![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/57282732/rectangle_large_type_2_60c7a052ac2f99cf7d397a18c84f2c12.png?width=1200)
今日は海の日|詩のソムリエがえらぶ海の詩BEST3
こんにちは、めぐ@詩のソムリエです。
4連休ということを最近知りました(フリーランスあるある)🌊
さて、今日は「海の日」。海で遊ぶ日、だと今日の今日まで思っていましたが、海に感謝する日らしいです。
そこで、感謝を込めて(?)海といえば…の詩を3篇ご紹介します。
1 シンプルで奥深い。心を離れない美しいフランス詩
はじめにご紹介するのは、フランスの詩人コクトーの「耳」(堀口大學訳)
私の耳は貝の殻
海の響(ひびき)をなつかしむ
Mon oreille est un coquillage Qui aime le bruit de la mer.
"la mer"が「海」で、フランス語ではmère(母)と同音です(漢字の「海」にも「母」という字がありますね)。 coquillage(貝)はサンティアゴの巡礼の印でもあるから、「回帰」をイメージさせる言葉でもあるように思います。
美しく、なつかしい思い出、「母なるもの」を思い起こす、短い詩ながらイメージの奥行きの深い詩です。
私がこの作品に出会ったのは小6。美しい貝殻を紹介する見開きのページに載っていて釘付けに。小学生がことばにできない衝撃を受けるくらいですから、理屈なしに心に響く歌。俳句のように短く、愛唱しやすい詩です。
ちなみに、訳者・堀口大學は母を幼い頃に亡くしており、この詩からインスピレーションがあったようで詩作にいかしていたりもしますが、この話はまた近いうちに。
2 充実は海を見つめる心のなかにある
次は、白樺派・千家元麿(せんげ・もとまろ)の「海」です。
海が見える
充溢(じゅういつ)した歓喜で
張り詰めたやうな
海面の美しさ
何といふ静かな力のこもつた海
永遠の緑を深く湛へて
盛り上がつている海
日に輝いて純白な帆が
花のように流れている
元麿は、たいへん複雑な家庭にありましたが、やがて自分で家庭を築き、堂々と自然や人間を賛美する詩をたくさん残しています。海も美しいけれど、海をながめている詩人自身の充足を感じる詩です。
3 人生はいつか終るが 海だけは終らない
最後は、寺山修司の詩です。
「かなしくなったときは」
かなしくなったときは
海を見にゆく
古本屋のかえりも
海を見にゆく
あなたが病気なら
海を見にゆく
こころ貧しい朝も
海を見にゆく
ああ 海よ
大きな肩とひろい胸よ
どんなつらい朝も
どんなむごい夜も
いつかは終る
人生はいつか終るが
海だけは終らないのだ
(一部抜粋)
生きていると、かなしくなったり、人生がうまくいかなかったり、「あなたが病気になった」りします。そんなとき、海を見にゆく。それは、「人生はいつか終るが/海だけは終らない」から。劇作家でもある寺山修司らしく、
劇中歌のような雰囲気のリズムが心に畳み込んできます。
角川文庫の『寺山修司少女詩集』の最初の章は「海」。ほかにもおもしろい詩がたくさん載っているのでぜひ!
以上、「海の日」3選でした。
お子さんと夜に読みたい、工藤直子さんの「日記」という詩もとてもすてきなので、気になる方はこちらから読んでみてください。
明日は「体育の日」なので、体育にちなんだ詩を紹介します!
いいなと思ったら応援しよう!
![めぐ@詩のソムリエ](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/33130077/profile_a44c45912e838176225d303431db0e4a.jpg?width=600&crop=1:1,smart)