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VRにおける「大人のタッチセラピー」の可能性について


この記事の言いたいことをまとめ

VRの世界では「VR感度」というものがあり、これを利用して実際には触れていないにもかかわらず、疑似的な身体的接触を通じた触れ合いをすることによって、身体的接触が少なくなる大人(青年以降)向けへのタッチセラピーになるのでは?
ということを、本記事の筆者はこべらが思っているということを長々書いています。

実際VRChatをしっかりとやったことがある人は、触れ合いについて色々経験した方が多いと思います。ポジティブやネガティブかは別として、触れ合いについての現実とは違った可能性を感じている方も多いと思います。

日本のVRChatでは美少女アバターの使用者が多く、また撫で合い等の文化をはじめ、一部のVRChatterの奇行等を取り上げて、たびたび「奇異な目で見られる世界」で扱われることがあると思います。
実際、そういった面もあると思いますし、VRChatterの方々がVRChatを紹介する際に自虐を含めてそう紹介していることもあります。
僕自身も興味を引くために、そういったニュアンスを含んで紹介する場合もありますし、それで新規ユーザーが増えるのが悪いとは言えません。

ただ、そのVRにおける触れ合いや交流について「一部の人たちの愛好」とするのはすごくもったいないと思っています。
現実で何か悩みや精神的な不調を感じている方が、気軽にVRの世界でポジティブになれるなら、それはすごく素晴らしいことですよね。
しかし、一部の情報によって「奇異な目」で見られることを恐れて、VRの世界へ入らないという選択肢を取るのであれば、それは残念なことだと思います。

だから、もう少し真面目にVRの触れ合いについて考えてみたいな、ということがこの記事の内容です。

それに伴い、可能性について考えるために僕がVRChat上でフリーハグ等をやっている場合があります。という話です。

VRでの身体的接触について

本題に入ります。
日本独特のVRChat文化なのかわかりませんが、「撫で合い」が一部のコミュニティでは一般化しています。
「撫で合い」というのは、読んで字のごとく、お互いの頭を撫で合う行為です。
その文化自体は、やっていないコミュニティもあると思いますが(僕自身も普段はやりません)、広く知られるコミュニケーション手法なことは間違いありません。

VRChatを始めたとき、僕は結構その文化に衝撃を受けましたがすぐに受け入れることができました。
これって結構すごいことだなって思います。
現実社会での大人の世界で考えると、プライベートな空間でのワークショップ等でなければ、これを「撫で合い」を行うことの拒否感を払拭するのはかなり難しいと思います。
特に日本人はハグなどの身体的接触を行う文化が少ないのも起因していると思います。

日本人の傾向として(海外の方は存じ上げません)、大人になると「身体的接触」を伴うコミュニケーションを行うことがかなり少ない印象です。
大人同士の身体的接触は、性的行為を除くと、コンタクトスポーツ等の文化的活動でもやっていない限り、自然に接する機会はほとんどないのではないでしょうか。

ハグ等の身体的接触の効果にはセロトニンやオキシトシン等の通称「幸せホルモン」を分泌させる効果があるそうです。
精神面や身体的にもリラクゼーションやセラピー的な効果が期待できるとのこと。
これは大人同士に限らず、子供やペット等の動物でも効果があるとのことですが、パートナーやペットがいない方は身体的接触を行う機会というのは、金銭的な出費をして行う方法しかないというのも少なくないと思います。

しかし、お金を払って双方向コミュニケーションが可能な身体的接触をしに行く人は「セラピー」を目的にする人は少ないと思ますし、個人的には「セラピー」目的に行くには金銭的な負担が大きいものもたくさんあります。
また、子供に対しての身体的接触ももちろんセラピー的な要素も期待できると思いますが、対等ではなく与える側になることが多く、脳の反応的には効果があるかもしれませんが、精神的充足までできるかは難しい場合もあると思います。(僕自身には実際に自分の子供はいたことがないので、あくまで甥姪等とのコミュニケーションからの想像です)
ペットに関しては、すみませんが動物との関わりをほとんど持ったことがないので、コメントできません。

