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第1回 徳島ヴォルティスアウォーズ2005~2014


序文

2024シーズン、徳島ヴォルティスはJリーグ参入後20年目のシーズンを戦うことになる。
そこで2024シーズン終了後に20年間のアウォーズをやろうと思ったのだが、20年で区切るのは中途半端だし、この20年でチームの状況も大きく変化したことを考えるといささか選びづらいなと感じた。

そこで20年ではなく直近10年にしようかと思ったのだが、直近10年を選ぶのに最初の10年がないのもおかしな話だと思い至たる。

そこで1年後に控える20年目のシーズン終了に先駆けて、2005年から2014年の「最初の10年」の徳島ヴォルティスアウォーズを個人的に決めていきたいと思う。

ある程度データは基にするものの、最終的には筆者個人の主観ということになるので異論は認める。

※選考概要
Jリーグアウォーズを参考に以下部門を設けることにする。

・最優秀選手賞
・最優秀監督賞
・ベストイレブン
・優秀選手賞30名
・得点王
・ベストゴール賞
・スーパーゴール賞
・ベストアシスト賞
・ベストマッチ賞
・最多勝利選手賞
・ベストヤングプレーヤー賞(21歳以下での成績)
・フェアプレー賞
・功労選手賞


参考データ

ここから紹介するデータは全て2005~2014のものなので、2014シーズン終了時点の気持ちになってご覧ください。

まずは順位推移

順位はJリーグ全体での順位

3年連続最下位の期間がありつつもJ2最高位の4位が2回
参入9年目でプレーオフを勝ち抜きJ1昇格を決め、結果は最下位だったものの10年目のシーズンに初のJ1を戦えた。

徳島ヴォルティスはこの10年間でリーグ戦415試合112勝103分200敗で勝率は28.7%(ホーム32.4%:アウェイ25.0%)
通算勝点は469ポイント
460得点618失点
通算得失点は-158
クリーンシートは105試合
先制した試合の勝率は38.8%、敗率は17.0%
先制された試合の勝率は7.1%、敗率は76.8%
10年間の平均入場者数は4611人

5年以上在籍している選手

100試合以上出場した選手

出場時間TOP10

シーズン最多得点者

シーズン最多出場

シーズン最多スタメン

シーズン最長出場

シーズン別得点ランク

MIP


徳島ヴォルティスアウォーズ

ここからはいよいよ、10年間に在籍した計140名の選手、5人の監督の中から各賞と授賞理由を発表していく

それではご覧ください


・優秀選手賞30人

GK 4人

・島津虎史
・上野秀章
・オスンフン
・長谷川徹

DF 7人

・登尾顕徳
・西河翔吾
・三木隆司
・ペスンジン
・福元洋平
・西嶋弘之
・藤原広太朗


MF 13人

・片岡功二
・挽地祐哉
・石田祐樹
・玉乃淳
・麦田和志
・倉貫一毅
・徳重隆明
・斉藤大介
・濱田武
・衛藤裕
・青山隼
・大崎淳矢
・柴崎晃成

FW 6人

・羽地登志晃
・ドゥンビア
・津田知宏
・佐藤晃大
・柿谷曜一朗
・高崎寛之


【選考理由】
J2最高位だった2011年と2013年のメンバーを中心に出場試合数や得点数などの数字、各年の中心的なメンバーを筆者の印象で選考


・得点王


受賞者:津田知宏


【選考理由】

10年間で2桁のゴールを記録した選手は以下

徳島ヴォルティス最初の10年間で最もゴールを奪った津田知宏は4年間で46得点を記録。
2010年の16得点はJ2得点ランク2位タイで日本人に限れば1位、徳島ヴォルティスにおける1シーズンでの最多得点記録となった。
さらに2012年、2013年と3度クラブ最多得点者となっている。
2013年にはクラブ初のJ1昇格の立役者となった。


・最多勝利選手賞


受賞者:津田知宏


【選考理由】

出場した試合での勝利数において30勝以上した選手が以下

10年間で最も勝利した試合に出場した津田知宏は5年間で59勝をチームにもたらしている。
これで得点王に続き2冠となったが、自らのゴールでチームを勝たせてきたことが数字に表れている。

ちなみに勝率で言うと、30試合以上出場した選手の中で最も勝率が高かったのは勝率50.0%の柴崎晃成である。


・ベストマッチ賞


受賞試合:2009年 第31節 愛媛FC戦 6-0 ○


【選考理由】

1試合6得点は10年間で最多、6点差勝利も最多
入場者数13743人も10年間で最多
これを四国ダービーという重要な試合で成し遂げた


・ベストゴール賞


受賞ゴール:2013年 J1昇格プレーオフ決勝 京都サンガFC戦 43分
得点者:津田知宏


【選考理由】

クラブにJ1初昇格をもたらしたエースストライカーのゴール。
10年間で最も得点を奪ってきた津田らしい裏抜けからの得点は徳島でのキャリアを象徴するような集大成とも言える得点。


