarchyに項目が増えたらバツボタンを押して閉じよう。

カニシャツ子ちゃん(Clone)が作成されたら、カニシャツ子ちゃんにはもう用はないので、右クリックしたメニューからDeleteを選択して画面上から削除する。

上記添付のようにお洋服だけのデータが完成すればOK。お着替えの準備までが大変だが、後少し……!

Unity着せ替え カニシャツ装備

 当たり前の話ではあるが、服を着ている状態で服を着せることは出来ない。なので、服を着せる側のモデルを素体だけにする必要がある。
 このあたりは購入していたり所持しているVRMファイルの使い方を確認してもらいたい。 基本的に左のHierarchyから対象のパーツを選択して削除すればいいはず。

 カニシャツのデータと服を着せる素体の位置を合わせる。細かい調整は後ほど行うので、現時点では位置感だけあっていれば問題ない。

洋服を着せるツール、kiseteneを実行する。

kiseteneで着せたい服と、着せるモデルをkiseteneの入力欄に指定する。羅生門ツールと同様にHierarchyの項目をドラッグして持っていくか、○ボタンから選択しよう。

後は入力項目を調整して、良い具合に見えるように調整する……!!
満足のいく出来になったら着せるを押そう!(着せるを押してもダイアログは自動で閉じないので注意)

ついに完成!左のHierarchyのpokotan(Clone)がカニシャツを着た版のモデルである。後はVRMファイルとして出力して遊んでみよう。

Unity着せ替え VRMファイルの出力

UniVRMのExport機能を使用して着せ替えしたVRMファイルを作成する。

Export時の設定は上記のように。もし警告やエラーが出ていたとしても、UniVRMの指示に従って解消すれば一通りは解決可能。後はExportをクリックし好きな場所に保存するだけで完了!

作ったVRMファイルで記念撮影をしてみた図

細部までこだわりたいあなたに

中々わかりにくいのだが、上記画像では手を動かした際に肌が一時的に服を貫通してしまっている。他にもモデルの体のサイズに服が合わず、着せる段階で貫通する部分が出てきてしまうなど、そういった事情が発生することも多々ある。

 そういった場合は最初に登録した「MeshDeleteWithTexture」を使用する。モデルの指定の場所を削除することが出来る超便利ツールである。
 肌が服から貫通してしまうのであれば、モデルの肌の部分が存在しない(その部分が何もない)状態にしてしまえばいいじゃない、の悪魔的発想を実現することが可能なツールである。
 服の下は基本的に視聴者からは見えないので、服の下が空洞だったとしても基本的には問題はない。貫通してしまうぐらいであれば、対象の部分を削除して、その上から服を着てしまおう。ぽんぽこも服の下は空洞だったりするのかもしれない……

着せ替えについての余談

 余談ではあるが、私服公開の動画で4種の洋服が公開されていたが難易度としてはカニシャツが一番、導入がしやすい。体感ではあるが難易度としては、「ピ虐研究科>>>プライベート>カニシャツ=冒険家」である。

 プライベートの場合は肌自体をVRoidのモデルの素体にしてテクスチャを差し替える必要があったり、ピ虐研究科の場合は着せる服の量が多く、更にツケテネを使用し眼鏡を装着させるなど非常に作業が多い。
 見えない部分でのぽんぽこの努力には驚かされるばかりである。興味を持ってもらった人には是非チャレンジしてもらいたい。

さいごに

「ぽんぽこにできるなら他の人にも出来る」

 里の民としてあるまじき醜態ではあるが、発言元の動画や配信がどこだったか用意できず、上記のような発言をしていたはずである……

 自分は本職がエンジニアのため、基礎知識やITリテラシーといった部分は一般の方々よりもある部類の人間である。だが、そんな自分でも実際に着替えさせて、動かして、満足の行く出来になるまでは困難の連続で何度も心が折れそうになっている。

 それを最後までやり抜くことが出来たり、多少プライベートや仕事でやらかした際も、上記の発言には何度も何度も、勇気と自信と元気をもらっていた。

 最後に、普段のハードスケジュールの合間を縫い、必要な技術をゼロから習得し、実際に成し遂げたぽんぽこに最大限の敬意を表して、あの言葉で締めさせてもらいたい。

ぽんぽこかしこい!!!

明日の#PokopeaHappyAdventCalendar律🍃🥜さんのピーナッツくんの音楽についてである。楽しみだ……

参考にした資料

下の資料を見ればこのnoteいらなかったのでは……?


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