そこで、VRを使って精神的な療養(セラピー)を目的とした身体的接触に活用すれば良いのではないか。というのが今回の話です。
前段が長くなりましたね。


VR睡眠のイメージ

VRでの身体的接触にセラピー効果はあるのか

VRChatで、自然発生的に「撫で合い」という文化が行われているのには、多分そういった効果を無意識的に感じてやっている人が多いのではないかなと僕は思っています。
「撫で合い」だけでなく、「VR睡眠」といったものも一般的に行われており、これらは大人になってし難くなった、距離感の近い人と人とのコミュニケーションを求めてやっているのだと思います。

個人的には、セラピー効果があるとは確信していますし、そう感じているメタバース住人は多いと思います。
しかし、一切VRに触れたことがない方には全然理解ができないと思いますので、VRについて語っているポッドキャスト回があるので、聞いてみてもらえるとなんとなく創造ができると思います。

キーワードとしては「VR感度」です。
ちなみに、「VR感度」は日本バーチャルリアリティ学会の論文などで使われるちゃんとした言葉とのことです。
最近は「VR感覚」と呼ぶ人も多い気がしますが、個人的にはこの感覚の度合いは人によってかなり違うことから「感度」という言葉のほうがしっくりきます。
ちなみに私は「VR感度」はほとんどありませんが、なくても精神的作用はあります。(だからこそ可能性を感じています)

確信はしているのですが、しっかりとした根拠はどこにもないので、医療関係者でもあるポケ沼プレゼンターの1人のオーマ氏に「VRにおける大人のタッチセラピーの可能性について」というテーマで色々相談に載ってもらったのが、上記の三番目のポッドキャストです。

そもそもVRの定義は日本バーチャルリアリティ学会のウェブサイトによると下記の通りなので、タッチセラピーに関しては効果がなければそれはVRですらないって話なのかもしれませんが。(ややこしいですね)

バーチャルリアリティのバーチャルが仮想とか虚構あるいは擬似と訳されているようであるが,これらは明らかに誤りである.バーチャル (virtual) とは,The American Heritage Dictionary によれば,「Existing in essence or effect though not in actual fact or form」と定義されている.つまり,「みかけや形は原物そのものではないが,本質的あるいは効果としては現実であり原物であること」であり,これはそのままバーチャルリアリティの定義を与える.

https://vrsj.org/about/virtualreality/

オーマ曰く、効果を定量的に図るのはかなりハードルが高いとのことですが、主観でもいいから実際に行動して所感を集めることは有意義とのことを言われたので、何か活動していくことが重要だなと思いました。
そのため、何かしらやっていきたいと思っています。

なぜ「VRにおける大人のタッチセラピー」の可能性について期待するのか

僕自身がVRChatを始めた一つの理由が、鬱で人との会話がうまくできなくなっていた時期であり、鬱の回復を含めて人と話したいということがあります。(ちなみにポッドキャストを始めたのも同様の理由で、同時期に始めています)

そこで、VR上でコミュニケーションを取るうえで、会話だけでなく前述の撫で合いなどからバーチャル上の身体的接触等から、精神的な療養に効果があった可能性があると感じました。
実際、VRChatやポッドキャストを始めてから、僕の鬱はかなり回復したと思います。

僕自身はシャイな部分があり、身体的接触を行うことはVR上でも無遠慮にできない性格なため、かなり試行回数は少ないわけですが、それでも効果を感じるわけですから、大きな可能性があると思います。

しかし、VRChatはまだ一部の人たちから支持されているプラットフォームです。
この「撫で合い」という文化も、一般から見ればかなり違和感のある文化であると思いますし、今後人数が増えていくにあたって、この文化を現実を引き合いに「排除」する傾向が出てくる可能性は大いにあると思います。

でも、個人的にはVRだからこその文化によって、救われる人間がいるのであればそれは残しておきたい文化だと思います。
むしろ、現実とは違った世界であることがVRの価値の一つにすることで、現実では様々な要因から生き辛さを感じる人々に行きやすい世界を提供できるのではないかと思います。

