春夏秋冬 秋 Ⅸ~Ⅹ
before
(Ⅸ)
歩けば歩くほど失うものは増えるから
耐えられない時 その歩みは止まるのだろう
抱えた重荷に別れを告げるために
傷みは増えていく
それでも歩み続けるためには―灯火がいる
もう後悔なんてしたくない……
歩む理由なんてそれだけでいい
それはやがて訪れる白銀の雪に耐えうる
長い眠りに抱く蝋燭の黄金に輝く灯火
(Ⅹ)
―もう歩きたくない―
木に寄りかかる
春の匂いがした
―あの頃に戻りたい―
―もう…疲れた―
草の絨毯で寝転がる
温かな日溜まりの香りがした
―出会いたい―
眼を閉じて―訪れた微睡の中
光が声のように暖かく届く
全てはいつか失われてしまうから
大切に心に閉まって置きたい
思い出はそのためにあるもの
愛しき人をその胸に抱くために
心はあるのかもしれない
(Ⅹ Ⅰ)
木々から葉という葉が何も残さずに落ちてしまった
落ちた葉の数は失った思い出の数
落ち葉は赤から茶色へ―そして焦げ茶に色あせていく
拾い上げた落ち葉も指先に触れて砕けて
―掬えない…
もう失った物は…
取り戻せない…
気づいた時には遅い…
寒々とした木が語りかけるかのよう
その木はどうしようもなく―自身に重なってしまう
いつしか支えを無くした木は
折れてしまうのだろう…
Between
Part1
各パートがすでに語られているので、
余分なところは削っていく
どのように繋いでいくかがポイント。
灯がいる。過去に戻りたい気持ちもある。折れそう。
そういうニュアンスを超えた先にある何か
(Ⅸ)
(歩けば歩くほど失うものは増えるから
耐えられない時 その歩みは止まるのだろう)
(抱えた重荷に別れを告げるために)
(傷みは増えていく)
新解釈
構文を同じにして、リズムよく語る。
守るものがあるから
傷みは増えていく
抱えた重荷を手放すために
別れは増えていく
(それでも歩み続けるためには―灯火がいる)
(もう後悔なんてしたくない……
歩む理由なんてそれだけでいい)
(それは)やがて訪れる白銀の雪の中で(に耐えうる)
長い眠りに抱く蝋燭の黄金に輝く)星みたいに灯火が輝いている
(Ⅹ)
(―もう歩きたくない―)
木に寄りかかると春の匂いがした
(―あの頃に戻りたい―)
(―もう…疲れた―
草の絨毯で寝転がる)
温かな日溜まりの香りがした
(―出会いたい―)
眼を閉じて(―訪れた)微睡の中
光が声のように暖かくて(届く)
全てはいつか失われてしまうから
大切に心に閉まっておきたい
(思い出はそのためにあるもの)
思い出を(愛しき人をその)胸に抱く
(心はあるのかもしれない)
(Ⅹ Ⅰ)
(木々から葉という葉が何も残さずに落ちてしまった
(落ちた葉の数は失った思い出の数)
落ち葉は赤から茶色へ―そして焦げ茶に色あせていく
拾い上げた落ち葉も指先に触れて砕けた
(―掬えない…)
(もう)失った物は(…)
取り戻せないのだろうか(…)
気づいた時には遅いのか(…)
(寒々とした木が語りかけるかのよう)
(その木はどうしようもなく―自身に重なってしまう
いつしか支えを無くした木は
折れてしまうのだろうか(…)
折れてしまうかもしれない。
でも折れない。
そのギリギリのように見えたところで
冬がすぐそこまで来ている。
Between
Part2
各パートを繋げる。
守るものがあるから
傷みは増えていく
抱えた重荷を手放すために
別れは増えていく
やがて訪れる白銀の雪の中で
星みたいに灯火が輝いている
木に寄りかかると春の匂いがした
温かな日溜まりの香りがした
眼を閉じた
微睡の中
光が声のように暖かくて
全てはいつか失われてしまうから
大切に心に閉まっておきたい
思い出を胸に抱く
落ち葉は赤から茶色へ―焦げ茶に色あせていく
拾い上げた落ち葉も指先に触れて砕けた
失ったものは
取り戻せないのだろうか
気づいた時には遅いのか
いつしか支えを無くした木は
折れてしまうのだろうか
これらの言葉を二つに分ける。
折れそうなパートと、それでも失うことがないパートに分ける。
after
Ⅸ
守るものがあるから
傷みは増えていく
抱えた重荷を手放すために
別れは増えていく
木に寄りかかると
春の匂いがした
温かな日溜まりの香りがして
光が声みたいに暖かくて
落ち葉は赤から茶色へ
そして焦げ茶に色あせていく
拾い上げた落ち葉も指先に触れて砕けた
失ったものは
取り戻せないのだろうか
気づいた時には遅いのか
いつしか支えを無くした木は
折れてしまうのだろうか…
Ⅹ
微睡の中
思い出を胸に抱く
全てはいつか失われてしまうから
大切に心にしまっておきたい
やがて訪れる白銀の雪の中で
灯火が星みたいに輝くように
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