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2024シーズン試合メモ&リンク集


・吉田達磨監督

● 第1節 H vsヴァンフォーレ甲府

両チームとも4231スタート
前半は縦に急ぐあまり短期突破ばかりで全くチャンスを作れない。
逆に甲府のパワーに押され簡単に2失点を喫す
守備ラインが低く、奪っても速く攻めようとして人数が足りない
ハイプレスが全くはまらないので高い位置でほとんど奪えない。

後半は3421に変更する昨季よく見た手段
配置を変え自分たちで保持する方法にすることでチャンスは増え、髙田と西谷のコンビネーションからサイドを突破し1点返したものの、その後はミスやセットプレーから失点を重ね最終的に後半だけで3失点
保持する時間を増やし攻め急がなくなったことで前半よりは戦術的なバランスが良くなったものの、選手の能力差を跳ね返すには至らなかった。
甲府が対応して3枚でプレスにきだしてからは前進も難しくなり、それに対する策は打てずに終わった。
4バックをベースにしようと橋本や柳沢を補強したのに、結局3CBにして橋本を45分で下げたりベンチのエウシーニョ使えなかったりしたのは非常に残念。

後半から投入された西谷は質や判断で大きく流れを変え、やはり徳島の中ではひとつ抜けた存在だということを証明した。
新加入のブラウンノア賢信は相手DFを背負ったりプレッシングなど想像以上のプレーでこの試合最も良かった印象、縦に急ぎすぎて味方のフォローを失う部分だけは改善したい。
橋本健人はチームのやり方に持ち味を消され可哀そうな45分だった。
カイケはパワーと高さで持ち味は見せたものの、ロングボールを被ったりインターセプトの判断ミスも多く粗も目立った。

岡田強化本部長は今期の編成に関するインタビューの中で
・2023シーズンはスペースやフリーマンを認識しながら主導権を握る我々の本来目指すスタイルからズレた
・それを体現するために基礎基本を伝えながら修正できる。
ことを吉田監督の続投理由に挙げていた。
そのためラバインの縦に早い戦術からリカルドやポヤトスのような伝統的なスペインスタイルに戻そうとしているのだと受け取っていた。
その第一歩としての吉田監督続投ならと思い支持していたのだが、ふたを開けてみれば全く違うものが出てきたので困惑している。

てっきりボールを保持し相手を押し込むことをベースにするのだと思っていたが、実際は岡田強化本部長が「ズレた」と語った縦に早い昨年のラバイン的な思想が見える内容だった。
速く攻めたいのにハイプレスを仕込めていないため全く機能していなかったが、昨年から吉田監督のハイプレスは全くはまらず、キャンプを経ても改善できていないのは監督の技量と言わざるを得ない。
ラバインはプレッシングをかなり工夫して取り組んでいたが、それでダメだったものをあのプレス戦術で実行しようとしても当然無理である。
ソシエダという最先端で学んでいたラバインでダメだったものを、なぜ吉田監督で焼き直して劣化版を生み出したのか。
キャンプ中にスピードや保持の土台はあると言い始めた時から あれ?と思っていたが、もしかしたら強化部も予想外だったのかもしれない。


● 第2節 A vs鹿児島ユナイテッドFC

両チーム4231
前半は前節からの改善点としてボランチを経由してビルドアップしようという意図は見られた。
序盤は前線4人のキャラクターもありネガトラの意識が高くなり即時奪還で押し込む時間も持てたが、相手のミスや守備のはまらなさにも助けられた。
しかし相手のプレス強度が高まるとCBが奪っても繋げず蹴ってしまうシーンが増え、ひっくり返せず押し込まれる場面が増えた。
後半、逆サイドのフリーマンを使うサイドチェンジのボールが意図的に増えたように見えたが、CBの配給の質が低くボールをすぐに失うシーンが目立つ。
失点シーンも森昂大が相手に囲まれているボランチへ不用意に差し込みロストしたとことから始まった。
CBが前線の選手に時間を作る持ち方というのが全く見られず、吉田監督はクラブのことを「保持のベースはある」と言っていたが、そこの勘違いでビルドアップの部分をおろそかにしているのか、そもそもそういった指導が出来ないのか、どちらにせよ現在のCBからの配給でボールを保持しビルドアップを安定させるのは到底厳しいのではないかという印象。

吉田監督は後半3CBに変えるというパターンを昨年から多用してきたが今日は完全に裏目り、相手の1CF,両SH,両SBの5枚と徳島の横幅5枚が噛み合いプレスをもろに受けてしまう。
前半は保持できる時間も長く、そもそもシステムによる配置的には徳島が優位に試合を進めていたのに3CBへの変更で完全に押し込まれる流れを作った。
左CBがつり出されることへの対応だったらしいが、穴を埋めた結果押し込まれる時間が増えた。
スペイン化以降保持することでリスクを減らすという思想でやってきたが、この概念が抜け落ちた残念な采配。


● 第3節 H vsブラウブリッツ秋田

徳島は4231スタート
秋田は442

前半は秋田のプレスがそれほどはまらず撤退ぎみの守備でボールを持てる展開。
島川が低めでボールを受け捌き、渡が起点となるなど優位に進められる場面も多かった。

後半、相手がプレスを修正し前から捕まえに来ると前進できなくなり押し込まれる展開が続く。
いつものように途中から3CBに変更するも大きな変化は生まれず悪い流れを修正できない。
押し込まれることでセットプレーを与え続けてそこから2失点で逆転。
前節と全く同じ流れで何も変えられずに敗戦。
負けるべくして負けた妥当な結果と言える。
むしろ中途半端に勝点を得るより負けるべき試合でちゃんと負けただけよかったかもしれない。

徳島は選手のキャラクター的にも決して空中戦に強いチームではない。
そのため押し込まれ続けセットプレーが増えると当然このような失点は増える。
そのために保持してその回数を減らしたいが、その保持の部分が致命的に機能していない。
相手が引いたら持てるというのは当たり前のことで、保持を志向するならその当たり前以上の保持ができなければいけないが、現状は当たり前のことしかできていない。

