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ポケカ コンプライアンスゼミ レポート

こんにちは、はるさめです。

2025.1.25 都内某所で行われました、「ポケカコンプライアンスゼミ」なるものに参加して来ました。

主催は やさいさん で、告知のポストは下記の通りです。

以下目次です。


それでは、少し長くなるかもしれませんが、お付き合い頂ければと思います。(全約6,700字)

1. はじめに

 なぜ「ポケカコンプライアンスゼミ」に参加しようと思ったのかは「6. おわりに」に書きます。

 本noteでは、登壇された方が発表された具体的な内容についてはほぼ触れないつもりでいます。
 はるさめの感想をメインに、ポケモンカードゲームで遊ぶにあたって求められるコンプライアンスってなんだろう? というところを掘り下げれればなと書いていければと思います。

そもそも「コンプライアンス」って何?という人向けに、一旦下記引用しておきます。

コンプライアンス【compliance】の解説
(中略) 法令遵守。特に、企業がルールに従って公平・公正に業務を遂行すること。(以下略)

出典: デジタル大辞泉(小学館)

まぁ結局よく分からないですけどね。
それではいってみましょう〜

2. 結論

『著作権などの権利を全く侵害せずポケカを遊んで活動していくのは極めて困難…というか無理! ただし、何をしたらどんな権利を侵害しているのかは、活動するなら、とりわけ人様から金銭を頂く活動をするならば、きちんと把握して活動するべきである。』

 きちんと明文化できる結論はどこになるかな…とぐるぐる思考を回した結果、このような形になりました。長ったらしい結論で申し訳ないです。この当たり前のような結論にどうして至ったのか、以下に書き記そうと思います。

3. これまでモヤモヤしてたけどクリアになった点

 この章では、これまではるさめがポケカで活動していてモヤモヤしていたけど、クリアになった点を少しだけ登壇者の方々の発表内容とリンクさせながら解説しようと思います。
 このnoteで多分一番レポートっぽい部分かも。

3-a. アウトなものがレスバで炎上しても無くならないのはなんで…?

 この項目が個人的には一番の肝です。文章長いよ〜って人もここだけ覚えて帰ってください。お願いします

 具体的な事例をあげることはしないです。
 でも、日々「ポケモンのイラスト沢山見るけど、これって大丈夫だっけ…?」とか「ポケモンカードの画像、SNSにデジタル/実写問わず載ってるけど、これって大丈夫だっけ…?」などとぼんやりもやもやしていました。

ここに対して今回クリアになったのは2点ありまして…

  1. ダメかどうかは公式が決める、自分が判断できるのは権利を侵害しているかどうかだけ

  2. 権利を侵害しているが公式からダメと言われないものには一定の理由が推察される

という事です、1つずつ解説します。

【1. ダメかどうか ではなく 権利を侵害しているか】
 よく目にする「それは著作権違反だからダメですよ」などというレスバ。
一見それらしい事を言っているように見えますが、果たしてこの命題は真なのか?

 ※ここから掘り下げていきますが、法律の文章はなるべく使用せず、噛み砕いて説明できればと思っています。

 そもそも「著作権」というのは目に見えない財産である「知的財産」の中でも著作物を守るために作られた「知的財産権」の1つです。
 例えばはるさめが何か絵を描いたら、著作権は創作と同時に「発生」します。また、権利を有するのは著作者であるはるさめ「自身」になります。

 「著作権」とひとえにいってもその中にはまた様々な「権利」が包括されています。例えばその著作物をコピーなどする「複製権」、その著作物をSNSなどで発信する「公衆送信権」などもあり、著作者は自身の著作物の利用を「独占」している状態になります。

 ふむふむ、だとしたら先述の「それは著作権違反だからダメですよ」という命題は真なのでは?となりますね、どうでしょうか。

 答えとしては、そのセリフを「著作権者」が言っている場合に限り、命題として真です。
 ただし、例えばはるさめの著作物をビーフンさん(誰)が勝手にSNSにあげていて、そうめんさん(誰)が「ダメですよ」と言ってる場合は、偽。全く意味を成さないセリフになります。つまりナンセンス。

