春夏秋冬 秋 Ⅲ
before
失うこと
それが生きること
人は常に得続けているのではなく
失い続けているのかもしれない
全てを失った末に
月のように残るものがあるのなら
それさえ幸せだろうか
それを人は歳月に託し
それを老いと名づけるのだろう
そして人は失っていく―自らの命さえも
夢や希望さえ失われた力に潰えるのだろう
あの月に希望はあるのか
夢はあるのか
ただ漫然とそこに浮かぶだけでしかない――あの月に……
それは何て幸福な明かりを
灯すのだろう
Between
Part1
かたい言い回しが目立つ
解体する
なんだか失(うこと)ってばかりな気がする
(それが)生きる(こと)とはそういうものだっただろうか(感傷的な言い方にする)
(人は常に得続けているのではなく
失い続けているのかもしれない)
(全てを失った末に)
月のように残るものがあるのなら
(それさえ幸せだろうか)
(それを人は歳月に託し
それを老いと名づけるのだろう)
(そして人は失っていく―)(自らの)命(さえ)も
夢や希望も(さえ失われた力に潰えるのだろう)
(あの月に希望はあるのか
夢はあるのか
ただ漫然とそこに浮かぶだけでしかない――あの月に……)
(それは何て)果たして幸福な明かりを
灯すのだろうか
Part2
並び変えて全体を整えていく
なんだか失ってばかりな気がする
生きるとはそういうものだっただろうか
夢と(や)希望
そして命さえも
月のように残るものがあるのなら
果たして幸福な明かりを
灯すのだろうか
Part3
なんだか失ってばかりな気がする
生きるとはそういうものだっただろうか
夢と希望の先に何があっただろう
残された命はどこに辿り着いただろう
(終わりを想像しながら、駆られる郷愁とでもいえばいいのか)
あの月のように残るものがあるのなら
果たして幸福な明かりを
灯すのだろうか
もう少し深堀ができそうな
あの月とは、どういうことなのか
なんの象徴なのか
何処から見ても、見える月は同じ
つまりどの時間軸から見ても、月は同じ明るさをもっている。
失っても、どうなったとしても
そこにある。思い出のような。
それでもいつか消えてしまうだろうか
それともいつまでも残ってくれるだろうか
それはあの月のような
(灯っては消える、何度でも現れる月。
それと「残る↔消える」のゆらぎをかさね合わせる)
月という変わらなさに、希望を重ね合わせて祈るような気持ちで
それを幸福とよんでいる。そういう詩。
雰囲気はとても秋的な感じがする。
after
なんだか失ってばかりな気がする
生きるとはそういうものだっただろうか
夢と希望の先に何があっただろう
残された命はどこに辿り着いただろう
それでもいつか消えてしまうだろうか
それともいつまでも残ってくれるだろうか
それはあの月のような
果たして幸福な明かりを
灯すのだろうか
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