後半石尾を入れて3CBに変更。
勝っている状況で押し込まれてきたので守るところを強化したかったのではないかと思うが、問題点がそこじゃない。
前半も3CBに変えるまでの後半も跳ね返せていたし守れていたが、跳ね返した後に自分たちの時間にできないから永遠と殴られ続けていたわけで、修正すべきは守備じゃなく攻撃面だった。

そもそも前半は島川が落ちて3枚ぎみのビルドアップを相手が捕まえられていなかった。
そこを秋田が修正してきたのに3CBに変えたところで何かが変わる訳がない。


● ルヴァンカップ 1回戦 A vsAC長野パルセイロ

徳島は4231
長野は3421

前半15分くらいまでは徳島がアグレッシブに仕掛けゴール前のシーンを何度か作るも、それ以後はエンジンが切れて押し込まれるいつもの展開をJ3の格下相手でも同じように披露。
プレスがはまらないから持たれると奪えなくなるし、ビルドアップも全く整備されていないためすぐに追い詰められて蹴って奪われるこれもいつもの展開。

2失点目が特徴的だが、失点前に右サイドからGKにバックパスをした場面、徳島の選手がバックパスを蹴る前から長野の選手はGKにプレッシャーをかけるために走り出していた。
パスの選択肢がGKへ以外になく、完全に読まれており相手からすればあまりにもプレスが容易い保持。

ボランチが児玉と髙田優という本職じゃない2枚で、それで普段から本職がいてもできていないビルドアップを何とかするというのはかなり厳しかった。
児玉が頑張ってスペースに動いて受けようとするが、おそらくアドリブなのでその後が全くつながらず結局曖昧なロングボールに終始。
髙田優も何度か持ち味のテクニックで相手を剝がしたり反転して運ぶなど良いプレーが見え、守備でも球際に激しく行くこともできることをアピールしたが、彼が特徴を出せる役割ではなかったため可哀そうなデビュー戦となってしまった。


○ 第4節 A vs水戸ホーリーホック

徳島は4231スタート
水戸も4231

ここまでの試合と同じく、序盤はアグレッシブにプレーし押し込める場面も多いが、15分ほどで流れが途切れ相手ボールになると押し返すのが難しい展開になるパターン。

後半追いつかれた後、徳島はいつもの3421ではなく3142に配置変更。
島川をアンカーにし玄理吾がIH。

水戸がこれまでの鹿児島や秋田のようにはっきり人を捕まえるプレスの形に変更してこなかったため、その過去2試合よりは相手陣に持っていけるシーンは多かった。
とはいえ守備で主導権を握れていたとはいえず、2得点はともにセットプレーからなので決してこの勝利で監督の評価が上がるという事はなかった。
これくらいの力の相手にたまにギリ勝てるくらいの内容。

この試合特によかったのが橋本健人。
先制点のクロスは質が高かったし、他にもクロスや縦への突破でチャンスを演出していた。
保持時は後方で時間を作ってくれるので、この試合ひっくり返す回数が増えたのは間違いなく橋本の存在が大きかった。
これまで出場した試合では全く持ち味を出せていなかったが、受け身ではなく保持時や押し込む状態を作れればかなりの質とアイデアを見せられることを証明してくれた。



● 第5節 H vsレノファ山口FC

徳島は4231
山口は442

この試合もこれまで通りの展開。
前線4枚で徳島の最終ラインを、ボランチがボランチを捕まえると全くビルドアップが機能しない点にも改善はなく、山口はしっかり分析してきていた。
本来はGKを含めることで相手が同数でプレスに来ても1枚余る状況を作れるのだが、そういうビルドアップが設計されている雰囲気を全く感じない。
それに加え自信もないのだろうなという感じで繋げる場面でもすぐに蹴ってしまう。

今期初めて途中から3CBに変更をせず最後まで4231のままだった。

もはや新たに書きたいことも特にない、いつも通りの負け。
橋本健人は最高だった。


△ 第6節 A vsベガルタ仙台

徳島は今期初めて433を採用
仙台は442

前半はいつも通り押し込まれ攻勢を受ける時間が長く、単騎で持ち上がってすぐ奪われるようなシーンが目立った。
左SHがいつもの髙田ではなく坪井が入ったことで守備面ではかなり安定性を与えることができていた。
とはいえ攻撃面ではゼロトップの柿谷が下がってきたスペースを活かすなどの連動性は整備されていない印象。
アンカーを経由してのビルドアップなども見られなかった。

後半は今期ここまでで最も良い内容になったと言える。
主に児玉と杉本のIH2枚のクオリティで押し切った印象。
中盤が3枚になったことでクリアボールを拾える回数が多くなり、そこからIHの2枚が失わずキープ、相手を剥がして反転、ドリブルで運んで縦パスを差すといったプレーをかなり質高く行えていた。
さらに守備面でも運動量強度高く、お互いにバランスをとって攻守に顔を出していた。
この2人が軸になることで前進にアンカーを経由せず相手が狙いを定めにくい状況を作れ、アンカーの永木もカバーリングなど得意な仕事に集中できる状況を作れた。
IHの2枚プラスここ数試合素晴らしいパフォーマンスを続けている橋本に加え右SBにエウシーニョが返ってきたことも守備や質の向上に大きな要因となった。

どこまで狙いを持ってやっているかは不明だが、IH2枚は仙台のボランチ2枚でそのまま捕まえられるはずだがそうはならなかった。
相手が4231を想定して準備していたというのもあるだろうが、1トップの柿谷がゼロトップぎみに裏ではなく降りてプレーすることが多かったため、相手ボランチはそれが気になってIHを深い位置まで捕まえに行けなかったのではないだろうか。
ただ、空いたCFのスペースに両WGが走り込むような連動する意図は全く見て取れなかったためたまたま機能しただけなのかどうなのか。

