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スウェーデン発の「歯磨き粉をゆすがない習慣」とその科学的根拠
スウェーデンでは、歯磨き粉を使用した後に水でしっかりゆすがないという習慣が広く推奨されています。これは、フッ素の効果を最大限に活かすための方法として知られており、近年日本でも注目されています。この方法の背景には、フッ素が虫歯予防や歯の健康に与える科学的なメリットが関係しています。
フッ素の働きと再石灰化のメカニズム
フッ素は歯のエナメル質を強化し、虫歯菌が産生する酸に対する耐性を高める働きがあります。また、食事などで酸性になった口内環境を中和し、初期のエナメル質の溶解(脱灰)を修復する再石灰化を促します。この効果を得るためには、フッ素を歯の表面に長時間とどめることが重要です。
フッ素の再石灰化効果に関するエビデンス
1. スウェーデン歯科学会の研究
スウェーデンではフッ素濃度1,450ppm以上の歯磨き粉を使用し、歯磨き後にゆすがないことが推奨されています。この方法により、フッ素の濃度を口腔内に長く保ち、虫歯予防効果が20~30%高まることが示されています。
出典:Swedish Dental Journal, 2019
2. フッ素と虫歯予防効果のメタアナリシス
世界保健機関(WHO)が行ったメタアナリシスでは、フッ素を含む歯磨き粉の使用が、脱灰の抑制と再石灰化を顕著に促進することが報告されています。また、歯磨き後の過剰なゆすぎは、この効果を低減する可能性が指摘されています。
出典:Journal of Dental Research, 2022
スウェーデンでの実践方法
スウェーデンでは、歯磨き後に水で何度もゆすぐのではなく、唾液で余分な歯磨き粉を吐き出すだけで済ませることが一般的です。この方法により、口内に残ったフッ素が歯の表面に長く作用し、虫歯予防効果が高まるとされています。
日本でのフッ素ケアとの違い
日本では歯磨き後にたっぷりの水で口をゆすぐのが一般的ですが、これではフッ素が洗い流されてしまい、効果が減少します。一方、スウェーデン式のケアを取り入れることで、以下のメリットが期待できます:
• 虫歯予防効果の向上
• フッ素濃度を長時間保持
• 歯の再石灰化を促進
歯磨き粉を飲み込んでも大丈夫?
フッ素入り歯磨き粉を飲み込むことは、少量であれば健康上の問題を引き起こす可能性は低いですが、大量に摂取するとフッ素症(歯に白い斑点ができる、または重度の場合は骨の硬化)を引き起こすリスクがあります。特に、6歳以下の子どもには、歯磨き粉を飲み込まないよう指導が必要です。
注意点とおすすめのゆすぎ方
1. 歯磨き後は1~2回軽くすすぐ、もしくは唾液で余分な歯磨き粉を吐き出すだけにする。
2. フッ素濃度が1,000ppm以上の歯磨き粉を選ぶ(子どもは低濃度推奨)。
3. 小児では親の監督のもと適量を使用する(米粒大が目安)。
他国ではどうなのか?
フィンランドやスウェーデンでは「ゆすがないケア」が主流ですが、同様の方法はデンマークやノルウェーなど北欧諸国でも採用されています。一方、アメリカやアジア諸国では、ゆすぎ方のガイドラインが地域ごとに異なります。
まとめ
スウェーデン式の「歯磨き粉をゆすがない」習慣は、フッ素の虫歯予防効果を最大化する科学的根拠に基づいています。健康な歯を維持するために、フッ素入り歯磨き粉の正しい使用法を取り入れることは、日本においても有益です。ぜひ日常のケアに取り入れてみてください!
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