2023→2024ストーブリーグまとめ
序文
本記事では昨年と比較して編成がどのように変化したのか、それを受けてのネガティブな点やポジティブな点、新シーズンへの展望・考察を述べていきたいと思う。
まだ未発表の選手もいたり獲得もあるかもしれないが、とりあえず新体制発表が行われたことを区切りに、これ以降は随時更新という形にしていく。
昨季との比較
まずはin outの表を見ていきたい
昨シーズン在籍していた選手は11人が退団したのに対し、新加入はルーキー含め7人と、退団数が加入数を上回った。
スタッフも監督が日本人になったこともあり通訳の人数が減るなど削減ではあるものの、CCOやクラブアドバイザーなどフロントスタッフの加入は目立った。
スタッフ
トレーナーが星野雄太→古川将也
ヘッドコーチが甲本偉嗣→増田功作
と変更があった一方
コーチのシシーニョ、通訳の小澤哲也の後任は発表されず人員削減となった模様。
フロントスタッフは
引退した石井秀典がクラブコミュニケーションオフィサー
徳島県出身で元日本代表の黒部光昭がクラブアドバイザー
に就任し増員となった。
選手
こちらも簡単に互換していくと
森海渡→ブラウンノア賢信
白井永地→島川俊郎
ルイズミケサダ→橋本健人
外山凌→柳沢亘
安部崇士→カイケ
浜下瑛→髙田優
?→青木駿人
櫻井辰徳→?
吹ヶ徳喜→?
長谷川雄志→?
西坂斗和→?
山下雄大→?
といった感じで、CBが1枚増えたものの、サイドバックやボランチの人数は2人ずつ減少という結果になった。
分布図を昨シーズンとの比較で見ていこう
※分布はエウシーニョを含んだデータ
人数は昨年の34人から5人減の29人
森昂大が昨年A契約締結条件を満たしたためA契約に移行となった。
平均年齢は27.0歳で昨年から0.5歳上がった。
世代別人数増減
北京世代:3人→2人=-1
ロンドン世代:3人→4人=+1
リオ世代:10人→6人=-4
東京世代:11人→8人=-3
パリ世代:7人→8人=+1
ロス世代:0人→1人=+1
ホームグロウン選手は昨年と同じ選手がそのまま残り3人
J2での必要人数は2人のため満たしているが、J1では4人必要なため昇格を考えるともう少し増やせると望ましい。
レンタルで出している選手では大森博と鈴木輪太朗イブラヒームが今シーズンよりHGの対象となった。
レンタル加入は昨年の4人から2人に減少
櫻井と森海渡は返却、永木は買取、高田颯也はレンタル延長となり、新規レンタルはカイケのみ。
近年ではかなりレンタルの人数は少ない方だ。
ポジションに当てはめて見てみよう
ボランチとサイドバックに大きな動きがあったことが分かる。
レンタル組
海外組を除くと
2023年のレンタルは5人
2024年のレンタルは9人
レンタルに出す人数としては過去最多となった。
昨年レンタルで出していた選手の中で今季徳島に帰ってきた選手は0人
・大森博は福島に3シーズン目のレンタル
福島は新監督に寺田周平を迎えたため川崎ライクなサッカーを目指すなら大森の技術は重用される可能性があるし、現役時代CBの監督から学べることも多いのではないだろうか。
・森田凜は昨年琉球にレンタルで行ったものの夏から前年までの奈良に戻り、今季も奈良へレンタル延長。
昨年も途中加入ながらコンスタントに出場できていたし最も安心感がある。
奈良では4シーズン目となる。
・昨年琉球で出場機会をあまり得られなかった藤原志龍はテゲバジャーロ宮崎へ
年齢的にも今季は勝負のシーズンとなるだろう。
・昨夏に八戸へレンタル移籍しJ3に衝撃をもたらしたオリオラ・サンデーは八戸へレンタル延長
圧倒的な結果が期待される
・高卒2年目の西坂斗和はJFLラインメール青森へレンタル
まずは試合に出て経験を積んで欲しい。
・大卒2年目の山下はレイラック滋賀FCへレンタル
滋賀は元Jリーガーを積極補強しているのでレギュラーを掴むのは簡単ではなさそうだが大卒2年目なのでJFLでは明確な結果を残してほしい。
生え抜き組以外では
松澤香輝がそのまま仙台へ完全移籍
外山凌がJ2に昇格した鹿児島
浜下瑛も同じくJ2に昇格した愛媛
長谷川雄志はJ3の相模原へレンタル移籍となった。
高卒組のレンタルも人数が多くなってきたため、そろそろ徳島に主力として帰ってこられるだけの活躍をする選手が現れることを期待したい。
