「正直、久々に神経にキた」 戻るなり、開口一番ナナバが言った。 ミケが無言で差し出すコーヒーに礼を述べてため息を付く。 「どうして、あぁなったのか…「いつから」なのかが気になるところ…」 疲れを隠さずに述べられた同僚かつ恋人の感想に、何を言うでもなく、ミケはその頭を撫でた。職場でやめてよと言うが、ちゃんと人がいないタイミングを見てしていることは理解してくれているようで、それ以上のお小言はない。 「偶然の再会ではないということか?」 「そう」 麻薬取り締まりで踏みこんだ
会社を出てから、誰かに後を着けられているのは分かっていた。 裏路地で撒くつもりだったが、その判断は間違いだった。 じりじりと詰めてくる距離。目深に被ったフードから零れるのは肩あたりまで伸ばされた髪。気配がおかしい。 「…兵…いえ、リヴァイさん…?」 「…お前…、エレンか?」 「驚いた。あなたにも記憶があるんですね」 フードを外したかつての部下かニコリと笑った。懐かしい顔だと思った。アルミンやミカサにも断片的だが記憶があるとコンビニの前で話し込んで知った。 「相変わらず
まだ僅かに血を流す唇を指で拭ってやるとビクリと震えあがったのが分かった。怯えられているのは不本意だが、手を上げた以上仕方がない。だが、あれ以上、リヴァイが自分を卑下する言葉を聞きたくなかった。 無理矢理連れ帰って、リヴァイを寝室に押し込む。本当は風呂で温まらせてやって甘い紅茶を淹れてやりたい、ほぅっと一息つく姿を見たい。あの、至福とも極上とも言える時間をもう一度やり直したい。 しかし、今となっては遠い昔のように感じる。僅か三ヶ月前に、そこにあった光景。 「…何か食べるか
同人メモ エルリ 現パロ 「今日も遅いのだろう?俺も遅くなりそうだ。先に帰れても待っているから夕食は一緒に食べよう」 要は「賄を食べてくるな」ということか、もしくは「賄を食べても夜食として一緒に食べろ」ということだ。半ば強引にワンルームに住み着いたエルヴィンは何かにつけてリヴァイに食べ物を勧める、もしくは買ってくる「いらん」と言うと、「じゃぁ捨てるしかないな」と、リヴァイがそれを嫌がることを知っていて、そう言っては時間をかけてでも食べさせようとする。「少し太れ」は何度も聞
「エルヴィン、悪いけど席をはずして欲しい」 ハンジが提案したのは催眠療法。ヒプノセラピー。 催眠状態に入って自分の内面と向き合いながら、悩みやストレスの原因を探ったり、解決の糸口を見つけたりする療法。現実ではエルヴィンは目の前にいて、巨人はもういない。命を常にかけている極限状態が普通だった頃とは大きく違う。死が隣にいた頃とは精神状態やストレス耐性も勿論違う。 「顕在意識」と呼ばれる起きている状態。それに対する「潜在意識」は普段はほとんど自覚していない意識を言う。ヒプノ
まだ僅かに血を流す唇を指で拭ってやるとビクリと震えあがったのが分かった。 怖がらせたいわけではなかった。 ただの言い訳。口にはしなかった。 無理矢理連れ帰って、リヴァイを寝室に押し込む。本当は風呂で温まらせてやって甘い紅茶を淹れてやりたい、ほぅっと一息つく姿を見たい。 しかし、リヴァイは怯えて泣くばかりだ。 翌日も、あの綺麗好きのリヴァイが部屋から出てくることはなく、眠ったのか、眠らずに朝を迎えたのかも分からない有様だった。そしておそらくは眠っていない。食べも、眠
ネタメモ。 引きずるようにして地下駐車場を出て、腕がちぎれやしないかと、ふと心配になる。抵抗しているが憔悴した身体からは力がまるで感じられない。命を賭し続けたあの頃とは違い、少なくともこの国に生まれれば「命の危機」はそうそう身近に転がってはいない。 苛烈なフラッシュバックだったのだろう。記憶を夢にも過去にも置くことも出来なかった辛さ。全ての記憶があった自分とは違う。愛され、残された者の苦悩を理解できるとも言えない。 部屋に強引に部屋に押し込んで、赤子をあやすかのように
雑踏で再会した。大勢の人間が行きかう中で、目が合って、すぐに名前を呼ばれた。 「エルヴィンっ」 すぐに名前を呼び返した。 「リヴァイっ」 呼び合うかのように出会った。それが再会。 年齢は15も離れていた。 大学生と四十路手前。だからなんだ。 すぐに想いを伝えて、リヴァイには断片的にしか記憶がないことを知る。特にエルヴィンの死の間際の記憶は曖昧過ぎだ。多少の衝撃はあったが、そんなことはどうでもいい。ないならないでいい、今はそれよりも再会できたことと、すぐにでも連れ去っ