どういうことなのか?深掘りします。
ここで覚えたいのは著作権侵害罪の大部分は「親告罪」である点。
 また、「著作権侵害」に対して「差止め請求」が出来るのは著作権者であり、おさらいですが「著作物の著作権者は著作者である」という事です。

 「親告罪」とは、告訴がなければ公訴を提起することができない犯罪を指します。ざっっっくり噛み砕いて言うならば「被害にあった、もしくは侵害された権利者自身が訴えないと、犯罪は成立しないよ」という事です。
また、「差止め請求」も同様です。

 つまり先程のはるさめの著作物の話に戻れば、はるさめ自身がSNSに勝手にあげているビーフンさんに「著作権侵害をしているのでやめて下さい」と言うのは筋が通っている文になるのですが、そうめんさんがいきなり「やめて下さい」と言うのは「あなた何様なんですか?」という状態になるということです。

 掲題に戻りますが、著作権者でもない限り第三者が言及できることは「OKかダメか(許諾するか)」ではなく、「(許諾を受けていなければ)侵害しているか、していないか」のみなのです。

【2. じゃあ侵害しているものはどうして消えないのか】
 さて、ポケカの公式ページである「トレーナーズウェブサイト」の「サイトのご利用」を見てみましょう。

著作権について
(中略)このサイトからは、データのコピー、複製、改変、出版、掲示、電送、配布することは固くお断りします。またこれらのデータを、他のインターネットなどの公衆ネットワーク上で利用することはできません。

「ポケモンカードゲーム トレーナーズウェブサイト サイトのご利用」より

ふむふむ…。
 これを読んでいる方で、「トレーナーズウェブサイト」から「ポケカ」の画像を保存して、SNSに流したことが無い方、いますか? いねぇよなぁ!

 まあ、とはいえSNSなどでポケカを見ない日は無いですね。
 何故なのか。※※ここからははるさめ個人の推測が入りますし、個人の意見になります。ご了承下さい。

 この大インターネット時代において、コンテンツが拡散され生き残っていくには、どうしても「バズる」必要があります。
 見つけたオモロいものをちょちょっと保存して、ちょちょっと誇張したりして、インフルエンサーとかが再拡散する。そしてバズる。
 果たしてその過程において、株式会社ポケモンに対して一回一回許諾を得ている人はいるのでしょうか

 「コンテンツの波及」と「著作権の行使」はどうしても二律背反になるはずです。
 どうしても著作権を侵害せずには現代のコンテンツが成長できないようには感じています。(そういった事をご専門に研究等されている方がいらっしゃったら恐縮ですが…)

 これは完全な個人の推測であり、誤解を生まないように気をつけて言葉を選びますが、現状、ポケカにおいては、「著作権の行使」をすることよりも「コンテンツが波及し、成長する」方がメリットが大きい状態なのかなぁ…と考えています。

大事なのでもう一度言います、完全な推測です。
「公式から許諾を得ている」状態では無いです。
著作権侵害しているけど、権利者である株式会社ポケモンがそれについて起訴していない状態にすぎないのです。

 こういった事から、現在は明らかな著作権侵害コンテンツも、炎上しても消えない理由かな…と考えています。
 みなさんも公式から「ダメだよ」と言われたらきちんと謝って、著作物を取り下げて撤回できる状態にしておきましょう。


3-b. 「私的利用」ってどこまでなの?

(3-a.)がものすごく長くてしかも少しふわふわしていてすみません。
以降は、ゼミで話されていた内容などを備忘録も兼ねて記録していきます。

「私的利用」の範囲なら大丈夫!

