音の三大要素について 第六回
この記事を書いたのは 山岡さん.
0. 前回の記事の内容
前回は、pythonを用いて音高を算出しました。
まだご覧になってない方はぜひ下のリンクから読んでみてください。
1. この記事から理解できることは?
音の音色とは
音の音色の計測に用いる指標の一例
2.音の音色とは
音楽や楽器を聴く際に、音色という言葉をよく耳にすることがあるとおもいます。音色とは、音の三大要素の一つで、音楽や楽器などの音質を表現するときに用いられ、意味合いとしては、同じ音でも楽器や演奏者によって微妙に異なる音質を指します。
上記で使った音質という言葉は、音の3属性の一つである音色とほぼ同じ意味の性質として捉えられることが多いですが,音色に関係した品質,価値判断までを含んでいます 。
音色,あるいは音質は, 音の大きさや高さと明確に区別されており、大きさや高さ以外の音の知覚的な性質は音色,あるいは音質の一側面と考えられています。
コロナ社から発行されている「音色の感性学」では、音の音色について次のように表現されています。
2.1 音色/音質の種類
音色 / 音質を表す言葉は、様々な種類があります。例えば、明るい音色、暗い音色、豊かな音色、細かい音色、力強い音色、柔らかい音色などです。
2.2 音色/音質の表現方法
音色や音質は、楽器の演奏技術や音響技術によって表現することが出来ます。
楽器の演奏技術では、弦楽器では弓の強さや弓の動き、管楽器では息の入れ方や息の吹き出し方、打楽器では叩く強さや叩く位置などが音色に大きく影響しており、音響技術では、録音時のマイクの配置や音響効果などが音色を変えることが出来ます。
3.音色/音色の計算方法
音色は、音高、音量、音色の変化(音程や音色の滑らかさ)、継続時間、残響などの要素によって決まります。
本節では音色の評価をするさいに実際に計算に用いられている指標について紹介します。
3.1 ラウドネス
ラウドネス(loudness)は音の大きさ に対応する指標。音の大きさは音色,あるいは音質と区別されていることから,厳密には音質を見積もるための指標とは言えないが、後述する他の指標と同様に,音の物理量から主観量を見積もる計算モデルが提案されており,音質評価指標の一つとして扱われることが多いです。
ラウドネスの計算方法については長年研究が積 み重ねられてきており,Stevens,Zwicker,Moore と Glasberg といった研究者が大きな役割を果た してきた。
計算方法については次回の記事で触れたいと思います。
一般的に音量が大きくなると、音色も変化する。音量が大きくなると、音色がより豊かな印象やより強烈な印象を与えることがあります。
3.2 シャープネス
シャープネス(sharpness)は音の鋭さや、かん高さに対応する指標です。
Bismarckの系統的な実験により、音の鋭さと音の物理的特徴について以下のことが明らかにされました。
純音ではその周波数が高くなるほど、音の鋭さが強くなる。
狭帯域雑音ではその中心周波数が高くなるほど音の鋭さが強くなる。
広帯域 、雑音や調波複合音では、上限周波数や下限周波数、スペクトルの傾きも音の鋭さに関係する。
帯域雑音の高域側遮断周波数や、低域側遮断周波数が高くなるほど鋭さは増加する。
スペクトルの傾きが下降勾配の条件よりも上昇勾配の条件の方が音の鋭さが強い。
以上のことから、音の鋭さは、音のエネルギーが集中するスペクトル上の場所とその場所におけるエネルギーの大きさと相関があることが示唆されました。
シャープネスの具体的な計算方法については次回の記事で触れたいと思います。
3.3 ラフネス
ラフネス(roughness)は、音の粗さに対応する指標です。
粗さの感覚は,音の振幅包絡 や周波数の周期的な変動により生じます。 Terhardt は,振幅変調音を用い粗さの感覚が, その変調度(変化の大きさ),変調周波数(変化の速さ),音圧レベル,搬送波周波数などに依存することを示しました。
音圧波形の振幅包絡に見られる 山と谷の落差が大きいほど粗さの感覚は強くなります。
3.4 フラクチュエーション・ストレングス
フラクチュエーション・ストレングス(fluctuation strength)は音の変動感の強さと対応する指標です。
変動感も粗さの感覚と同様に,音の振幅包絡や周波数の変動によって生じ、変調周波数が20 Hz 以下の、比較的ゆっくりとした変化によって発生します。
Terhardtの振幅変調音を用いた検討によると、変調度や変調周波数、音圧レベルが変動感の強さに影響することが分かっています。
ラフネスもフラクチュエーション・ストレングス様々な特徴があるため次回以降の記事でしっかり取り上げていきます。
4. まとめ
今回は、音の音色がどのようなもので、音の音色の計測に用いる指標をいくつか紹介しました。
要点をまとめると、
次回の記事では、本記事で紹介した指標の計算方法とそれぞれの指標の特徴について紹介していきます。
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