アンカーの役割は永木と島川で互換できるし、IHの役割も玄や髙田優も互換できそうなのでスカッドのキャラクターにも合っている印象。
左サイドも橋本のスタイルを考えれば髙田颯也より坪井のようにしっかり守備をこなして周囲を活かすタイプの方が相性はいい。
まあ西谷なら坪井くらい守備して髙田くらい仕掛けられるのだが。

対策されたときにどうなるかという懸念点はある。
特にIHのところを執拗に潰してこられると何もできなくなく可能性は高い。
上手くいった部分はあれど、根本的に配置でビルドアップができていたり、ハイプレスが改善されているというわけではない。

相手が2トップで1枚はアンカーを消してもう1枚でCB2枚にプレスをかけるという場面はよくあるが、相手CFが片方のCBへのパスコースを消しながら奪いに来た際、SBにパスを出して逃げるシーンが多いのだが相手SHのプレスを受けて蹴るしかないという場面は多い。
そういった相手に捕まるボールの動かし方ではなくGKを交えて3対1の状況をつくり相手CFのプレスを剥がすといったようなビルドアップの仕込みは全くみられない。

配置ではなく個の力で何とかするのはどこかで限界が見えることを懸念せざるを得ない。



● 第7節 H vsザスパ群馬

徳島は4231
群馬は3421

前半は群馬の良くない内容が目立ち、3CBで後方の数的優位を活かせず勝手に追い込まれて数的不利な状況の前線に蹴って徳島に回収されるという流れが続いた。

徳島は押し込む時間が長かったが、右サイドは中野もエウシーニョも内側でプレーするため大外に人がおらず幅が取れないため相手はひたすら中央を固めるというシンプルな守備で失点を防ぐことに成功した。
序盤にエウシーニョのクロスを坪井が合わせるシーンがあったが、そのような形を狙いとして再現できていなかった。
一方左サイドは橋本が高い位置を取ればクロスは上がるものの、左の坪井と違い中野はターゲットにならずPA内へ入って行きクロスに合わせるような動き出しは少なかった。
児玉が独力で保持とチャンスの量を稼いでいたが、立ち位置が決まっているような雰囲気はなく、アドリブで顔を出し配給するといった感じだったため永木がやるべき仕事も児玉がやっていた印象で、その弊害で人が片方のサイドに寄りパスコースがなくなることもあった。

群馬は機能不全だった序盤から徐々に改善し、徳島のSBのところをWBとシャドウの2枚で数的優位を作りクロスから攻撃するシーンを増やしていった。

徳島は児玉が交代後明らかにチャンスが減ったことが物語っているように、個人の独力とアドリブに頼って成立させているのは戦術でも何でもない。
前半問題だった部分で言えば、チアゴアウベスが入ってからはPA内に入って行く人数も増えた。


試合翌日吉田監督の解任を発表
後任が決まるまでは増田功作ヘッドコーチが暫定監督となった。
その翌日には島川俊郎が引退を発表


・増田功作監督

△ 第8節 A vs清水エスパルス

徳島は4231
清水は442

吉田監督が解任され増田暫定監督となっての初戦
前節までのやり方を継続しつつ、これまで右SHのところは内側に絞ってプレーすることが多かったが、この試合は幅を取る立ち位置を取っていた。
前半は防戦一方で良いシーンはほとんどなかった。
ビルドアップは相手を揺さぶる回しをできず無理やり前線に差し込むため高い位置で奪われる回数はかなり多かった。

後半は一転して徳島ペースで進む。
要因は左SHの杉森の立ち位置を変更したことが大きい。
前半は相手の右SBにマークされていたが、ポジショニングを内側寄りにしてビルドアップ時は低い位置までボールを受けに下がってくることで相手右SBはついてこれずフリーでボールを受けられるようになった。
それによりプレスがはまらなくなった清水は前半のように前へ出て選手を捕まえられなくなり後手に回った。


● 第9節 H vsジェフユナイテッド千葉

徳島は4231
千葉は442

チアゴアウベスがFWで、西野が右SHだったが、攻撃時にチアゴアウベスは右サイドに開きたがるのでそれを見て西野が中央へ行くことになる。
しかし守備時は当然西野が右サイドを守らなければならないので、西野はチアゴアウベスを気持ちよくプレーさせるために長い距離を走らされる役回り。
前半右サイドでチアゴアウベスが内側へ仕掛けていたため、後半髙田が縦へ仕掛けるのが効いた。
千葉が先制後受け身だったため髙田が使いやすくなった状況も含む。
それが成立するために汚れ仕事をきっちりこなした西野は評価されてほしい。
とはいえ負けたので報われず。


● 第10節 A vsV・ファーレン長崎

前任時代の悪点がそのまま出た試合。
多少采配面で良い変化がみられても根本的な問題が解決されていないため、個の質が高い相手やチームとして完成度の高いチームが相手ではこういった結果になることは必然であると言える。


○ 第11節 A vs藤枝MYFC

徳島は442
藤枝は3421

水戸戦に続き、これくらいの力の相手にたまにギリ勝てるくらいの内容。

ノアと渡の2トップが攻守で量をこなしてくれたのは良い部分だった。
藤枝がCBも含めかなり攻撃に人数をかけてくるため、その穴からカウンターでシュートまで持っていけるシーンなどはチャンスになったが、他のチーム相手にも再現できるものではないため良かった点とは言いづらい。

今期初の完封勝利だったが、2トップ共にかなり低い位置まで下がってきて守備を行っており、個人としてその意識は素晴らしいものの、チームとしては結局人海で守っているに過ぎないため、それが攻撃へ悪影響を及ぼしていることはポゼッション率やシュート数に表れている。
そのためチームとして必ずしもポジティブな無失点とは言い切れないものの、前節6失点していることを考えればとにかく失点しないという意思を見せられたのはこの試合に限った話では悪くないと言える。


