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まだ僅かに血を流す唇を指で拭ってやるとビクリと震えあがったのが分かった。
怖がらせたいわけではなかった。
ただの言い訳。口にはしなかった。
無理矢理連れ帰って、リヴァイを寝室に押し込む。本当は風呂で温まらせてやって甘い紅茶を淹れてやりたい、ほぅっと一息つく姿を見たい。
しかし、リヴァイは怯えて泣くばかりだ。
翌日も、あの綺麗好きのリヴァイが部屋から出てくることはなく、眠ったのか、眠らずに朝を迎えたのかも分からない有様だった。そしておそらくは眠っていない。食べも、眠りもせず、怯えるばかり。
精神科か心療内科とは思っても、「前世の記憶からのPTSD」など何処も専門外だろうし、気が触れている、さもなくば妄想、妄言だと思われるだけだろうと溜息を付いた。
誰か、せめて「前世の記憶」に理解がある誰かを考え、1人だけ思い浮かんだ人物を尋ねようと決めた。
現世での面識は一度だけ。リヴァイに会わせてもらっただけだが、彼女なら、何か知恵とはいわずとも治療の道を見つけてくれるかもしれないと淡い期待を抱いた。
『…はい』
「あぁ、突然すまない。俺だ、エルヴィン・スミスだ」
『エルヴィン!?どうしたの!?リヴァイはどうしてるの!?』
「…それなんだが…」
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