それがそこにあるということ「星の歌」5 その2

after

小鳥は浜辺に降り立った

振り返れば海があって
目の前の砂はどこまで続いているかもわからなかった

行き先を探すように空を見上げると
星は変わらず 遠くで待ってくれているようで

星たちに囲まれるような空の下で
小鳥は束の間の夢を見る


before

鳥は愕然とした

辿り着いた場所は一面の―砂だった
そんな世界を今まで見たことがなかった

星は変わらず
遠くで待ってくれていた

砂浜に打ち上げられた葉を見つけた
銜えて 引きずって 砂の絨毯に横たえた

ここまで来てしまったね
鳥はため息を吐くように言った

もう後戻りできないね
声は不安げに揺れていた

それは誰だって同じだよ
葉は淡々と答えた

命だって同じだよ
時だって同じさ

葉はかつて風を受け
光を受け 影を浴びていた

寂しくないの
鳥は尋ねる

あの星があるなら
寂しくないよ

葉はやっぱり
淡々としていた

ここの夜は寒い

一羽と一枚 一つの鼓動と一つの沈黙
過ごす夜は恐いくらいに美しくて
けれども不思議と優しく見えた


―――――――――
登場人物のやりとりは控えめにする
客観的だけどそこはかとなく優しい
そういう感じを出す。
寓話的というか。



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