感想戦
ここからは今オフの編成においてポジティブな点とネガティブな点について考えていきたい。
尚監督については別途記述するためまずは選手の編成について述べていく。
ネガティブな点
まずはネガティブな点から
主力の流出という点では白井永地と森海渡の2人がいなくなったことは大きい。
・白井はここ2年間徳島で最多出場
特に中盤の守備や運動量では替えの効かない絶対的な選手だった。
・森海渡は昨年のトップスコアラー
昨年はチームとして上手くいっていないなか理不尽な得点でチームを何度も救った。
森海渡がいなければ間違いなく降格していたと言っていいだろう。
この2人が抜けた穴としてCFにはブラウンノア賢信、ボランチには島川俊郎を獲得した。
ボランチは吉田達磨監督の教え子であり経験値のある島川に加え永木を完全で獲得できたので比較的計算は出来る。
なのでどちらかといえば問題はCFの方だろう。
ブラウンノア賢信は昨年アスルクラロ沼津で得点ランク3位タイとなる13得点。
とはいえ目立った結果を残せたのは昨年が最初で、これまで所属した水戸や讃岐ではそれほど活躍できていない。
189cmの長身だがポストプレーヤーではなくスピードを活かした裏抜けが得意なタイプである。
森海渡に近いタイプなのかなという印象なのだが、森海渡ほどスペシャルな得点力は持っておらず、昨年森海渡は最後までチームにフィットしきれず特に球際で体を張る部分やプレス強度がチームとして大きな問題になっていたため、ブラウンノア賢信も同じ轍を踏む可能性は否定できない。
そのためブラウンノア賢信の活躍は確信できな部分だ。
個人的にはとにかくチームの為に走れて体を張ってボールを収められるタイプがCFに一人欲しかったので、その点ではCFの補強は物足りない印象である。
もちろんブラウンノア賢信には期待しているし、筆者の心配が杞憂に終わるほど活躍してくれればこの上なく嬉しい。
他にも昨年不調に終わった渡が2017年のような輝きを取り戻りてくれたり、棚橋や坪井、西野のポテンシャルなど大いに可能性は秘めている。
とはいえ今季のスカッドで最も計算が出来ないポジションであることは間違いない。
昨年は右SBが少ないなど編成の偏りが大きな痛手となった。
その点で言えば今年もサイドバックの人数は足りていない。
昨年コンバートで良いプレーをした西野や石尾で対応しようと思えば出来るとはいえ、本職は田向,橋本,柳沢の3人のみ、しかも田向は怪我が多い。
仮にSBに怪我人が多発した場合はユースの武田絢都が登用されるなどありえるかもしれない。
ボランチも放出が目立ったことで人数が足りていない。
永木と島川は2人とも30歳を超えておりフル稼働というわけにはいかない。
他に本職は玄理吾のみで、他には杉本くらいしかできそうな選手はいない。
ただし中盤を3枚にするならインテリオールは児玉や中野、坪井、棚橋、髙田優なども対応できるため人数はいる。
それでもアンカーは永木か島川の2人のみなので、もう一人はいて欲しいところ。
もしもの時は森田凜を戻そう。
ポジティブな点
まず、昨年最も大きな問題だったサイドバック
ここに橋本健人と柳沢亘の2人を完全で獲得できたことはとんでもないラッキーだった。
2人ともJ2では屈指の実力者であり、尚且つ徳島のスタイルに合ったタイプの選手である。
橋本も柳沢もビルドアップ能力に優れ、橋本は長年繋ぐスタイルの山口でプレーしてきたし、柳沢はボランチでもプレーできる。
徳島がサイドバックに求める能力を十分以上に持った選手と言える。
この二人の存在で昨年の課題だったポジションが一気にストロングに変わった。
次にボランチ
白井永地が引き抜かれたのは痛いのだが、アンカーとして白井はそれほど徳島のスタイルに合ったタイプの選手というわけではなかった。
昨年も2ボランチになって可動範囲が広くなってからは圧倒的だったものの、アンカーではロストが目立つなどしていた。
白井の後釜として加入した島川俊郎は、白井に比べれば年齢も上で運動量や守備強度などは白井の方が間違いなく優れている。
しかしアンカーとしてのパーソナリティで言えば白井よりも合ったタイプの選手なのではないだろうか。
西谷とスアレスを残せたこともポジティブな点である。