○ 第12節 H vsモンテディオ山形

徳島は3421
山形は4231

前節までの4231から3CBに変更
守備時は532をベースに中盤のスライドに合わせてどちらかのWBが前に出ることで442のように守る可変式

山形が徳島の3CBと両WBとボランチ2枚の7枚を前線の4枚で見る守り方で、徳島の最終ラインにそれほどプレッシャーはかからず持つことは難しくなかった。
それにより最終ラインはボランチや前線3枚に縦パスが入れやすく、ボランチのところでも数的優位が出来がちなので反転して運ぶ回数も多かった。
前線3枚は柿谷や杉森は相手SBとボランチの間で受け、ノアが裏に抜けるというムーブが多かった。
後方が持ち運びやすかったため相手DFはどこで奪うかの狙いが定めにくく、徳島がゴール前まで持っていくか山形が後手を踏んでファールになるかという感じだった。
横幅の枚数差で徳島の最もストロングである橋本健人のところがフリーで受けられるのを山形が修正できなかったのはありがたかった。


△ 第13節 H vs愛媛FC

徳島は3421
愛媛は4231

徳島は前節上手くいった3421を継続
守備時532も前節と同じ
相手の愛媛も前節の山形と同じ4231だったので同じような構図となった。

立ち上がりは愛媛が前節の山形と同じく徳島の左右CBにプレスをかけてこなかったため、徳島は最終ラインでの保持が容易となりビルドアップから前進し相手を押し込む展開に持ち込めた。
前半の中頃から愛媛は左SHがカイケのところまでプレスに行くことで圧を強めたが、どうしても右WB田向のところは空くし、左は恐らく橋本を警戒してだと思うが愛媛の右SHはそれほど徳島の左CB青木のところまでは行っていなかったので青木が持ち上がり縦パスを差し込むことで前進されるため、大きく状況を変えるには至らなかった。

後半愛媛は3421に変更。
横幅の人数を合わせたのと、前線3枚で徳島の3CBにというはっきりとした守備ができるようになり、チャンスを作るシーンが増えた。
徳島はそれを受けて前半早い時間に杉本とエウシーニョを投入。
ベースは変えていないと思うが、中盤が玄アンカーで児玉と杉本のIHっぽくなり攻撃時も532(3142)のような立ち位置になっている時間が多いように感じた。

相手が形を変えてきたことで後半は噛み合わせで殴るということができなくなったものの、攻撃時も中盤を3枚っぽくしたことでアンカーが空くよう微調整したのは良い采配だったと言えるし、バランスを崩さずに髙田とチアゴの個で殴る終盤の決断も結果的に点は取れなかったが最善手だったのではないかと思う。

ここまで勝った試合や良い内容だった試合は相手が徳島の最終ラインにそれほど激しくプレスに来ないことが多かったので、相手が試合中に講じてきた策に対して早めに策を打てた部分はこの試合で最も評価されるべき部分であると感じる。


2日後、増田氏が正式に監督就任のリリース。


○ 第14節 A vsファジアーノ岡山

徳島は攻撃時4231、守備時541
岡山は3421

守備時は岡山の3421に合わせる形で541のブロック。
攻撃時は岡山の前線3枚に対し右WBエウシーニョの位置を低くして最終ラインを4枚にしてプレス回避。
それに伴い左WBの柳沢が高め、棚橋が内側にスライドして4231っぽい立ち位置。
中2日の短い準備期間の中で対岡山の準備はしっかりしてきた印象。

狙い通り守備面も保持の部分も機能したと言えるが、保持してからチャンスまで持っていく形はそれほど多く作れなかった。
中央で棚橋が受けて散らしたり、ボランチが高い位置まで走って行ければ良いシーンになることは何度かあったが、ビルドアップの練度の部分は課題が残った。

徳島は永木投入後の62分から532の守備に変更したが、相手の最終ラインへプレッシャーがかからなくなり攻め込まれる時間が多くなった。
しかし柿谷と髙田を投入した76分から再び541に戻した。
システム変更自体は失策だったが、14分で修正できたのは良かった。


○ 第15節 H vs栃木SC

徳島は3421
栃木は3142

雨風が強いなかの試合だったが徳島はしっかりGKから繋いでビルドアップを試みる。
徳島の3CBに対し栃木は2トップ+IH1枚でプレスを掛けようとするがIHのスライドが間に合っておらず効果的なプレスはできていなかった印象。
徳島は右シャドウのチアゴアウベスが、栃木のIHが前へプレスに行って空いたスペース(主に右CBと右WBの間)で受けることでビルドアップの出口を作っていた。
さらに嚙み合わせ的に徳島のボランチのところが空くため児玉や杉本は受けて反転して運ぶというプレーを難なく行えていたことで相手を押し込み多くのチャンスを作ることができた。

チアゴアウベスのプレー位置が低いことでゴール前に人が少なくなるという場面は多く、チャンスの割に1ゴールしか取れなかったのはそのあたりに課題が見える。
ボランチが前線まで攻撃参加してくるシーンは多いが、二人ともサイズはないためクロスのターゲットとしては微妙。
この試合の場合チアゴアウベスが補助に降りてこなくてもボランチはボールを受けられていたため、降りてくる必要性はそれほど大きくなかった。
状況を見て降りてくる必要がなければ前線にとどまるという判断が出来ればなお良し。
あとは、チアゴアウベスがサイドに張りたがるため代わりに右WBの田向が最前線中央まで入って行くシーンが何度かあったが、その役割ならこの試合ベンチに帰ってきた西野の方が適任なのではないかと感じた。


● 第16節 H vsロアッソ熊本

徳島は攻撃時4231、守備時541
熊本は3421

増田監督は基本的に攻撃時は相手の前線より1枚多い最終ライン、守備時は相手の横幅に最終ラインの人数を合わせる配置と可変を採用するが、この試合も例に漏れず、熊本の前線3枚に対しカイケが右SBの位置に移りビルドアップ。