・スーパーゴール賞


受賞ゴール:2008年 第38節 愛媛FC戦 84分
得点者:大西孝治

【選考理由】

2008年のベストゴールアワード受賞ゴール
セカンドチームから昇格初年度、ここまで出場わずか48分だった徳島県出身の若手FWが四国ダービーで愛媛にとどめを刺したゴラッソミドル。
しかしその後も出場試合数は伸ばせず翌年にはチームを去ったことがこのゴールをさらに伝説たらしめている理由のひとつか。


・ベストアシスト賞


受賞ゴール:2011年 第21節 東京ヴェルディ戦 90+5分
アシスト者:徳重隆明


【選考理由】

2011年度ベストゴールアワード受賞ゴール
クロスが流れゴールラインを割りそうなボールをバイシクルキックで折り返し後半ATの劇的同点弾をもたらした。
技術、アイディア、シチュエーションのどれを取っても印象的でハイレベル。


・フェアプレー賞


受賞者:藤原広太朗


【選考理由】

5000分以上出場している退場0の選手の中で90分あたりのイエローカードが少なかった選手は以下の通り

GKを除くと90分あたりのイエローカードの枚数は羽地登志晃と藤原広太朗の2人が並んで0.04枚が最小。
1万分以上出場して黄7枚の羽地も凄いが、ディフェンダーというポジションで唯一0.10枚以下であり、6000分以上出場して3枚しかカードを貰っていない藤原広太朗はかなりクリーンな選手だと言える。
ポジションなどを考慮して藤原広太朗を選出とした。
CB,SB,ボランチと守備的な位置をマルチにこなしていた挽地祐哉も3年連続最下位の時期が主な活躍時期だったにも関わらず0.10枚という数字はかなり凄い。


・功労選手賞


受賞者:片岡功二


【選考理由】

1996年~2009年の14年間、高校卒業後前身の大塚製薬サッカー部に入部し大塚・ヴォルティス一筋で現役を終えたMr.VORTIS。
2003年2004年のJFL連覇で徳島ヴォルティスのJリーグ入りに大きく貢献し、JFL時代も含めればリーグ戦出場301試合40得点。
この10年間でも出場試合数、出場時間でTOP10入り、2桁得点などプロ入り後から引退するまでの5年間でも素晴らしい結果を残した。


・最優秀監督賞


受賞者:美濃部直彦


【選考理由】

なぜクラブ史上初のJ1昇格に導いた小林伸二氏ではないのかは以下の通り

ともにJ2での最高位は4位
勝点、得点、失点の数字は全て2013年の方が良い
しかし試合数に4試合の差があるため1試合当たりの平均で見てみると全て2011年の方が良い数字であることが分かる。
J1のシーズンを除けばこの10年では2011年が最も強かったのではないだろうかと考えられる。
2011年には昇格プレーオフがなかったため、昇格の有無で差を語るのはフェアではないと判断した。
加えてJ2最下位でバトンを受け取りチームをここまで強化した点も評価したい。


・ベストヤングプレーヤー賞


受賞者:柿谷曜一朗


【選考理由】
2009年~2011年が21歳以下に該当
2年半で97試合14得点と、21歳以下では圧倒的な数字を残している。
移籍の経緯からその後のストーリーまで多くの人の心に残る選手となった。
他候補では21歳が加入1年目だった青山隼がその年45試合2得点。


・ベストイレブン

最優秀選手賞30人の中からベストイレブンを11人選出する。

GK

オスンフン

優秀選手賞受賞GK4人の成績が以下

※平均失点は90分あたりの失点数
※失点率は被シュート1本あたりの失点確率

出場72試合は島津に次ぐ2位
30試合以上出場したGKの中では1試合当たりの失点数が0.99と最小
クリーンシート30は最多
無失点率41.7%も最高
10年間で1試合当たりの失点が最も少なかった年(2010年)の正守護神
2011年と2012年の2年連続でMIPに選ばれている


DF

三木隆司

2009年から5年間在籍した2011年のディフェンスリーダー
2010シーズンはキャプテンを務める
出場141試合は5位
出場12284分は2位
勝利数55は3位


青山隼

2009年から計5年間在籍
2011年には浦和レッズに引き抜かれたが1年で復帰
元々はボランチだがJ1初昇格を決めた2013年は主にCBとしてレギュラー出場
出場137試合は6位
出場9050分は7位
勝利数48は6位