昨年までの活躍を考えると2人ともJ1に引き抜かれてもおかしくない選手だが、残ってくれたことは本当に有難い。
あとは人員整理も上手くいったと言って差し支えない。
近年の徳島は同ポジションに近いレベルの選手を複数人置くという編成を行っていた。
メリットもあるのだが、出場機会が少ない中堅以上の年齢の選手を複数人抱える状況になっており、それが人件費増や若手の出場機会を奪うなどデメリットの側面もあった。
今オフでは浜下,外山,長谷川雄志などを放出したが、例年の徳島を考えれば大胆な決断に踏み切った。
その他2年間で主力になり切れなかった櫻井のレンタルを終了したり、稼働率の低かったケサダ、4バックでは適正ポジションが難しい安部などの放出も悪くはない選択と言える。
それによりA枠を余らせたので、夏にチームの状況や怪我人などを受けて補強に動きやすい状態になった。
監督続投
今オフ最大の論点と言えるのはやはり吉田達磨監督の続投だろう。
昨シーズン残り11試合の時点で残留をミッションに途中就任した吉田達磨監督。
徳島としては2017年以降3人続いていたスペイン人監督から8シーズンぶりに日本人監督で開幕を迎えることになった。
昨季は失点のリスクを軽減し攻守のバランスを取ることで4勝4分け3敗と勝ち越し
1試合あたりの勝点を就任前の1.06から1.45へ伸ばすことに成功し残留へ導いた。
新シーズンの展望
とはいえあの戦い方が徳島ヴォルティスの目指すべきサッカーなのかと言われれば疑問に感じる。
残留は達成したものの、昨季の試合内容が観ていて魅力的かと言われれば決してそうではなかった。
しかし筆者は今季も昨シーズンを踏襲したようなサッカーになるとは思っていない。
昨季の吉田達磨監督就任会見のなかで
「徳島で志向したいサッカーやテーマなどがあれば教えてください。」
という記者からの問いに対してこう答えている。
というように、昨季の戦いはあくまでも残留に向けた最適化であり、実際試合を観ていてもそう感じた。
そもそも、これまでのスペイン人監督に対しては時間がかかるから結果より内容を重視して長い目で見るということをやってきたのに、状態の悪いチームを引き渡して結果も出せ内容も見せろというのは評価としてフェアじゃない。
吉田達磨が本当に目指しているものはまだ何も見えていない。
少なくとも昨季の印象だけで2024年を占うのが正しくないというのは間違いないだろう。
では新シーズン吉田達磨監督はどのようなサッカーを見せるのだろうか。
先述したように昨季はリスクを抑え残留のために最適化した内容だった。
しかし11試合中1試合だけそうじゃない例外の試合がある。
それがジュビロ磐田戦だ。
筆者はそこに新シーズンへのヒントがあると考えている。
この試合、結果だけで見れば0-3の敗戦
カウンターから失点を重ね、残留のため結果が必要な状況においては最悪な試合と言える。
しかし何か不可思議だ
ここまでリアリスティックにリスクを減らし7試合で5失点、PO進出クラブである清水や山形に対してはクリーンシートに抑えてきた。
ミスやセットプレーから先制を許しそのまま負ける試合でもやり方は同じで、確率論で言えば採算が取れる方法を用い、ここまで3勝2分2敗と残留の為に必要十分な勝点を稼いできた。
それなのにこの試合だけはハイラインで相手を押し込み、高いカウンターのリスクを背負いながらボールを保持して支配するというやり方を試みた。
それは明らかに残留という目的に背いたサッカーだろう。
Football Labの集計データを基にこの試合の特異性をみていくと
磐田戦のボール支配率68.7%は11試合のなかで最も高い
シュート数20本は相手が前半で退場者の出た藤枝戦を除けば最多
被シュート数9本は11試合の中で最小
磐田戦以外の10試合の平均支配率は52.3%
平均シュート数は11.3本
平均被シュート数は15.1本
と、どの数字を見ても磐田戦が他の10試合に比べ特異であることが分かる。
ではなぜこの試合だけやり方を変えたのか、3つの理由が想像できる。
一つ目は、前の試合から3週間の中断があったこと。
何かを用意するのに十分すぎる時間があった。
二つ目は、相手が磐田だったことだ。
磐田は結果的に自動昇格するチームであり、残り試合のなかで最も順位が上のチームである。
