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お似合いのフタリ?
「さて問題です。
あなたは彼が健やかなる時も、病める時も、彼を夫として生涯愛することを誓いますか?」
「うーん。辞める時はちょっとイヤかも・・・」
「いや、今のところ会社を辞める予定はないから。大丈夫!」
「生涯っていうのも正直いうと自信ないかも・・・」
「その辺は臨機応変でいいの!」
「・・・・・・」
「何悩んでるわけ?」
「・・・・・・」
「まさか・・・シンキングタイム?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・悩みすぎじゃない?」
「・・・はい、誓います」
「ファイナルアンサー?」
「・・・・・・」
「ファイナルアンサー!?」
「・・・やっぱり、ライフラインを!」
「使うのかよ」
「テレフォンで」
「何で式の最中にスマホ持ってるんだよ」
「あ、タカシィ?久しぶりー!元気だったあ?」
「しかも元カレにかけちゃうわけ!?」
「実はねー、今結婚式の最中なんだけどー」
「世間話してる場合じゃないよね?」
「うんうん、そうなの。迷っちゃってて。そうそう。でね、問題なんだけどー・・・・・・あっ!」
「答え聞く前に時間切れちゃった」
「もう一度ライフラインをお願いします!」
「まだ使うの?」
「今度はオーディエンスで」
「わー・・・この期におよんで親族会議が始まっちゃった」
「どうしよう・・・決められない・・・」
「親族も、何で今さら意見が分かれてるの?」
「仕方ない、最後はフィフティー・フィフティーで!」
「一族郎党揃いも揃って決断力なさ過ぎ」
「つまり答えはイエスかノーの二つに一つってことね・・・」
「当たり前じゃん」
「もうこうなったら女のカンで・・・」
「こっちもいい加減カンにさわってきたかも」
「はい、違います」
「・・・どっちだよ」
「ちっ、ばれたか。小声で言ったのに」
「ヘタな小細工はもういいから」
「はいはい、誓います。誓いますってば。もう!これでいーんでしょ?」
「何でそんな投げやりな態度なの?」
「ファイナルアンサー!ファイナルアンサー!」
「だから何でヤケになってるわけ?」
「答えはどっち?ねえどっち?さあどっち?」
「・・・・・・」
「あー、この妙な沈黙がイヤなのよね!」
「・・・・・・」
「神様仏様・・・」
「・・・ここは教会だからね?」
「お代官様」
「また、昭和の小学生みたいなギャグを・・・」
「うるさいわね、早く言ってよ!」
「・・・正解!」
「はああ・・・正解か・・・」
「ねえ、何でそこでため息つくの?」
「私・・・ここでドロップアウトします」
「・・・意味わかんないんだけど」
「ミリオネアと玉の輿婚するのが子どもの頃からの夢だったけど」
「どんな夢だよ」
「いいの私。平凡なアナタとささやかに、つつましく生きていくって決めたから」
「それって誉めてるのかけなしてるのかどっちかなあ?」
「せめて違いの分かるキスをしてね!」
「誓いのキスだから!」
「その後はタイヤ交換で」
「指輪交換だし!」
「そんでもって疲労宴かあ」
「披露宴だって!」
「ぷぷ。新郎もたいへんね」
「うん。もう心労でへとへと・・・・・・」
・・・・・・お幸せに。
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