交響曲 優しさの余韻
before
―森の中/雨の中―
木漏れ日の絨毯に
陽の布団に横たわる
ひらひらと舞う木の葉に
君はどこから来たのかと尋ねる
葉はひらりと笑って
風に乗って消えていく
微睡みの中で陽の薫りに包まれて
暖かな光りに抱かれて
零れた微笑みは
静かな涙に似ていた
雲がもしも人々の悲しみを吸い取るのなら
雨の一粒一滴に悲しみが一杯に湛えられていて
雨が止んで
空に光が満ちるなら
それは悲しみの終わりを願い
あなたに幸せであって欲しいという祈りなのかもしれない
―幸せの瞬き―
幸せはオーロラのよう
風のように靡き 星のように瞬き
それは一瞬のオーケストラを奏で
束の間に消えてしまう
あやふやでつかみ所が無く
それでいて広大にその姿を現す
見る者全てを魅入らせ
そこに光を注ぐ
永遠に止まることはない光の式典
だがそれは一瞬だからこそ
見るもの全てが その輝きに魅入る
―幸せの神秘―
今いる自分
ここに生きている自分
空を見上げる自分
自分を見下ろす空
地球の中の自分
自分を抱く地球
青空の あるいは雨雲の
彼方には光りと闇―宇宙
それは果てしない広がり
それは時空と空間の世界
生きている
今日が始まり そして終わる
それは何とも言えない 神秘的な薫り
此処にいる自分の小ささに目眩がする
宇宙が確かに存在する
世界は確かに在って
自分が確かにそこにいるという事実は
圧倒的で―目眩がする
本当に大切なことは
こんなにも近くに
星のように
瞬いている
一日が始まり 終わる
たったそれだけのことに
楽しいこと 嫌なこと
いろいろあって それだけで
泣いてしまいそうになるのは
どうしてだろう……
―今を生きていくために―
前に進んでいけるのなら
敢えて許さないことを選んでもいい
感謝したって―構わない
過去から自分を解き放って
今を生きていくために
今の自分を―許すために
―砂漠―
灼熱の地獄
それは緑途絶えた荒涼とした大地
まるで全てを焼き払う憎しみの果て
雨はやがて降るだろうか
憎しみが許しに変わるように
それは一時の花を咲かせるだろうか
それは生命への許しのよう
まるでそれは 愛のよう
― 一日という旅 ―
目覚め
それは一日の始まり
食事
それは命を分かつこと
仕事
それは喜びに換えること
余暇
それは安らぎの時間
祈り
それは平穏を求めて
感謝
それは生きるということに
眠り
それは夜明けへの旅立ち
―日々―
今日という日の清流に
昨日の濁流を流したくない
今日の濁流が明日は清流となって
流れゆくことを祈り
安らぎと祈りの流れに乗って
澄んだ湖のような日々を泳ぎたい
―極地―
氷に覆われた大地
生命無き極寒の世界はまるで光無き闇のよう
それは虚無ばかりが存在する荒漠な世界
何もない空間には悲しみさえもない
しかし生命はそこに存在するからこその命である
あるものは集団で寒を凌ぎ
あるものは時期を見計らって大陸を渡る
居場所などこの世界にはないのなら
世界の果てまで探しに旅立てばいい
極寒の如く空しさの奥にさえも
命のような光は灯るだろう
その温もりを
優しさと―呼ぶのかもしれない
―優しさの余韻―
空のように広く
枯れ葉のようにさりげなく
木漏れ日のように温かくて
美しい音楽の余韻を残す
betweem
一気に削る。
気に入ったものだけ残す。
構成は完璧。
やさしさとは、押し付けがなく
温かく
そして勇気の種となり
癒しと同時に繋がりが
背中を押すもの
after
―優しさの余韻―
空のように広く
そよ風のようにさりげなく
木漏れ日のように温かくて
美しい音楽のような余韻を残す
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