 著作物を二次利用などする際にはよく聞くフレーズですが、果たして「私的利用」ってどこまで?って話ですよね。
 この項目では、とりあえず法律や判例などの事実を列挙して、皆さんに共有しようと思います。その上でご自身で判断するのが適切かと

 では「著作権法」において「私的使用」とはどう定義されているか見てみましょう。(「私的利用」だと思っていましたが、「私的使用」が正しいです)

個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用すること

著作権法第三十条第一項より

ふむふむ、「個人的に」や「家庭内」はわかりやすいですね。
その他これに準ずる限られた範囲内」って…どういうコト!?

ここについては最近の判例を出した方が良いですね。
全体の裁判内容としては様々な背景が重なっているので、興味がある方はぜひ読んでみて下さい。大事な部分だけ抜き出します。

争われた内容としては、「古くからの友人7名への複製著作物の配布は、私的使用の『その他これに準ずる限られた範囲内』に該当するのか」という点です。
判例は以下の通り。

被告が本件著作物の複製物を配布した7名は、被告の古くからの友人であるものの、本件全証拠によっても、被告とこれら7名との間に、家庭に準じる程度の親密かつ閉鎖的な関係があったとは認められないから、著作物の使用範囲が「その他これに準ずる限られた範囲内」であるということはできない。
よって、被告による本件著作物の複製が「私的利用のための複製」(著作権法30条1項)に該当するとは認められない。

令和4年11月8日(東京地裁 令和4年(ワ)第2229号)判例より

なるほどなぁ。
古くからの友人であっても、10人以下の小規模であっても、「私的使用」(本判例では「私的利用」になってますね。)にはならない場合もある。

気をつけたいですね。


3-c. 我々は異常なコンテンツ消費者である事を自覚しないといけない

 これについてはいわゆる「景品表示法」についてのお話になります。
 正式名称は「不当景品類及び不当表示防止法」ですが。何かとは言いませんが、まぁそういった「景品」とか「表示」とかのお話でした。

 ゼミでとても印象に残っているのは、炎上して話題になっているけど、「もしかしてその感覚とか認知って、『一般』から逸脱していない?」というようなお話でした。

 同じ「表示」でも「一般消費者」から見たらそうは見えないよね。
 だから話題になっている内容よりももっと手前にラインがあるはずよね、という話は「なるほど…確かに我々は慣れてしまっているけど、異常だ」と頷けるものでした。


3-d. 法は法、規約は規約、ルールはルール(フラゲの話とかとか)

 休憩中にふと「(いわゆる)フラゲ」や「リーク」って何か法的な権利を侵害しているのかな?ということで軽くディスカッションしていました。

 結論としては、メーカー(ここでは株式会社ポケモン)が設定している発売日前に出てくる非公式の情報ならば、「秘密保持契約」や「店舗ごとに結んでいる契約/規約」に違反している可能性が高いね。という話でした。

 むかーし、新型iPhoneの図面がどっかの国からリークしたことがありましたね…あれってどのくらいの損害賠償とかあったのかなーなどと。
 物を作るメーカーは、まぁほぼ例外なく製造する工場などの会社と秘密保持契約を結んでいます。

 ポケモンセンターオンラインで新弾BOXを注文とかしたことがある人も経験あると思いますが、ダンボールに「◯月×日に届けて下さい」みたいな文言が貼ってあったありました。これも多分契約か規約にあるのですかね。

 この大SNS時代において、需要の高い情報は早ければ早いほど出したらインプレッションに繋がり、言葉を選ばずに言うと、お金になります。

 これ以上は「適切な市場が…」とかいう話になるので、特に深掘りとかはしませんが、新弾直前に流れている非公式の情報、安易なリポストはルールを守っていない人間が小遣い稼ぐだけだと思うので、個人的にはおすすめしません。
 決まりは守ろうよ


 そういえば「ルール」と言えば、これを執筆している途中で「フロアルール」が更新されましたね。これまで20年以上かけて先輩方が作り上げてきてくれたものが実を結んだのかも、と読んでいて思いました。