(ネタメモ。 進撃 エルリ 現パロ)名前は何人か出るけど大学生ハンジとリヴァイ。社会人(偉い)エルヴィン前の続きメモ。 「なら、話す意味なんかねぇだろうが」 「原因を取り除けばYESの返事がもらえる可能性が上がる。大いに意味があるだろう?」 さきを促すエルヴィンに抱きすくめられたまま。逃げは完全に封じられている。 「まずお前は週刊誌に追われている。指輪を外して昨日の今日。もうネットで流れている自覚はあるか?」 …ハンジからの情報。140文字で気軽に氾濫する情報の一つに過
(ネタメモ。 進撃 エルリ 現パロ)名前は何人か出るけど大学生ハンジとリヴァイ。社会人(偉い)エルヴィン前の続きメモ。 「はぁ!?」 「俺の家で一緒に暮らすのが嫌なら、別の家を探すかした方がよさそうだが、暫くは俺がここに住む方が早いと思ってな」 左手にボストンバッグ。高く掲げられた右手に勝手に作った鍵。大真面目にふざけやがった。正気か、とか、本気か、とか聞く方が馬鹿らしい。当の本人はポケットに鍵をしまうと、「しかし寒いな」などと言いながら、自分の巻いていたマフラーをリヴァ
(ネタメモ。 進撃 エルリ 現パロ)名前は何人か出るけど大学生ハンジとリヴァイ。社会人(偉い)エルヴィン前の続きメモ。 「何故?同じ時代、同じ空の下で出会うことができたのにそう思う?私の家が気に入らないか?」 「…お前が載っている、雑誌を見た」 エルヴィンの家を出た後、レポート用紙を買うつもりで寄ったコンビニで見かけた。ハンジが言っていたのはこのことかと微かに手が震えた、国内の代表的とも言えるビジネス誌の表紙のカバーを飾っていたのはエルヴィンだ。手に取ると雑誌に踊るのは称
(ネタメモ。 進撃 エルリ 現パロ ) …ジムに行ったら、なんかエルヴィンがめちゃくちゃ走っていた。 早い。ランニングだとかジョギングなんて速度じゃない。疾走している。走っているエルヴィンよりも走らせているドレッドミルの方が大変そうだ。 おいおい、軽く人だかりができ始めてるぞ。 「エルヴィン」 「……。」 夢中になり過ぎて気づいていない。 「おいっ!」 「ん?あぁ、ナイルか」 マシンから降りて汗を拭く姿に、周囲にいた何人かの女が振り向く。水分補給にボトルを傾けた時はちょ
(ネタメモ。 進撃 エルリ 現パロ ) 「口を開けろ。入れてやる」 …懐かしい響きと思った。 「どうだ?」 「あぁ、今日のも旨いな」 一緒に暮らしはじめてから、リヴァイは早朝のバイトを辞めた。正確には、辞めてくれとエルヴィンが頼んだのだ。早朝のビル清掃のアルバイトの為に、夜明け前に家を出る。そのまま大学へ行って、夜は深夜までステーキハウスでバイト。 彼なりのプライドもあるだろう、学費の援助を拒否するリヴァイに、夜のバイトまで辞めてくれとは言えない。だが如何せん、
(ネタメモ。 進撃 エルリ 現パロ)名前は何人か出るけど大学生ハンジとリヴァイ。社会人(偉い)エルヴィン前の続きメモ。 朝食の材料を買ってきてくれた。リヴァイ曰く、一食に500円以上かけるなんてありえないらしい。 「俺なりに奮発したから文句は言うな。キッチンを借りるが、味についても文句は言うな」 「リヴァイが作ってくれるのか?それで文句などあるわけがない!」 どうでもいいが、さっさと着替えろと言い残して、リヴァイはキッチンへと姿を消した。エルヴィンはというと昨日、リヴァ
(ネタメモ。 進撃 エルリ 現パロ)名前は何人か出るけど大学生ハンジとリヴァイ。社会人(偉い)エルヴィン前の続きメモ。 …夢を見なくなった。 こんなにも不安や心配もなく、幸せに眠れたのはいつ以来だろう。不安を駆り立てるような夢は 突如として終わった。あとは幸せになるだけという夢の続きは、現実でということか。まだぼんやりとする頭でそう思い幸せを思い描いて、異変に飛び起きる。 「リヴァイ?リヴァイ!!」 いない。昨夜は確かに腕に抱いて眠ったはずだ。几帳面に畳まれてベッドの
(ネタメモ。 進撃 エルリ 現パロ)名前は何人か出るけど大学生ハンジとリヴァイ。社会人(偉い)エルヴィン前の続きメモ。 「お前だけが気がかりだった。…と言っても、信じてもらえないかもしれないが、気がかりだった」 「…遅い」 「本当だな」 「本当だ」 「…泣かせてしまったな…リヴァイ」 エルヴィンがいた。間違いなく自分の探していたエルヴィンだ。 自然と涙が溢れてくる、目の前にしゃがみ込んで、その涙を逞しい指で拭ってくれるエルヴィンがいる。 「泣くなとは言わない。好きなだけ