6 5 詩集 リバイバル おまけトーク(歯医者)
旅の風景 心の景色
「旅の風景 心の景色」
微かに 触れた
光が瞬いて 消えて
伸べた手が 空を切る
掌に残った温もりは もうなくて
胸の奥に染みこんで 満たしていく
想いは溢れて
口を塞いでしまうように
何も言葉が出なくて
止まらない涙のように零れて
言の葉に足下から埋もれていく
海のように 溺れてしまいそう
息が止まりそうなくらいに 心が深く沈んでいく
確かに掴んだものを 灯火にして 洞窟を歩む
どこに辿り着くのか 自分でも分からなくて
歩み続けないことには 先へは進めない
届けたい言葉も 零れて
触れたい指先も 彷徨って
何度でも 心の中に拾いに行って
本当は 言いたいことがたくさんあるのに
言葉にしようとしたら 思いが沈んでしまう
何も言わないのは 何も想っていないからではなくて
何を言えばいいのか 分からなくなってしまうから
言葉にできないなら
歌っても届かないなら
叫べば伝わるの
泣いたら聞こえるの
涙が枯れたら分かるの
世界を廻り旅するように 日常を繰り返して
変わらない旅の風景を 心の景色が移ろう
思想詩集 子守歌
「子猫と月と」
キラ キラ 光る 星空に
孤独の猫は夜空に歌う
あの光に触れたいと願う恋の唄を
キラ キラ 星は 光る
独りの猫が丸くなって眠っている
見上げた空に満月が微笑む
伸べる手のような降り注ぐ月の光で
一人ぼっちの猫は眠る
夢を唄うように
届かない星に触れるように
日溜りのような月の優しさに包まれて
子猫は眠る
返答詩集 余韻
「心の奥底から世界に触れたもの」
花にとっての雨のように
心を潤してくれる何かを求めて
指先を空に伸べている
木にとっての光のように
心を暖かく包み込んでくれる何かを探して
彼方へと彷徨っている
心と世界との隔たりは 断崖と海のように絶望的で
樹海のようで 砂漠のようで 何もなくて
広大な悲しみが深く 孤独が重く 佇んでいる
小さな心では 背負えなくて
立ち尽くして ただ息をして
心臓が勝手に 鼓動している
何も考えられない 何も感じない
日常が流れていく
生きることが苦しいのに呼吸が続く意味はあるだろうか
涙を零したら 太陽に照らされて
光り輝いて 足下に落ちた
掌で受け止めて
瞳を辿って 心に辿り着くなら
溢れるくらいに 満たしているなら
どうして生きることを願ってしまうのだろう
彼方の星のように 道標を描いて
歩き続けてきた 光のような
涙が大地に落ちていく
#4 大地と大空 心と影
18
雲は 海をゆく大陸のように
空を架ける 一枚の絵のように
水の大理石が映ろう 空の彫刻で描く 空の水墨画が広がる
空を覆う雲の下は樹海のようで
光の当たらない影は灰色の世界のようで
雲の上は太陽に照らされる海のように目映く輝いて
一面に広がる雲にぽっかりと穴が空いている
空の青さを見るたびに
空が青いというだけで
救われる気がする
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