It's my fault
色んなこと、そう、本当に色んなことを話し合い、ようやく僕たちが出した結論だった。
あなたとの未来が見えないの、と言って君は泣いた。
未来はふたりで一緒に作っていけばいい、そう思っていた僕はうつむいた。
こぼれたミルクは元には戻らない。
道を違えてしまった僕らふたりも、元には戻らない。
もう、君に投げつけるどんなひどい言葉も思い浮かばなくなって、もう、君に投げかけるどんな甘い言葉も思い浮かばなくなって、残ったのは愛情でも同情でもない、なんと表現すればいいのか分からない混沌とした思い。
たった一つの答えを導き出すために、僕たちが費やしてきた気の遠くなるような負の時間。
小さな欠片を根気よくはめ合わせて、ようやく形が見えてきたパズルに、実は何の絵も描かれていなかったことを思い知る瞬間。
君と、君の荷物がなくなった部屋には、僕らの未来の残骸ばかりが残っている。
僕らが出会ったことに何にも意味がなかったのなら、どうして僕らは出会ったんだろう。
昨夜君の夢を見たんだ。
夢の中だと分かっていたのに君はどこまでも生々しかった。
僕の下でいつもしていたあの少し苦しそうな、でも上気した顔をして、切なくもらすためいきのような声までが生々しかった。
夢の中だから大丈夫、そう思って、僕は君を抱きながら少し泣いた。
目が覚めたとたんにめまぐるしく過ぎていく現実に、小さく逆らって、でもやっぱり流されて。
暗いニュースに胸を痛めることはあるけれど、だからといって何ができるでもない。
明日を憂うことはあるけれど、そんな気持ちは煩雑な日常にすぐに埋もれてしまう。
精一杯のところで生きているんだから、と言い訳ばかりがうまくなってゆくこずるい自分に時々嫌気がさして、でもみんなそうなんだからと言い聞かせて、ため息をつく。
仕方ないという言葉は好きじゃない。
だけど、どうしようもない、仕方のないことだってある。
もう、君とは決して交差しない人生を、僕は、君の影を引きずって生きてゆく。
どうか幸せに。
僕とはできなかったことを、これからは。