MF

倉貫一毅

2008年から4年間在籍
2009と2011シーズンはキャプテンを務め2011シーズンは昇格争いをピッチ内外で支えた。
出場137試合は6位
出場11215分は4位
勝利数51は4位
ボランチながら4年で9得点を記録


濱田武

2010年から5年在籍
2013年の昇格時にはボランチで中心選手として活躍
柿谷の兄貴分としてピッチ外でも多大な貢献をした
出場155試合は4位
出場11691分は3位
勝利数56は2位


柴崎晃成

1年間の在籍だったにも関わらず攻守に莫大なインパクトを残し、クラブのJ1初昇格に多大なる貢献をした。
2013年は6ゴール3アシスト
出場した試合の勝率は50%


石田祐樹

2005年~2009年の5年間在籍
アタッカーとしてJリーグ参入初期の攻撃を引っ張った。
2007年と2008年の2度チーム内得点王
2007年にはMIP
出場159試合は2位
得点数22は4位
2009年のベストゴール受賞


片岡功二

JFL時代から徳島一筋でを支えた左サイドのスペシャリスト
2006年のキャプテン
出場119試合は9位
出場8619分は8位
2005年のMIP
5年間で23勝10得点


FW

津田知宏

2010年から2014年の5年間在籍
クラブをJ1に導いたストライカー
得点数46は1位
出場156試合は3位
勝利数59は1位
2010年、2012年、2013年の3度チーム内得点王
2010年、2013年の2度MIP
2011年と2013年のベストゴール受賞


羽地登志晃

2005年から2007年、2009年~2010年の計5年間在籍し徳島で引退
クラブ初期を支えた大型ストライカー
出場171試合は1位
勝利数44は7位
得点数39は2位
2005年~2007年、2009年の4年チーム内得点王


徳重隆明

2009年~2012年の4年間在籍し徳島で引退
美濃部監督時代の中心人物で豊富な経験値を持ち徳島ヴォルティスのクラブとしての格を一段引き上げた
出場129試合は7位
勝利数50は5位
得点数20は5位
2009年のチーム内得点王
2009年のMIP受賞
2011年のベストゴールに選ばれた津田のゴールは徳重のバイシクルアシストが選出に大きく影響したといえる。


以上11人をベストイレブンとする

・最優秀選手賞

最後に10年間で最もチームに貢献した最優秀選手賞を発表する

最優秀選手賞は



◤      ◥
  津田知宏
◣      ◢



得点数と勝利数でクラブ1位
MIP2度は最多タイ
チーム内得点王3度もクラブ最多タイ
2013年には昇格プレーオフ決勝でクラブ初のJ1昇格を決める得点を奪うなど、Jリーグ参入10年でJ1昇格を果たしたクラブの歴史をストライカーとして最前線で引っ張ってきた立役者。
2011年に昇格を逃した悔しさを晴らす2013年、昇格が決まった瞬間ベンチで顔をうずめ涙する姿はクラブの歴史で最も印象的なシーンの一つ。


結文

ベストイレブンはまずなんとか12人まで絞り込んだのだが、最後の一人を外すのに苦労した。
最終的に漏れた一人というのが柿谷曜一朗である。
どうにか柿谷は選びたかったのだが、どうしても選んだ11人から外せる人がいなかった。
今回選んだ選手は皆、徳島ヴォルティスというクラブを作ってきた人たちである。
柿谷もそうだが、柿谷は先輩たちやクラブ、街が今の柿谷曜一朗を作ったという側面もある。
2023年徳島に帰ってきたという点も考えれば、柿谷が本当の意味で徳島ヴォルティスというクラブに多くのものをもたらすのはまだこれからだとも取れる。
そう思い至った時に、柿谷をベストイレブンから外す諦めがついた。

20年目のシーズンを前に、いま改めて最初の10年のアウォーズを当時の記憶とデータを基に個人的に開催してみたが、納得のいくものが出来たのではないかと思う。

選手時代は知らなくても、どこかしらで名前を見たことがあるという選手は結構いるのではないだろうか。
この記事を書いている2023年末現在で
秋葉忠宏は清水エスパルスの監督
伊藤彰はツエーゲン金沢の監督
大島康明は鹿児島ユナイテッドFCの監督
倉貫一毅はY.S.C.C.横浜の監督
高橋範夫は大宮アルディージャのGKコーチ
登尾顕徳はガンバ大阪の強化スタッフ
谷池洋平は徳島ヴォルティスの強化部
宮崎光平は徳島ヴォルティスの営業部
など引退後もJリーグで活躍している人も多い。

近年徳島ヴォルティスを応援し始めたサポーターたちにも、この記事を読んで偉大な先人たちの名前を一人でも多く知ってもらえれば幸いと願いこの記事を終わりたいと思う。

次の10年でまた会いましょう。



【出典】

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