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最近の記事

古い紙切れ

 特に万人受けするような話ではないし、ひっそりとあの部屋の隅っこにあるちいさなテーブルで、古い紙切れに書きつけて、その小さなテーブルの簡素な引き出しの一番奥のほうにしまっておくつもりでこれを書いておくよ。  これは要するに、僕と、フィクションと、その両者のあいだにあるものについてのおはなしなんだ。本当は誰のそばにでもあるおはなしで、それに気付いたり、気づかなかったり、見え方が違ったりするだけのおはなしなんだ。僕は長い間ずっとこのことについて考えてきたし、かといって大した答え

    • 客体化される日本サブカルチャー──『ブルーアーカイブ -Blue Archive-』からみる文化の交換可能性について

      Ⅰ はじめに 本稿は2021年にサービス開始された、スマートフォン向けゲームアプリ『ブルーアーカイブ -Blue Archive-」』(NEXON Games開発・Yostar運営)を足掛かりに、近年存在感を増すスマホゲーム市場に見られる興隆を国内の文化的な流れの中に位置付け、さらにその現状と本作の将来的可能性を検討するものである。  『ブルーアーカイブ -Blue Archive-』(以下、「ブルアカ」)は、「学園都市キヴォトス」に赴任した先生(プレイヤー)が、そこで発生す

      • 私の幽霊

         ある晴れた春の日の午後。青々とした銀杏の木を見上げながら、私は小さな公園のベンチにぼんやりと腰掛けていた。あたたかな陽気は魂を緩ませ、爽やかな草木の香りは風となって、それを遠い土地へと綿毛のように吹かせてしまった。飛び去った魂はどこか遠い土地から我儘な引力を発し、私の身体はここにありながらも、どうしようもなく旅を欲していた。  人が旅を求める。それは、退屈な日常から脱するためであり、息苦しい人間関係から解放されるためであり、新天地を目指す本能的好奇心に逆らえないためでもあ