自転車徘徊 八尾
8年ぶりくらいに地元に住むことになった。正直地元のことをよく知らないし、知ろうと思ったこともなかった。大学に進学後、自分で選んで住んだ場所の方が思い入れがある。ミナミにでも繰り出したいが、「不要不急」の用で公共交通機関に乗るのはよくないらしいので、最近は自転車で徘徊している。
この間は、近鉄八尾駅近くの商店街・八尾ファミリーロードに行った。商店街は4つの通りがあり、八尾天満宮や常光寺、大信寺の3つの寺社と隣接している。店の並びに寺があると、昔ながらの下町って感じで安心感がある。
八尾は河内音頭発祥の地。とにかくそれを前面に出していて、アーケードの天井飾りにも太鼓を叩いたり、踊ったりするイラストが描かれている。私も小学生のころ地域の祭りで踊ったが、リズム感と運動神経がないので、講師に長時間指導されて全然楽しくなかった気がする。集団で同じタイミングで同じ動きをするって、できない人間にとってはなかなか苦痛だった。
商店街の一等地にある「館長 河内屋菊水丸 河内音頭記念館」の看板が異彩を放っている。河内音頭の継承者・菊水丸の愛用品や資料があるらしい。記念館というよりも何の情緒もない電器店みたいな雰囲気がある。時間的には開館しているみたいだが、シャッターが半分閉まっていたのもあり、入るのはためらった。客がひとりもいない中で入るのは勇気がいる。また今度挑戦する。
「沖縄のもずく天あります」。店頭に貼ったチラシが目について、山徳天ぷら店へ。もずく天、紅しょうが天、れんこん天を買った。ポテトサラダもあるみたい。天ぷら屋のポテサラって美味しそう。
古びた提灯と暖簾が店先に掲げられ、屋台のラーメン屋然とした風情がある。スマホで写真を撮りたいと思ったけど、地元の店だから店主に気恥ずかしくて言い出せなかった。地元とはいえ、全く面識もないし、初めて来たのに。ほかの場所なら、よそもんとして気楽に振舞えるけど、自意識過剰になってしまう。観光地でも都会でもない場所で、変な人と思われないだろうか。仕事なら声を掛けられるんだけど。ド級の自意識過剰。早く克服して、一人前の変な人になりたい。
昼から開いている小さな立ち飲み屋には、何人か客の姿が見えた。商店街の人通りは少ないけど、外出自粛は関係なく普段からこんな感じだと思う。
紙飛行機がシャッターの前に落ちていた。見てみると商工新聞。どの店の人が飛ばしたのかな。