チーム状況が真逆なお互いにおいて、普通に戦っても徳島が勝点を奪える可能性は高くないし、残り試合数で取る必要がある勝点数を考えても一番捨てて良い試合だと言える。
そのため結果より内容的なチャレンジに踏み切った。
三つ目は、もし上手くいかなくてもすぐ元に戻せる状態が作れたこと。
磐田戦までの7試合でそれが共有できた。
実際にこの試合大差で敗北したことを受けてなのかは分からないが、次の試合では元のやり方に戻した。
現実的に残留を勝ち取った一方、磐田戦のみにおいてはこれまで徳島が目指してきた保持して押し込んで支配するというサッカーが垣間見えた。
磐田戦は残留争いに必要な結果という視点で見れば11試合のなかで最もネガティブな試合だろう。
しかし内容という点で見れば11試合の中で最もポジティブな試合だったと考えられる。
監督が解任されていれば意味のない試合だったが、続投という決断をした今においては最も意味を持つ試合かもしれない。
あくまでも筆者の考察ではあるが、吉田達磨監督が持つ本来の姿は磐田戦の延長線上にあるのではないかと考えると新シーズンの徳島ヴォルティスの姿も少しは想像できるのではないだろうか。
続投は支持できるか?
では吉田達磨の続投を支持するかというと、筆者は支持:不支持=50:50くらいといった感じである。
ここからは支持できる点とできない点について見解を述べていく。
・支持できない点
最も大きいのはクラブのブランドイメージ。
徳島ヴォルティスは2017年から7シーズンに渡ってスペイン人監督を招聘してきた。
他のクラブや選手にも徳島=スペイン人監督というイメージは浸透しており、徳島に行けば欧州基準の指導者の元で欧州基準のサッカーが出来るというのは一種のブランドになっていた。
レアル・ソシエダとの育成業務提携においても、あまり他のクラブと提携を行わないソシエダが徳島に興味を持って点として長年スペイン人監督を招聘してきたことを挙げていた。
監督がスペイン人ではなくなったことで、選手が徳島を選ぶ理由が一つ減ったことは間違いない。
もう一つは実績面
昨年の徳島での内容はあまり参考にならないと思っているのは上記した通りだが、それを抜きにしても天皇杯優勝以外で目立った成績を残せていないのは紛れも事実である。
・支持できる点
ここで考えたいのは監督の技量という点ではなく、徳島ヴォルティスが目指している場所の特殊性である。
ヨーロッパと日本のフットボールが全く別物だという話は欧州帰りの日本人選手からよく聞かれる言葉である。
その中で徳島ヴォルティスというクラブはヨーロッパのスタンダードを吸収することで日本の他クラブとの差別化を図ろうとしてきた。
しかしそこには育成年代からの教育的違い、文化的違いといった大前提のギャップが存在し、日本で育った選手とヨーロッパで育った監督がプロという結果の求められる場所で交じり合おうとしても水と油のように弾かれてしまう。
そこを今までは岩尾憲という特異な存在により解決してしまっていた。
単純に能力の高い選手を連れて来るだけでは上手くいかないことは、ポヤトスがガンバ大阪で低迷したことでそれを証明している。
しかし日本人選手が日本で育つ以上、特殊なスタイルに合う選手というのは多くない。
スタイルに合う上で能力の高い選手を補強するのは難易度が高いし、そういう選手は上のクラブに持っていかれてしまう。
スペシャルな補強が出来るかどうかは運要素が強すぎるし、たぶん補強ではどうにもならない部分の方が大きい。
とはいえ育成が結果に追いついていない現状で、補強をせず育成ばかりに目を向けていてはクラブとして結果を残せない。
それでもJ1昇格は目指さなくてはいけない。
ここまでの話をまとめると
→スペイン人監督で結果を残すには、スタイルに合うクレバーな選手を揃える必要がある。
→日本においてスペインのスタイルに適合し能力の高い選手を補強で揃えることは難しい。
→スタイルに合う選手を育てたいが追い付いていない。
徳島の現状を考えると、スペイン人監督で結果を残すというのは現実的ではないということだ。
戦術家と呼ばれる監督であればあるほど選手が監督に合わせることを求められるが、徳島ヴォルティスというクラブは移籍市場において優位性を持てるクラブではないため、必ずしも欲しい選手が獲れるわけではない。