だから、ちゃんとその効果を証明して、大義名分を作ることが重要なのではないかというのが僕が考えていることです。
「撫で合い」に限らず、人が幸せを追求をする上での身体的接触を行える世界というのは、素晴らしいのではないかと思います。
むしろ、心の健康を目的に、野菜を食べるようにハグし合える世界があってもいいと思います。
「身体の健康のために野菜を食べましょう」というのが現代の常識になっているのだから、「心の健康のためにハグしましょう」となるのが理想なのかもしれません。
それぐらい大義名分があれば、周りも奇異な目で見ることはないと思います。

ちなみに、別に全員が全員VRにおける身体的接触をするべきとは全く思っていません。もちろん不快に思う人もたくさんいるでしょう。
ただ、多様性の一つとしてお互いに理解していけるのがいいのではないかと思っています。

なぜVRでのタッチセラピーなのか

個人的には現実ではなくVRのほうが、身体的接触におけるハードルが下がり、リラクゼーションやセラピーに向いていると思います。
その仮説を記載していきます。

ルックスに比較的自由さがある

ルッキズムとして糾弾されるかもしれませんが、人と触れ合う上でルックスというのは現実問題かなり重要だと思います。
不快感がないルックスであることによって、身体的接触のハードルが下がります。
倫理的な話はさておき、触れられるならばビジュアルに不快感のない相手と行いたいと思う人がほとんどだと思いますから、アバターを使用するということはルックスをクリアできる可能性が高いということです。
自分が好みのルックスに変えてもらうことすらできます。

実際に触れられることによる不快がない

実際に人に触られるとき、「触り方」というのがかなり影響してきます。
触り方だけでなく、触られる細かい部位だったり、手汗だったり、様々な感触が実際には影響してきます。
しかし、VRでは実際に触られていません。「VR感度」が高い方でも、自分がどう触られたかを感じるのは、自分の思い込みによって変わるわけです。
ということは、相手の「触り方」の影響を大きく受けることなく、自分が捉えたいように感覚をとらえることができるわけです。
そのため、自分が触られることにポジティブな気持ちで臨めば、ほとんどの場合、不快に感じずに身体的接触をすることができるということになります。

なにか他にもあった気がするのですが、忘れてしまったので、検証するなかで新たな発見があり次第、追加していきます。


フリーハグ活動のイメージ

フリーハグ活動について

話は戻りますが、このタッチセラピーの効果についての所感を集めるために、フリーハグ活動をしてみようかなと考えています。今後、何か別の方法等を思いついたら、そちらを行うかもしれません。

とりあえずフリーハグを行ってみて、自分がどう感じたかをまとめていきます。また、可能であればフリーハグに参加してくれた方にもアンケートや感想などを聞いて、知見を広げていきたいと思います。

この活動は個人的な検証の活動ではあるので、フリーハグに参加してくれる方に何か与えられるものではないかもしれませんが、フリーハグを通じて何か感じたものがあれば、ぜひその感想について聞いてみたいです。

正直、僕はシャイなほうだと思うので、この活動もそんなに定期的なものとしてできない可能性もありますが、頃合いを見て報告していきたいと思います。

ちなみにフリーハグについては下記の通りの方針で行うつもりです。

自分から近づいてハグはしません。近づいてきていただいた方にだけハグします

僕から積極的にハグしにいくことはありません。
手を広げてサインを出します(お声がけする場合もあります)ので、ハグができる範囲に近づいてきましたらハグを開始します。

誰にでもハグします

基本的には、近づいていただいたらハグします。
どんな見た目でも構いません。
身長に大きい小さいがある場合は、こっちでもサイズ調整して行いたいと思いますが、非常識に大きいのは避けてもらえると嬉しいですね。周りに迷惑になるので。
基本的には「受け入れられる」という時点でセラピーだと思いますので、こちらから原則拒否はしません。

ただし、明らかに悪意のある行為をされた場合は拒否するかもしれません。
拒否というより、多分ワールドから消えます。
周りから見て明らかに悪意があると思われるようなよっぽどのことじゃない限りは拒否しないと思いますし、なるべく拒否はゼロで行きたいと思います。

ハグは最大30秒。満足されたら好きな時に離れてください。

ハグの効果として30秒行うとストレス軽減に良いという話があります。
ただし、何度かやってみましたが、30秒は結構長いです。
特にVRなので、触られている感覚は人それぞれです。
実際に触られていると、いろんな感覚が刺激されて30秒も短い時間かもしれませんが、VR感度が低い方に関しては、虚空に手を添えている感覚になってしまう可能性もあります。
かくいう僕がそうなので、30秒は長く感じました。
そのため、僕自身は最大30秒行いますが、満足されたら離れていただければと思あまりに