この試合は熊本の前向きの守備が非常に良くかなり強度が高かった。
そのため徳島は後方から前線の3枚に縦パスを差し込んでも中央ではすぐに囲い込まれ潰される。
のにも関わらず徳島の前線3枚はラインブレイクの意識が低く相手のCBとボランチの間で、足元で受けるプレーばかり繰り返し潰され続けた。
左SBの橋本も中央寄りの立ち位置でプレーしており、SHの杉森も中央にいるため大外にパスコースがなく中央を力技でこじ開ける他ない戦い方を強いていた。
結果的に前半がはシュート0本。

一方の熊本はライン裏に走る意識がかなり高く、抜け出しからシュートシーンを何本も作っていた。

後半立ち上がり早々に西野が裏への抜け出しからPKを獲得したものの、そのプレー以外は後半に入ってもラインブレイクの部分の意識はあまり変わらず、効果的な攻め手はあまり見出せず。
後半途中からブラウンノアや渡、棚橋といったライン裏でプレーできるタイプを投入するも、裏を狙うといった意識はあまり見られなかった。
カイケが適当にクリアしたボールをブラウンノアが走って収めてマイボールできていたのに何故最後まで中央ゴリ押し地上戦にこだわったのか謎だった。

熊本は綺麗な裏抜けから決勝点を奪い、チームとしての意識が足元か、ライン裏のスペースかという違いが結果を隔てた試合となった。


△ 第17節 A vsいわきFC

徳島は3421
いわきは3142

前半は風下に立ったこともありいわきの圧力を受けてロングボール主体。
渡が収めてからシュートまで行くシーンは何度かあったものの総じていわきのペースで進んだ。
ブラウンノアが裏で受ける狙いは見えたが、風でボールが押し戻されるのといわきのフィジカルで、収めてチャンスを作るまでには至らず。

後半も同じ流れで進むが、中盤からいわきの圧が落ちたことでボールを保持できる時間が増えた。
しかしセットプレー以外で大きなチャンスはなく、勝ち点1で御の字といった試合だった。

こういった相手にしっかり立ち位置とビルドアップで戦えないと、個の能力で圧倒する以外の道筋を見つけることはなかなか難しい。


○ 第18節 A vs大分トリニータ

徳島は3142
大分は442

相手の2トップに対して徳島は3CBで数的優位なのと、大分がそれほど徳島の最終ラインへプレスに来なかったため保持は難しくない状況。
そのため最終ラインから精度の高いボールが配給でき、ブラウンノアがライン裏で受けるシーンが効果的に行えていた。
大分の保持があまり上手くいっておらずブラウンノアの高い守備意識に苦戦していたのと、徳島のIHと大分のボランチのところが噛み合っていたことで児玉と杉本が引っ掛けて高い位置で奪うシーンが目立った。
前半はほぼほぼ徳島のペースで進んだ。
徳島も良い内容だったがそれ以上に大分の粗が目立った印象。

後半大分は徳島と同じ3142に変更。
徳島はそれを受けて杉本を一列上げて3421に変更、守備時は杉本が絞って相手のアンカーを見る形。
この対応策が上手くいき、大分の中盤で引っ掛けたカウンターから追加点を挙げることに成功。
ここまでは増田監督が完璧な仕事をしたと言える。

大分は2失点目直後に退場者を出し441に変更
また、その20分後にも退場者を出し431に変更
相手から見ても2回とも退場はかなり厳しい印象だったが、残念ながら徳島にとってもラッキーな退場とは言い切れなかった。
何故なら徳島は2得点目まではほとんど完璧な試合が出来ていたものの、相手に退場者を出してからの立ち回りには課題を残したからである。
まず、相手の人数が少なくリードしている状況なのに簡単なボールロストが目立った。
最終ラインでボールを回すことが容易な状況で相手を揺さぶれば前進はそれほど難しくないのに安易に確率の低い縦パスを差し込んだり、
相手が守備で片方のサイドに密集している状況で、逆サイドに数的優位が出来ているにも関わらず相手の人数が多い場所にドリブルで仕掛けたり縦パスを差し込み相手にボールを渡すシーンが目立った。

結果的に一人少ない相手に失点を喫し、2人少ない相手にも得点はおろかほとんどチャンスシーンも作れなかった。


● 第19節 H vs横浜FC

徳島は3142
横浜FCは3421

徳島は相手の前線の人数より最終ラインの人数を1枚多くするいつもの形ではなく、横浜FCの前線3枚に対し3CBでのビルドアップ。
守備時は杉本が一列前に出る形で横浜FCの3CBに対し3枚でプレス、引く時は541でブロック。

立ち上がりから徳島が支配しプレスも機能したことでペースを握っていたが、決定的なチャンスが多く作れるというわけでもなかった。
誰がどう点を取るのかという部分で課題は多く、チアゴアウベスが仕掛けて強引に左足を振るという形はあるが、ギャンブル性が高くそれだけでは難しい。
チアゴアウベスがサイドに開くことで中央の人数が減りPA内でシュートを打つシーンを減らしているという側面もある。

後半途中から4231に変更
最初は髙田が右SHで橋本が左SHだったが数分後に左右を交代。
恐らく髙田の仕掛けを活かすため髙田が得意なサイドに持ってきたのだろうが、髙田の仕掛けより橋本のクロスの方がチャンスになっていたのであまり有効手ではなかった。
それなら青木を下げて橋本を左SBの入れればよかったのではないかと思うが、この試合スタメンではなかった橋本のコンディション面を考慮してのSH起用だった可能性もあるため何とも言えない。


