橋本絵莉子 街よ街よ


橋本氏の二作目
もうチャットモンチーの曲を聞くこともめっきり少なくなった。
かろうじてほとんどチョコレートとかマジョリティーブルースを聞くくらいで。あととまらんとか。あの頃の作品をまとめたら神ミニアルバムくらいできるんじゃないか、と思ったり。

ふと思った。
パイロット、という歌で。
橋本氏はどこか宙を見ていたと思う。
満月に吠えろ、とかドライブとか。月を目指して空の向こうを目指してひた走っている。

3人で始まったロケットは、勢いよく大気圏に突入して、
大きな燃料を切り離して2人になって、さらに宇宙へ飛び出して
そしてようやく1人になって、月を通り越して宇宙を旅していく。
そうだったんだ。橋本氏はパイロットだったのか。
音楽を海のように捉えていた。違った。音楽は宙だったんだ。

もうNOTEにはないみたいだけど、チャットモンチーは未来に飛んだ、という記事が今も記憶に残っている。というかフレーズが。
あの時、喪失感でいっぱいだった私は、そうか、と腑に落ちたのだった。
チャットモンチーは未来に行ってしまったのか。じゃあ、しょうがないか、みたいな。

でも、どうして未来なんだろう。と思ったら、えっちゃんは宇宙にいっちゃったからじゃないか、と思った。
だって、宇宙はタイムマシンみたいなものじゃないか。

えっちゃんが鳴らしたい音を、自由にならせるようになるまでの長い旅だったんだ、と思ったら、一人になる必然のようなものが見えたし、今までの全てがあって、こうして音楽をやっていると思うと。チャットモンチーはなくなったんじゃなくて、星みたいになったんだと思うんだ。
そしたらえっちゃんが空を見てきれいだね、て歌うような自然さで、チャットモンチーだって、リスナーと一緒に聞いたり見たりしていて、そういう残像のようなものが煌めているんじゃないか、と思った。
歌詞はどこまでも身軽で、でも時々顔を見せる今まで経た道の景色が深い。
音楽は、きっと祝福だ。

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目指す屋上、空高く
一階の記憶はありません

人のいくみちを
一人眺めている

私はパイロット
暗闇を進むよ

語りかけてくるのは
いつだって過去のあなた

今日のための鼻歌に変えて

この二つの羽
もっと広げて

宝物を探した

進行方向を変えるだけでほら
きらっと光って見えるでしょ

忘れものを取りに行くよ

あの歌聴こえる
私の耳だけには

―――――――街よ街よ に寄せて

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