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憂鬱 ~Madeth Gray'llのお話~

昔話です。

それはまだ日本のインターネット初期。
電話線のモジュラージャックにPCを都度繋ぎ、ポストペットでメールが届いては喜んでいた、あの頃。
無料ホームページといえばジオシティーズで、「〇〇のホメパゲ」的なページが大量生産されていた、あの頃の話です。

そのホメパゲで、私がやっていた事といえば、もちろん自作のポエムの掲載。
相互リンク歓迎!の旗を掲げた私は、もちろん他のホメパゲもポエムが掲載されているものを多く、ネットサーフィンしていました。

情報の波(Infomation Wave)を乗りこなして見つけた、とあるページに掲載されていた数編のポエムに目を通した時です。
かつてない既視感。全体を覆う既視感。

それもそのはず、そのポエムは黒夢の曲の歌詞をパッチワークかのごとく、つなぎ合わせたものでした。(なぜかコークスクリューあたりの…初期じゃないのか)
しかも、かなり細かく文章を切り取り、全体的にも意味がなんとなく通るように、ある意味「上手に」つなぎ合わせたポエムでした。

そんなポエムが1つではなく複数掲載されていたので、「自分で詩を書いた方が早いんじゃないか…」と思いたくなる、その労力に驚きながら、いよいよ最後のポエム。

それは「憂鬱」と名付けられていた

「憂鬱」と名付けられたポエムのタイトルをクリックし、表示されたものを眺めた時、やはり覚えたのは既視感でした。
しかし、今回はなんだか様子が違う…

これ、Madeth Gray'llの「Missantroop」の歌詞そのまんま載せてるだけじゃないか…

Madeth Gray'll/十字架の結末…

パッチワークの作業をしているうちに面倒くさくなって、そのまま載せたのでしょうか?

もしくはこんな事を、悪魔が囁いたのではないでしょうか。

・黒夢はメジャーなバンドだから、丸々拝借するのはマズい。
→細かく刻んで、つなぎ合わせればきっとバレない!

・Madeth Gray'llなんてマイナーなバンド知っているのはきっと自分くらいだろう。
→そのまま全部拝借してもきっとバレない!

大きな油断と、そこから透けて見える「マイナーだから」というちょっと舐めた意識と、(恐らく)若気の至りゆえの過ち、そしてタイトルを変えるあたりの罪悪感が混ざり合って、なんとも遠い目をしてしまうポエムです。

なんだか、「〇〇は売れる前から知ってた」というセリフを聞かされた時と同じような気持ち。

今でもふと思い出す

こんな、なんとも言葉にし辛い感情を抱いた思い出が、今でも蘇る瞬間があります。

SNSなどで、どこかで聴いたようなエピソードを自分事のように語っている人を見かけませんか?
そんな時、この「憂鬱」というポエムを思い出してしまうのです。

「油断」という心の隙間に、悪魔はやってきます。
でも無断で拝借はダメ、絶対に。



ちなみに「Missantroop」は、「十字架の結末…」という3曲入りシングルのラストを飾るナンバー。良曲であり、最後に「アップテンポでメロディアスな曲」を配置すれば、なんとなくそのCD全体の評価が底上げされる。という私が勝手に思っているV系CDのセオリーに則ってます。

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