ハグと同時に、頭をなでたり、背中をポンポンしたりするかもしれません

VR感度は見た目から感じることが大きいと思います。
ハグをやってみて思ったのは、ハグには動きが少なく、想像できる余地がすくないなと思いました。
そのためハグだけでなく、少し動きをつけたほうが触れられている感覚が大きくなるかなと思いましたので、頭をなでたり、背中をポンポンしたりするかもしれません。
もちろん、セクシャルな部分を触らないように最大限気を付けます。


セクシャルな部分における問題点について

VR上とはいえ、身体的接触を伴うので、これをセクシャルに感じられる方はいらっしゃると思います。
僕自身はタッチセラピーという観点やフリーハグの活動について、セクシャルハラスメントを行うつもりは一切ありません。
こういった行為には、触れる部分等もかなり気を遣う必要があり、お互いの同意があることが前提になりますが、なにかしらですれ違いが起こる可能性は否定できません。
それこそ、その場は良くても、後になって不快になる場合もあると思います。それは仕方ありません。そう感じた事実は事実です。

例えば直接アンケートを取る場合、そのアンケート内容がセクシャルに感じられる場合もあるかもしれません。
例えば、「最近、現実ではハグ等の身体的接触はしましたか?」等です。
それはパートナーですか?等と追加するかもしれません。
この質問に、僕としてはセクシャルな意図はありませんが、答える側の方によってはセクシャルと捉えられる可能性は大いにあると思います。
もちろん、回答を強制するつもりはなく、あらかじめ答えたくない質問は答えないで良いという説明はしますが、そういうアンケートを取られた時点でそう感じるかもしれません。
しかし、そのリスクを恐れていては何の情報も集められないので、了承が取れる場合に限り、質問などはしていく可能性があります。

僕自身は、相手にそう思わせないように細心の注意を払いながら、コミュニケーションを取るつもりですが、不快に感じさせたら申し訳ございません。
僕の実力不足です。

ご協力していただける方へ

フリーハグ等の活動にご協力いただけた方には大変感謝いたします。
この活動は完全に僕個人の趣味の範囲内の活動であり、ご協力いただけた方には何かメリットがあるものではないかもしれません。
ただ、この活動によって何か感じ取ってもらえるものがありましたら大変嬉しいですし、ご意見(ポジティブ・ネガティブ含む)がありましたら、是非ともお伺いしたいです。

VRの世界が「あなたにとって居心地の良い世界である可能性がある」ことを伝えられたらいいなと思っていますので、よろしければご協力いただけますと幸いです。

終わりに

僕自身の考えと活動について書きました。
これは、フリーハグ等の活動をするにあたっての説明を事前に読んでもらったり、一人一人に事細かに説明することを省くための記事です。
フリーハグをやるというと、「スケベな心でやっているのでは?」という風に疑われることもあると思うので、自己保身のためにも考えを記しておくといった目的のものです。

フリーハグではない何かをやる可能性もありますし、正直僕はこういう活動はそんなに積極的ではない人なので、どこまでやれるかわかりませんが、とりあえずやってみようかなと思っています。

協力いただいているオーマには色んな論文とか紹介されていて、徐々に読み進めているのですが、まだうまく記事に反映できていません。
そのうち、VRにおけるセラピーのエビデンス等もしっかり記載していきたいなと思います。

そういえば、日本人が集まるワールドである「FUJIYAMA」には、フリーハグのタグがあったのですが、ピンク色の「♡フリーハグ♡」となっており、すごくいかがわしい感じがして使いたくないなって思っていたのですが(Xでも苦言を呈してました)、最近行ってみたら♡はなくなっており、タグの色も黄色になっていました。
これなら使えそうです。すごく嬉しい対応です。

イメージ写真の撮影にお付き合いいただいたフレンドのLilis Viiさん。
ありがとうございます。
この活動について一番最初にVRChatで相談した人でもあるので、大変感謝しております。

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