#中東情勢について
イスラエルがアラブ首長国連邦と国交正常化で合意した。
アラブ諸国では1979年のエジプト、94年のヨルダンに次ぐ国交樹立である。
イスラエルのネタニヤフ首相とUAEのムハンマド皇太子、仲介したトランプ大統領が電話会談で合意した。
アラブ諸国はイスラエルと4度の戦火を交えた。アラブ諸国側には、土地を追われたパレスチナ人を同胞として支える大義があった。
今回、イスラエルとUAEが歩み寄ったのは、共に敵対するイランの脅威である。アメリカを中心とするイラン包囲網の構築が狙いだとすれば、同じようにイランと敵対するサウジアラビアも加わる可能性がある。
そうなれば、アメリカが支援するイスラエル、UAE、サウジアラビアなどの反イラン陣営(イスラム教シーア派側)と、ロシアと連携するイラン、トルコ、シリア、イラク、イエメンなど親イラン陣営(イスラム教スンニ派側)による中東の分断が広がってしまう。実際にイエメン内戦では双方の代理戦争が続いている。
パレスチナ問題にも目を向けなければいけない。イスラエルとパレスチナ自治政府による直接交渉は事実上、破綻している。
アラブ諸国はこれまで、イスラエルが違法な占領地から撤退し、パレスチナ国家の建設を認める「二国家解決」を受け入れるならば、引き換えに国交正常化するとしてきた。
イスラエルはUAEとの合意を受けてヨルダン川西岸の入植地を併合する計画を一部凍結するという。イスラエルとアラブ諸国の和解は、パレスチナ国家の独立を目指す和平と一緒に考えなければならない。求められるのは、中東の分断ではなく、共存と共栄だ。
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