持続化補助金申請書作成のポイント
パパと友人が補助金の申請書を書き始めるようだ。
友人:採択ってどういうふうに決まっているんだ?
パパ:集まった申請書に点数をつけて、上から順に決まった予算の数だけが選ばれていく。
友人:受験と一緒じゃないか。
パパ:そうだよ。採点官がいて、受かる書類と落ちる書類が存在する以上、ただ書くだけじゃ話にならない。特に力を入れるべきポイントが存在する。いわゆる傾向と対策だな。
友人:傾向と対策……嫌な言葉だなあ。
パパ:補助金を手に入れるためだ! がんばれ!
友人:こういうの苦手なんだよ。文字がいっぱいで……。
パパ:書類が得意な人なんていないよ。俺も好きじゃないけど、これに関しては専門家だから、任せてくれ。
友人:おお、頼もしい。
パパ:それじゃあ、申請書を書くにあたってのポイントを見ていこう。
友人:うん。
パパ:まずはお店の情報。どういう会社なのか、どういう事業を行っているのかを説明する。
友人:説明っていっても、店名とか開業日しか分からないぞ。
パパ:一つは会社の沿革。会社がたどった歴史だな。
友人:美味しいハンバーグが作りたくて、五年前に開業した。
パパ:OK。
友人:OKなのか。
パパ:どういう経緯で会社を起こして、今どうなっているのかが分かればいい。それから、会社のビジネスモデル。
友人:びじねすもでる?
パパ:どんな人をお客さんにして、どんな価値を提供しているのか。
友人:幅広い年齢層をターゲットに、おいしい創作ハンバーグを提供している。
パパ:それでいいよ。
友人:なんだ、簡単じゃないか。
パパ:あとは、お店の強みなんかを具体的に書く。
友人:強み……
パパ:事業内容では、ちゃんと中身のある会社であることがアピールできればいい。お前の場合は、ハンバーグ作りのどこにこだわっているかを書けばいいよ。
友人:ああ、それならできる。
パパ:よし。最初の重要な項目は、お店の売上状況だ。コロナ以前は問題なく営業できていたのに、コロナ禍の影響を受けて、売上が急減していることを示す。むろん、嘘はだめだ。
友人:まあ、実際に減少してるからな。
パパ:簡単に言うけどな、月々の売上をちゃんと記録していたから、しっかりとした売上増減表が提出できるんだぜ。
友人:確かに。お前がやってくれるまで、ろくにつけてなかったからな。帳簿。
パパ:本当に、それでやっていけてたのが信じられないよ……
友人:まあまあ。それで、次は?
パパ:次は、補助事業の内容。補助金をもらって、どんな事業を行いたいのか。実はこれが、選考にあたって一番重要と思われる項目だ。
友人:それはどうして?
パパ:補助金は国の予算からおりている。要は税金だ。国の方針に沿う内容じゃないと、税金をもらえるわけがないだろ。
友人:なるほどな。
パパ:だから、事業内容を詳しく具体的に書いて、それが補助金の目的と合致していることをしっかりとアピールする。
友人:補助金の目的……って、なんだっけ?
パパ:持続化補助金低感染リスク型の公式サイト(https://www.jizokuka-post-corona.jp/about/)には、「新型コロナ感染防止と事業継続を両立させるための対人接触機会の減少に資する前向きな投資を行い、ポストコロナを踏まえた新たなビジネスやサービス、生産プロセスの導入等の取組を支援するため、それに要する経費の一部を補助するもの」とある。
友人:……よ、要するに?
パパ:①対人接触機会の減少②コロナ後に向けた新しいビジネスや業務体制の導入――お店がこうした取り組みを行うサポートをするための補助金ですよ、ってことだ。
友人:なるほど。
パパ:今回の補助金で俺たちがやろうとしていることは、売上を補填するためのEC・デリバリー事業。サイトに掲載の「補助金の活用例」にもばっちり該当する。
友人:包装機を買うためのお金をくださいってことだよな。
パパ:待てよ、包装機だけでいいのか?
友人:え?
パパ:EC・デリバリーをやることを知ってもらうために、宣伝もしないとだろ。
友人:宣伝?
パパ:POPとかチラシの制作だよ。
友人:そんなの、考えたこともなかった。
パパ:写真、デザイナー、印刷屋の手配、お店のロゴマークが入った段ボールの制作……
友人:その経費まで補助金でカバーしてもらえるのか?
パパ:補助金の目的に沿っているからな。
友人:もらい得。
パパ:よし。あとは、投資回収のスケジュール。例えば上限100万円で申請するなら、100万円の投資が一年程度で回収できるような見通しを立てる。
友人:なんか、難しそう。
パパ:非現実的な数字じゃないことが分かればそれでいい。例えば冷凍ハンバーグセット3500円の販売を始めるとする。月間に20個売ったら7万円。年間84万。一年半で126万粗利ベース50%で計算すると…いや待てよ、それだと足りないから月30個か…。あるいは単価の値段を上げるか? それとも……
友人:……まあ、そのへんは頼むわ。
パパ:おいおい、実際にそれをやるのはお前なんだぜ。
友人:え?あぁ…それはそうなんだが…