 「今」遊んでいる人には知った事じゃない話ではありますが、それまでの積み重ねが無いと「今」遊ぶ事はできないので、きちんと感謝したいですね。本当にありがとうございます。勿論、明文化してくださった公式にも感謝です。

 この奇特なnoteを読んでくださっている方ならきっと読んでくれると思うので、リンクを貼っておきます。是非に。


4. ポケカ周りの法に関する新たな疑問点

 ここではコンプライアンスゼミを受けて出てきたはるさめの疑問に、ぐるぐるとはるさめが考えたことなどを書き連ねています。メモ程度に思っていただいて大丈夫です。

4-a. カードに対する付加価値とは

 5枚入りの拡張パックが180円、という事は平均すると今販売されているポケカには、開封前は少なくとも一枚36円で購入しているということになります。
 皆さんお世話になっているカードショップにあるストレージと呼ばれるカードの束から1枚取ってきても大体30円〜50円くらい。大体同じ。

 一方で、1枚で50,000円を超える価格で取引されているものもあります。約2,000倍以上の価値になるという事ですが。
 また一方で、「デッキ販売」と言うものもあります、「優勝者デッキ」みたいな、60枚で5,000~10,000円くらいのを見たことがあります。超超単純計算で36円/枚×60枚なので「紙のカード」としての物質の価値なら2,160円なはずなので、やっぱり数倍以上の価値はあるようですね。

 ここでは特にそれが 良い/悪い と判断するわけではなく、「なぜそのような付加価値が発生するのか?」という疑問を提起したく書きました。

 単純に先ほどは180円を5枚で割りましたけど、各カードの封入率は異なるので、「希少性」がある事は間違いなさそうです。あと「キャラ人気」や、やや定義が曖昧ですが「強い」など。この辺は1枚のカードの付加価値として考えられますね。
 また、デッキ販売などでは、「このデッキなら勝ちやすい(≒楽しい)」などといった付加価値も考えられます。

 トレーディングカードに限らずどの「付加価値」に対価を支払っているのか考える事は大事なので、意識してみると良いかもです。

4-b. ポケカの特許/実用新案ってあるの?

著作権は創作された時に発生している、ということは述べたかと思います。
また、トレーナーズウェブサイトの一番下にもポケモンが登録商標であることは記載されています。

知的財産権って色々あるのですが、発明などを守る「特許」や「実用新案」ってポケカ周りであるのかな・・・?
と、特許周りの仕事でご飯食べていた身としては思いました。

特許含めた四法(特許・実用新案・意匠・商標)を調べられるお馴染み?「J-PlatPat」へGO!

ざっくりとした結果としては、「カードe」周りの特許がいくつか、他にもありますが、少ない・・・!
まぁでも既存のトレーディングカードゲームでの特許ってそんなもんなのかなーといった感想です。(ふんわり)

5. おわりに

ここまで読んでいただいて、本当にありがとうございます。

 ただ、ここまで読んでくださった方は、多かれ少なかれ、現状のポケカコンテンツでの権利等について日々疑問などを持っていて、「なんとかならないの?」とか「自分はそんなことしないようにしたい」などと思っているのではないかな、と推測しています。

 その気持ちこそ、私はるさめが「ポケカコンプライアンスゼミ」に出る前に思っていて、このやさいさんのツイートを見た時に「参加して聴いてみたい!」と思った原動力です。

 今回ゼミに参加してとても多くのものを得ることができました。本当に有意義な時間で、本来ならば登壇者の方などとじっくりアフタートークとかしようかと考えていたのですが、目の前で始まったポケカの対戦を観戦していたら時間が終わっていました笑

また機会があったらぜひ参加したいなと思っています。

 そしてこの記事が、みなさんの健全なポケカ活動の一助になれば、とても嬉しいです。

それではまた!はるさめでした!

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