● 第20節 A vsジェフユナイテッド千葉

徳島は3421
千葉は442

今シーズン何度もあったなかで一度も解決できていないシチュエーションをこの試合でも迎えた。
この試合と同じように徳島は最終ライン3枚でビルドアップをするのに対し相手が442というシチュエーションは何度もあった。
この構図の場合、試合展開は2種類に分かれる。
それは相手のSHが徳島の最終ラインまでプレスに来るか否か。
徳島は相手のSHがCBまで来なければ最終ラインで余裕をもって保持でき、そこから児玉や杉本を経由するなどして前線へ配給ができ自分たちのペースで試合を進めることができる。
そういった試合は総じて内容が良い。
しかしその逆、相手のSHが徳島の最終ラインまでプレスに出てくる、要は徳島の3CBに対しCF1枚+両SHの3枚で人数を合わせてプレスに来る相手には全く自分たちのペースで試合を進められていない。
総じて内容が悪い。
秋田やいわき、2節の鹿児島戦なんかは後半から相手がそのやり方に変えてきて逆転負けとなった。
この試合はまさにそうで、千葉は素晴らしい運動量と強度でSHがCBにプレスをかけた後WBに対し二度追いというのを何度も繰り返していた。
徳島は特別何か策を打てるでもなく前半中盤あたりからゴールキックのビルドアップを諦めCFの渡めがけて蹴る他なくなった。

それに加えこの試合は守備時の問題もあった。
徳島は千葉の形に合わせて守備時は右SBのエウシーニョが一列前に出て442のブロック。
ミラーで守るのはすごくシンプルではあるが、エウシーニョがSHとなったことで前線4枚で相手の最終ラインにプレスをかけるといったことは出来ず、受け身の守備という印象が強かった。
さらに右サイドのカイケと千葉の左SH高木とのマッチアップでカイケが突破を許すシーンが何度か続き、エウシーニョが最終ラインに吸収されるような位置取りを取り始めたのでさらに奪いに行く守備ではなくなった。

守備においてはエウシーニョを右SHの位置で守らせ左を前に出すなど策は取れたはずだが特に何もなく。
攻撃においても最終ライン4枚でビルドアップする、シャドウを落としてサポートさせるなど講じられる策はあったように思う。
しかし今シーズンはこの3421vs442の構図で同じ過ちを繰り返し続けている。


○ 第21節 H vs水戸ホーリーホック

徳島は3421
水戸は442

前節と同じ3421vs442の構図だが、前節の千葉とは違い水戸は徳島の3CBに対し2トップでプレス。
水戸のSHはたまにCBのところまでも行くがそれほど奪いに行くという感じでもなく、基本はWBを見ていた。
水戸の強度も高かったが前節に比べ徳島がボールを持てたのは、水戸がFW2枚ともCBのところまで来るためボランチが受けられることが多かったことが大きい。
もう一つはエウシーニョが剥がして運ぶ部分で優位性を持ち続けられたこと。

さらにこの試合はいつもと比べてビルドアップ時のGKの位置が高く、スアレスが森と横並びで配給するような場面が多かった。
恐らく前節の千葉戦を受けてスアレス込みで最終ライン4枚でのビルドアップという策を練ってきたのではないかと考えられる。
千葉と水戸のプレッシングが違ったため、この策自体の有用性はあまり評価できなかったが悪くない試みだろう。


△ 第22節 H vsV・ファーレン長崎

徳島は3421
長崎は433

長崎は徳島の最終ラインへそれほどプレッシャーに来ないため徳島が保持する展開。
守備時442の長崎に対し徳島は幅で優位性を作る狙いが見えた。
ブルドアップから逆サイドのWBがフリーになったところでそこへサイドチェンジし、エウシーニョは中央へ裏抜けを狙ったり橋本のクロスから何度かチャンスができた。

守備は前線からかなりアグレッシブに奪いに行けていた。
ブロックは541だったがブラウンノアがかなり長い距離走って守備をしてくれたのに助けられた場面は多かった。
前半途中から入った坪井も2点目のPK奪取は言わずもがなであるが、流れの中で人がいなくなったサイドを埋めるランニングをサボらずやっていた。
ブラウンノアと坪井2人の献身性が首位相手に優位な試合ができた最も大きな要因であった。


○ 第23節 A vsヴァンフォーレ甲府

徳島甲府共には3421

徳島は守備時柿谷がひとつ下がり532のブロック。
甲府はアダイウトンが張った位置で仕掛けるところで質的優位を作り試合を優位に進める。
徳島の保持時、甲府はそれほどプレスに来るわけではないがボランチがしっかり徳島のボランチを捕まえることで前進を許さず、攻守ともに前半は甲府ペースで進み徳島はほとんどいいシーンを作れなかった。

徳島は後半頭からチアゴを下げて坪井、後半13分に柿谷を下げて杉本を投入。
この2枚の交代後、徳島は守備時541に変更。
前線の並びが左から杉本、坪井、ブラウンノアとなる。
これによりブラウンノアがかなり運動量多く守備に戻ってくれるおかげで前半甲府のストロングだったサイドのところの守備が安定。
杉本も相手CBからWBのところまで2度追いで守備、坪井も最前線で強度高く追ってくれるため強度のところで大幅な改善が見られた。

攻撃では杉本が中盤で相手の逆を取りターンして運ぶプレーがかなり効果的で、前半相手のボランチに捕まり続けた中盤に違いを生み出した。

そして何よりも2得点決め切った坪井清志郎が素晴らしかった。


○ 第24節 H vsベガルタ仙台

徳島は3421
仙台は442

岩尾憲が移籍後最初の試合でスタメン出場となったこの試合、全ての徳島ヴォルティスサポーターが岩尾憲の凄さを再認したことだろう。
わかりやすく文章にできるプレーではなく、ちょっとした持ち方やリリースするタイミング、それらの選択すべてがボール保持と優位性を生み出している。
そしてそれが他の10人のプレーの質を上げる。
特に柿谷のプレーは明らかに違っていた。
間違いなく今期ここまでのベストゲームと言える試合だろう。

仙台は442だが2トップは縦関係で右SHは徳島の最終ラインまで来るが左SHはあまり最終ラインまでプレスに来るわけではなく徳島の3CBに対し2枚でプレス。
徳島はGKも含めたビルドアップでそれほど危ないシーンもなく、2ボランチで相手トップ下のマークもうまくかわして前進できた。
森昂大の縦パスもかなり効いていた。

