時空絵巻 24頁 おまけトーク(ちょっと立ち止まって見る)
「悠久の時」
山が山として存在すためにどれ程の時が必要だろうか
川が川として存在するためにどれ程の時を経るだろうか
例えばいつも目にする川
昨日―それはいつもの姿であり
一昨日―そうであっても変わるはずがなく
一年前―変化があったとしても水量くらいだろうか
二年前―三年前―十年前―百年前―千年前―まだそれは川として存在する
二千年前―三千年前―一万年前―十万年前―都市はそこになく―人の姿もない
百万年前―一千万年前―一億年前―大陸が引き裂かれ―海が雪崩れ込む
そこは海でしかない
大陸が衝突し―引き裂かれ―その激動を繰り返し
雨が何千年と続き―大地が何万年と凍りついて
その果てに閉じ込められたそれは―淡水
大陸は命を乗せて旅に出る
散り散りになり―生命は各々が木の枝先のように己の身体を育んでいくだろう
大陸と大陸が出会い
接し―重なる―大陸という巨大な岩が海に飲み込まれていく
そして大陸が天へと目指して―成長の止まない樹のように
平地はやがて台地となり―いつしか丘陵となり―
果てに山となっていく
山を見上げてみる―あれほどの高さを物語るそれは
反対にどれほどの陸地が海に消えて行ったかを暗に示すかのようだ
山は天を別つのだ
雲を貫き―風を呼び寄せ
雨が吹き荒れ―海が共鳴し
たった一つの存在が世界を変える
その麓に川が陽を浴びて煌めいている
その偉大な変化は一日にしてならず
人の寿命など歯牙にもかけない―川が干上がり―山が風によって削られ平地に還るほどの幾億の時によってもたらされる変化である
平地を指して誰が海の底から訪れる変化を読み取れようか
しかし平地に触れ そこに横になり 息吹に耳を澄ませ
その震えを―躍動を―知り得ることはできるだろう
その果てに大地に起こる変化を察する
変化とは目に見えない場所でこそ産まれている
Between
言いたいことは分かるが、そんな長々と言葉を尽くさなくても
もっとわかりやすい言い方があると思う
山が山として存在する遥か昔
(山が山として存在すためにどれ程の時が必要だろうか)
川が川として存在する彼方の時代(ためにどれ程の時を経るだろうか)
(例えばいつも目にする川
昨日―それはいつもの姿であり
一昨日―そうであっても変わるはずがなく
一年前―変化があったとしても水量くらいだろうか
二年前―三年前―十年前―百年前―千年前―まだそれは川として存在する
二千年前―三千年前―一万年前―十万年前―都市はそこになく―人の姿もない
百万年前―一千万年前―一億年前―大陸が引き裂かれ―海が雪崩れ込む
そこは海でしかない)
大陸が衝突し―引き裂かれ―(その)激動を繰り返し
雨が何千年と続き(―)大地が何万年と凍りついて
その果てに閉じ込められた(それは―淡)水
大陸は命を乗せて旅に出る
散り散りになり―生命は各々が木の枝先のように己の身体を育んでいく(だろう)
大陸と大陸が出会い
接し(―)重なる(―)大陸という巨大な岩が海に飲み込まれていく
(そして)大陸が天へと目指して(―)成長の止まない樹のように
平地はやがて台地となり(―)いつしか丘陵となり(―)
果てに山となっていく
山を見上げてみる(―)あれほどの高さを物語る(それは)
(反対に)どれほどの陸地が海に消えて行ったかを暗に示すかのように(だ)
山は天を別つ(のだ)
雲を貫き(―)風を呼び寄せ
雨が吹き荒れ―海が共鳴し
たった一つの存在が世界を変える
(その)麓に川が陽を浴びて煌めいている
(その)偉大な変化は一日にしてならず
人の寿命など歯牙にもかけない(―)川が干上がり(―)山が風によって削られ平地に還るほどの幾億の時によってもたらされる変化(である)
平地を指して誰が海の底から訪れる変化を読み取れるだろう(ようか)
(しかし)平地に触れ (そこに)横になり 息吹に耳を澄ませ
(その)震えを―躍動を―知り得ることはできるだろう
(その)果てに大地に起こる変化を察する
変化とは目に見えない場所でこそ産まれている
after
山が山として存在する遥か昔
川が川として存在する彼方の時代
大陸が衝突し 引き裂かれ 激動を繰り返し
雨が何千年と続き 大地が何万年と凍りついて
閉じ込められた水が命を運ぶ
大陸は命を乗せて旅に出る
散り散りになり
生命は各々が木の枝先のように成長していく
大陸と大陸が出会い 接し 重なれば
大陸という巨大な岩が海に飲み込まれていく
大陸が天へと目指して 成長の止まない樹のように
平地はやがて台地となり いつしか丘陵となり
果てに山となっていく
山を見上げてみる あれほどの高さを物語る
どれほどの陸地が海に消えて行ったかを暗に示すかのように
天を別つ山は
雲を貫き 風を呼び寄せ
雨が吹き荒れ 海が共鳴し
たった一つの存在が世界を変える
麓に川が陽を浴びて煌めいている
人の寿命など歯牙にもかけない
川が干上がり 山が風によって削られ
平地に還るほどの幾億の時によってもたらされる
平地を指して誰が海の底から訪れる変化を読み取れるだろう
平地に触れ 横になり 息吹に耳を澄ませ
空の震えを 大地の躍動を 知り得ることはできるだろう
果てに地上に起こる変化を察する
変化とは目に見えない場所でこそ産まれている
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