能力が高くスタイルに合う選手が獲れれば理想だが、そういった選手だけでスカッドを埋めることは難しく、能力は低いがスタイルに合う選手だけを集めても力負けする。
そのため、ある程度能力は高いがスタイルに合わない選手に頼らざるを得なくなる部分はある。
よって監督には用意された選手を見て結果を残せるチームを作る能力、要は監督が選手に合わせることが求められる。
戦術家の監督を求める徳島にとってこの状態は完全にジレンマである。
いわゆるスペイン化が日本で数々の失敗を繰り返してきた原因でもある。
このジレンマをサッカー界では「現実を見ろ」という言葉で表現される。
ポヤトス,ラバインを振り返っても、監督の理想の戦術で結果を出すために必要な選手の能力と、実際に居る選手の能力のギャップを埋められないという共通の課題があった。
リカルドはそのあたりが上手かった(上手くなった)ため岩尾と同じく特異な存在だと言える。
話が長くなったが、ここで吉田達磨の続投におけるポジティブな点が出てくる。
ボールを保持するという共通点は残しつつも、日本の文脈にあるやり方を取ることで選手は自分がこれまで培ってきたものを発揮しやすく理解しやすい。
そのため補強による効果が表れやすい。
その上でアカデミーはスペイン式の育成を続けることでスペインのスタイルに合う選手を育てる。
アカデミーからの昇格や大学経由での加入が増えて育成が追い付くのを待つ。
少し徳島側から日本に歩み寄ろうという考え方である。
完全にスペイン化するにはもう少し時間が欲しい。
現状では理想と結果を共存させるには岩尾やリカルドのような特異な存在が現れるかどうかという運ゲーになる。
永木も島川も良い選手だが岩尾の代わりにはなれない、間違いなく。
吉田達磨氏が選手に合わせ上手く勝てるチームを作れるかというのは未知数だが、日本人のほうがハードルは低いのは間違いない。
昨シーズンしくじったことを踏まえても、また監督を変えることでイチから始めるリスキーな選択は選びづらいだろう。
2024シーズンから、J1のクラブ数は2つ増える。
J2の中での徳島ヴォルティスというクラブの規模を考えれば難しいことをしようとしなくても昇格できるチャンスはゼロではない。
何にしても今の日本でスペイン式フットボールを持続的に成立させられるようになるためにはアカデミーからの押し上げが不可欠なのだ。
今季の編成についてメディアのインタビューで選手数の減少について問われた岡田強化本部長は「徐々にアカデミー組織も充実してきたので」という言葉から話を始めた。
アカデミー選手のトップ起用を示唆し、編成の一部として考えているというような発言は今回が初めてであり、7年前から蒔き始めた種をいよいよ回収するフェーズに入り始めているということだろう。
なぜ支持できるかを一言で表すなら、課題と変化の必要性をきちんと岡田強化本部長が理解しているということだ。
これまでのスペイン人監督でのシーズンはJ2優勝というひとつの結果を残したが、課題も多くそれはリカルドと岩尾が去った後如実に表れた。
同じようにスペイン人を連れてきて―というやり方をただ繰り返すだけでは解決できない部分があるというのは筆者も感じていたところだ。
だから今オフの編成における昨季までとの変化も含め、今シーズンがどうなるか非常に楽しみでいる。
結文
ざっくりと今ストーブリーグをまとめると、昨季に比べ派手さは欠けるがクラブに合うタイプの選手を獲れたという印象である。
ここ2年程の問題点にはしっかりとアプローチ出来ているため、個人的にはけっこう期待値を高く持てている。
あとは怪我人が出ないことを祈るのみ。
新加入選手の入団会見で、複数の選手が「ビジョン」という言葉を口にしている。
強化部が選手に何を語ったのかは不明だが、少なくとも選手が徳島に加入したいと思うだけのビジョンが存在することは確かだ。
それは監督がスペイン人じゃなくなったという事が徳島ヴォルティスの方向性を変える訳じゃないという証明ではないだろうか。
監督がスペイン人なことをきっかけに徳島ヴォルティスを見始めた人たちからすればアイデンティティを失って大変だと思うけどまあぼちぼちついて来てくださいよ。
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