しっかり保持はしつつライン裏へのボールも効果的に出てバランスのいい攻撃が出来ていた。
坪井とブラウンノアが決定機のうちひとつづつ決め切れていれば完璧だったが守備やランニングでの貢献度は相変わらず図抜けている。


○ 第25節 A vs愛媛FC

徳島愛媛ともに3421

前半は若干徳島が押し気味に進めるという展開。
形を合わせてくる愛媛に対し落ち着いてビルドアップできる状態ではなかったが、森昂大が効果的な縦パスやロングバスを配給できており坪井やブラウンノアがポストやライン裏で起点を作ることでチャンスを作り出すことに成功していた。
愛媛の攻撃時は右CBがボランチ的な立ち位置をとり最終ライン4枚で回すという形をうまく捕まえられず、ハイプレスを搔い潜られてピンチになるといったシーンが何度かあった。

後半は徳島の強度が落ちたことで押し込まれる時間帯が増えた。
それも含め愛媛の左サイドで優位性を作られていたのも苦しむ一因となった。
チャンスは少なかったが後半途中出場の髙田が個でチャンスを作れたこととディフェンス陣が体を張ってしっかり守りきれた、四国ダービーで勝ち切れたというのは収穫になった。


● 第26節 A vsモンテディオ山形

徳島は3421
山形は4231

前節終了後に加入した山口竜弥が先発出場

立ち上がりから山形のプレス強度が高く、徳島の3CBに対し前線3
枚で追いWBもSBに捕まえられる構図。
徳島は坪井やブラウンノアへの長いボールで回避しようとするが全体としてプレーの質が低い。

坪井やブラウンノアが裏で受けようとするシーンは何度かあったもののWBがラインブレイクするシーンはあまり見られず、それにより相手SBもSHも前向きに強く守備へ出ていける状態となっていた。
これにより相手の圧が強くなってビルドアップできずにロングボールを蹴るシーンが多くなった。

後半は左WBに高い立ち位置を取らせる意図が見て取れたがライン裏で受けるようなシーンは全くなく、髙田とワディ投入以後はさらに全体としてフリーランが停滞し、髙田に仕掛けさせるかワディにロングボールを入れるかといった単調な攻撃に終始した。

徳島のWBが相手SB裏のスペースを使えなかったというのがこの試合の全て。
その点において前節の西野は効果的な動き出しをしていたが、左利きの山口の方がクロスを上げられる本数は増えるため一長一短の選択だろう。


△ 第27節 H vsファジアーノ岡山

徳島岡山ともに3421のミラーゲーム

徳島は攻撃時左WBの山口が高め右WBのエウシーニョが低めに位置を取り、シャドウは左の柿谷が下がり目で433のような形で相手の配置とずらして保持。
それに対し岡山は右シャドウの神谷が外めに位置を取り左WBの末吉が高めに位置することで442のような形でプレス。
徳島は相手のプレスがハマっているため効果的な前進が出来ていたわけではないが、渡やブラウンノアが裏で受ける動きから何度かチャンスは作った。
とはいえどちらかといえば相手ペースという流れで進む。

岡山は攻撃時はそのまま343で、CFの一美に長いボールを当てて起点を作りサイドから仕掛けるという形。
WBが高い位置を取りCBとWBの間のスペースにシャドウが落ちてボールを貰うことで保持の安定性を作っていた。

厚みのある攻撃が出来ていたのは岡山の方で、CKの回数と徳島がファールで止めるシーンが多くFKを与えるシーンも多かった。
やはり持つべき時間はしっかり持って前進できないと押し込まれてセットプレーを与える回数の増加につながってしまう。

● 第28節 A vs横浜FC

徳島は守備時3421、攻撃時433
横浜FCは3421

前節と同じく相手が3421のため433で保持。
中盤は3枚だが杉本が下がり目で柿谷は高めだが低い位置まで受けに降りて来る場面も多い。
横浜FCが高い位置から圧力の強いプレスに来るため永木と杉本は相手の2ボランチに捕まり、柿谷も右CBに捕まり、というところで繋いで前進は難しくショートカウンターを喰らう場面も多かった。

後半はIH2枚の位置を高くして明確に中盤を逆三角形にしてからはアンカーが持てるシーンも多くなったが、前線に長いボールを付ける単調な攻撃が続き大きな決定機も作れず終了。

ボールは保持しているが全体的に立ち位置が悪く、いてほしい場所に選手がいない場面が散見される。
そのため相手のプレスを繋いで掻い潜るといった場面はあまりなく、最終ラインで何本か繋いで結局は前線に長いボールを入れるという形に終始している。
ここ3試合がこのやり方の限界であるのは明らかで、チームとして立ち位置の決まり事やコレクティブさの追及が抜けたなんちゃって保持ではマネーゲームでしか強くなれない。
岩尾や渡井がいるうちに立ち位置、ポジショナルといった部分を落とし込める人間を読んできてクラブとしてのスタイルを構築できないと未来はないだろう。


○ 第30節 A vsレノファ山口FC

徳島山口ともに3421

前半は徳島が保持し優位に進める展開
渡が相手CBとの競り合いで勝てるシーンが多く、そこを起点に相手ゴールに迫る場面が多かった。
ミラーゲームだが山口がそこまでプレスをはめ込んでくるわけではなく、徳島もそこまで繋いで前進していくというわけではなかった。

後半は青木が退場し、ひたすら守り切る展開となった。


○ 第31節 H vs大分トリニータ

徳島は3142
大分は3421

徳島は前節からシステムを変え中盤3枚で岩尾がアンカー、その前に児玉と鹿沼。
大分は想定と違ったのかプレスがはまらず、特に中央で岩尾がフリーで持てるシーンは多く中央を割られる場面が目立ち徳島が23分で3点リードの展開。
徳島のIH2枚の運動量がかなり多く、ライン裏に飛び出してボールを受けるシーンが目立ち、大分がその児玉と鹿沼の二人を全く捕まえられていなかったことも攻勢に拍車をかけた。

