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ツイてない男

お題

「うわあぁっ!いやぁ、いまのは怖かった・・・」

いったい、何があったというのでしょう。

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世の中には、とことんツキに見放された人間というものが、まれに存在する。
ボクは確実に、その、まれな存在の一人だ。


水曜日。
久々に入ったパチンコ屋で、大負けした。
一瞬当たりが来たと思ったのが、間違いの元だった。
我に返ると、財布の中にはわずかな小銭しか残っていない。
2週間分の生活費をつぎ込んでしまっていた。あとの祭りだ。


木曜日。
いつものように遅刻すれすれで会社に着くと、入口が封鎖されていた。
何と!わが社は倒産したらしい。
出された同僚や上司達が、携帯電話であちこちに連絡を取っている。
ボクも取引先に電話をしようと慌てて鞄をさぐったが、携帯電話がない。今日に限って家に忘れてくるなんて。
この非常事態に、と上司からは叱られ、同僚からは冷たい視線を浴びた。
よく考えると、すでに会社は倒産したのだから、彼らは元・上司と元・同僚なわけだ。
そんな彼らに叱られ馬鹿にされるというのも、何だか情けなかった。


金曜日。
ボクの住んでいるアパートの隣人がボヤ騒ぎを起こし、ボクの部屋までが水浸しになった。
家具も電気製品も、ほぼ全滅。
修繕が終わるまで、誰かの家に泊めてもらおうにも、そんなことを頼めるほど親しい友人もいない。
ホテルに泊まろうにも、失業者の身では、そんなお金をかけることもできない。
大家さんに泣きついて、何とか無事だった別の部屋を、しばらく貸してもらうことになった。


そして今日、土曜日。


「うわあぁっ!」
自分のあげた叫び声で、目が覚めた。
心臓がどきどきいっている。
何か変な夢を見たような気もするけれど、目が覚めた瞬間に、内容は忘れてしまった。
パジャマ代わりに着ていたTシャツが、汗でぐっしょりと濡れている。
暑い・・・・
ここ数日の熱帯夜のせいかも知れない。
この部屋にはエアコンもないのだ。


ボクは仕方なく、Tシャツだけを着替えると、そのまままた横になった。
ツいてない。どうしてこんなにツいてないんだ。
ボクが一体、何をしたっていうんだ。
まったく・・・


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・・・
ちょっとお。
ツいてないツいてないって、失礼ね。
ツいてるわよ!


毎晩毎晩、枕元に化けて出てるのに、この男ったら、何でちっとも私に気がつかないの?

昼も夜も憑きまとっているから、おかげでこっちが寝不足だわ。
最低!

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yotsuba siv@xxxx
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