迷宮 第三章 Ⅴ
before
両手を広げる
空のように
何かを叫んだ
雷のように
咽び泣いた
雨のように
零れ落ちた涙に拳を打ちつける
それは火山のように
体が震えた
大地のように
それでも
雲は無常にも流れゆく
「――…」
それでも
世界は無慈悲にも廻る
それでも
光は墜ち 闇は灯る
時は巡る
「…置いていかないでくれ」
これが何を意味するのか
自分でさえも分からなかった
between
忘却を感じる。失われていくというか、無常を感じる。
何か伝えたいことがある。でもそれは明かさない。
その思いを、世界は聞かない。というような描写。
口に出した言葉は自覚がないままであり、そのまま消えていく。ような、絶望感。
after
両手を広げる
空のように
何かを叫んだ
雷のように
咽(むせ)び泣いた
雨のように
体が震えた
大地のように
握られた拳は
静かな火山のように
それでも
何も届かないかのように
雲は無常にも流れる
それでも
何も聞き入れないかのように
世界は無慈悲にも廻る
光は墜ち 闇は灯り 時は巡り
置いていかないでくれ―と
思わず口から零れたそれが
何を意味するのか 自分でさえも分からなかった
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