前半の飲水タイム後、大分は5311の守備にしてアンカーのところを消してくる配置に変更。
これにより徳島は中央を割れるシーンは減ったが、逆に左CBに入った永木のところで持てるシーンが増えたため安定した試合運びは出来ていた。

後半は大分が押し込む展開が続く。
攻撃時も徳島と同じく3142で、徳島はIHの野村を捕まえるのに苦労し前半とは一転して攻め込まれる試合となった。
高い位置で保持できる時間が少なくなったことで前半効果的だったIHが裏で受けるシーンも作れず、ビルドアップで前進ができないチームである以上嚙み合わせで劣勢となるとこういった展開を受けて凌ぎきるのが現状の限界と言える。

失点シーンは永木の対応が悪かったが、ほとんど経験のないCBでの出場だったため、この1失点より3点取ったことで採算を取ったと考えるべきだろう。


● 第29節 H vs清水エスパルス

徳島は3142
清水は3421

台風の影響により延期となっていた試合。

システム上の構図は前節と同じだが、徳島の保持時で前節の大分と今節の清水が違っていた点としてはボランチの宮本がアンカーの岩尾にかなり深い位置まで付いてくる守備をしていた点。
徳島としてはボランチが高い位置まで守備に出ていた分空いていたIHの児玉のところを使って攻めたかったが、児玉が受けて反転して運べたようなシーンは1回しか見られなかった。
前節のように両IHが相手ライン裏に飛び出して受けるようなプレーも少なく、FWの柿谷も下がって受けるようなプレーが多かった。

後半カイケを投入して石尾をWBにし、その後石尾に代わり永木がWBを務めていたが、何のためにベンチに田向を入れていたのかが謎。


● 第32節 H vsいわきFC

徳島は守備時532、攻撃時433のような布陣
いわきは守備時541、攻撃時3142

チームとして繋ぐ意識が低いため奪っても簡単に相手へボールを渡し、保持で相手の良さを消せないため受ける展開となり失点シーンのような相手にストロングを出すプレーを繰り返される。
このチームでは個の力で押し切る以外の勝ち筋が見えない相手。
保持で何か違いを生めないこのチームがいわきと比べて組織として優れている点があるのかと問われれば何も思いつかない。
このやり方、この監督で戦える底が見えているという他ない。


● 第33節 A vsブラウブリッツ秋田

徳島は3421
秋田は442

前節と同じような相手に何も改善が見られず、戦前の予想を全く裏切らない試合展開で妥当すぎる敗戦。
最終ラインは長いボールを蹴るだけで空いている選手を見つけて相手を揺さぶるというプレーはなく、フィジカル勝負という相手の土俵で戦い局面でも完敗。
後半3142に変えて相手FWがアンカーをケアするようになり左右CBが空くシーンが増えたもののフリーな方に揺さぶって運んぶようなプレーはなく、相手との距離が近いWBに付けてプレッシャー浴びてロストという練度のかけらも感じないビルドアップで結局裏に蹴るだけの無策。

試合後の監督インタビューで戦術以前の部分を問題に挙げていたが、明らかに問題なのは戦術の部分である。


○ 第34節 A vsロアッソ熊本

徳島は3142
熊本は3313

徳島はいつものように前線3枚の相手に対し最終ライン4枚のビルドアップ
最初はエウシーニョが最終ラインに入って4枚だったが、途中からは岩尾が落ちて4枚になることが多かった。
前節までよりもGKから繋ぐ意図は見られたが効果的なシーンはほとんどなく、前半は時折ブラウンノアの身体能力でひっくり返す時以外は守勢に回り押し込まれる状況を変える道筋は見えなかった。

後半もそれほど目立ったシーンはなかった印象だがなんやかんやで逆転勝ち。
ブラウンノアや坪井が前線で起点になるところで勝てるシーンは多く、個の力で押し切ったと言える。


○ 第35節 H vs藤枝MYFC

徳島は3421
藤枝は352

徳島は攻撃時左CBの青木が偽SB的な立ち位置を取り、左WBの西野と右シャドウのブラウンノアが開いた立ち位置で433のような形。
藤枝のプレス強度がそれほど高くなかったため最終ラインや中盤で前向きにボールを持つ難易度は低く、勝てるパターンの相手にしっかり勝ち切った試合。

徳島の選手は中盤で前向きにボールを持てる、反転できるシーンを作り出せれば相手を圧倒できる能力はあり、どんな相手にもそういったシチュエーションを作り出せるようなビルドアップと保持の仕組みを組織として整備することが正解であると物語っているような試合であった。


○ 第36節 A vsザスパ群馬

徳島は3421
群馬は442

群馬は前線からプレスをかけて奪いに行く意図は見られたが、徳島の保持が困るほどの連動性は見せられず。
徳島が保持できるパターンの試合で勝てるパターンの試合を勝ったという試合。
降格の決まった最下位相手に個人戦術で押し切れれば難しくない試合はできる。


○ 第37節 H vs鹿児島ユナイテッドFC

徳島は守備時3421、攻撃時433
鹿児島は4231

左CBの永木がかなり流動的に動いてて、ボランチの位置で捌いたり前線まで出て行ったり、一度逆サイドまで行くこともあって、おそらく個人の判断でやってたのだろうと思うがよくわからない試合ではだった。

お互い消化試合ということでまあ勝ったのだけはよかった?


△ 第38節 A vs栃木SC

徳島は守備時3142、攻撃時433
栃木は3421

降格が決まったチームにも変わらず前からプレスではめられると大して何もできず、人海で守って単騎のカウンターに終始。

来季この監督で昇格目指すとか言っているのを聞くとゾッとする。


表彰

・月間ベストゴール

4月 橋本健人

9月 渡大生


・月間MVP


・月間最優秀監督


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