大自然の詩 「胎動」ver3




before

「磐」

その音を聞いて人は何を思い描くだろうか
ある人は灰色の何の変哲もない石ころを思い描くかもしれない
またある人はエメラルドや紅に輝く原石を夢見るかもしれない

その石が黄色に緑にそして赤の入り混じった色彩不明の景観となって
岩山となっている姿を思う人は少ないだろう

石の色を誰が一色と決めたのだろう

太陽が一つと誰が決めた
水が青色だと誰が決めた
雲が純白だと誰が決めた
海が凍らぬと誰が決めた
石が動かぬと誰が決めた

自然という物は自然法則により定められた規則正しさばかりではない
それは一つの側面でありむしろ法則無き力の迸る混沌こそが彼らの姿ではないのか
定められた温暖な姿は力が均衡してこその調和である
均衡が崩れればそれは荒れ狂う無秩序の世界を招くだろう
色の定められない奇形の色があってもそれは不思議ではない
そもそも自然とは定められぬ神秘を湛えているのだ

Prefatory note
色彩不明の磐だけを抜きだして
「胎動」に入れられそうだ

between

まずは「磐」にあるどの個所を抜き出すかを決める。

(石

その音を聞いて人は何を思い描くだろうか
ある人は灰色の何の変哲もない石ころを思い描くかもしれない
またある人はエメラルドや紅に輝く原石を夢見るかもしれない)

(その石が)黄色に緑にそして赤の入り混じった色彩不明の景観となって
岩山となっている(姿を思う人は少ないだろう)

(石の色を誰が一色と決めたのだろう)

(太陽が一つと誰が決めた
水が青色だと誰が決めた
雲が純白だと誰が決めた
海が凍らぬと誰が決めた
石が動かぬと誰が決めた)

(自然という物は自然法則により定められた規則正しさばかりではない
それは一つの側面でありむしろ法則無き力の迸る混沌こそが彼らの姿ではないのか
定められた温暖な姿は力が均衡してこその調和である
均衡が崩れればそれは荒れ狂う無秩序の世界を招くだろう
色の定められない奇形の色があってもそれは不思議ではない
そもそも自然とは定められぬ神秘を湛えているのだ)

After

「胎動」

太陽沈む雲海に 火山の噴煙が登る
時には火を噴き上げ 赤き炎が奔り
溶岩が流れ 斜面を踊り狂い煌めく

大地を創る山はここに眠る

奥底に流れる力を迸る熱泉が物語る
湯気が大地から立ち昇り
湖は熱にとろけそうになりながら揺らめいている

豊かな命が集う
楽園のような景観からは想像ができない
熱とは命の源なのか 神秘の恵みは奇跡なのか

熱泉が噴き出す岩山は色彩不明の景観となり
黄に緑にそして赤の入り混じった姿で砂漠に佇み

石灰棚は太陽に照らされて白く輝く
水を命のように温める泉ともなる

―大地は生きている―

湖は紅々と―青碧と―深緑に―黄昏の色を湛えて
大地の息吹が生命を育み 一瞬で全ての命を掻き消すほどの力を持つ

―火山がここに眠る―

Editor note
岩山を入れることで、石灰棚との対比になるし、景観がより多彩になる。

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