140字小説「罪」
司法は崩壊した。
日進月歩、多様化し続ける価値観の中で。
愚鈍な政治は置き去りにされ、判例に縋るだけの法家はその意味を成さなくなった。
残ったのは私のような執行人だけ。
罪の意識を抱えた者を、粛々と処刑する。
皆一様に、安らかな表情で逝くのが少し不思議ではある。だが、そのおかげで今のところ、私に罪の意識は芽生えずに済んでいる。
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司法は崩壊した。
日進月歩、多様化し続ける価値観の中で。
愚鈍な政治は置き去りにされ、判例に縋るだけの法家はその意味を成さなくなった。
残ったのは私のような執行人だけ。
罪の意識を抱えた者を、粛々と処刑する。
皆一様に、安らかな表情で逝くのが少し不思議ではある。だが、そのおかげで今のところ、私に罪の意識は芽生えずに済んでいる。