6 2 詩集 リバイバル おまけトーク(サッカーの目標)




旅の風景 心の景色
「始まりの場所」

漠然と舞い降りた風景のような
言の葉が紡いだ 歌詞

心に降り注いだ景色のような
願いが描いた 物語

心に瞬いたすべてを集めて道にして
歩くことはだけは続けていた

手に残った意味を失えば自分ではなくなる
止めるのも恐くて 続けることも痛くて

自分の影に追われるように 走り続けていた
一生追いつかれなくて 永遠に離れたりもできない

自分の影は夜のようで
射し込んだ光は遠くの星のように煌めいて
時々聞こえる川のせせらぎは癒しのように奏でられて
木の葉の揺れる音は囁きのようで
風の音色は歌のようだった

手を開けば 想いの欠片と言の葉
夢中で藻掻いているうちに 掴んで握りしめていたのだろうか

届かなくても捨てずに 叶わなくても残してきた

目にしてきた景色と心にしまった風景
今まで辿ってきた軌跡を歌詞にして

光の見えない闇夜に手を伸ばす流れ星のように

忘れたらきっと消えてしまうから
胸に秘めるように いつも思い出して

星の見えない夜空に星を探して歌い続けている

生きるという夢から始まった道は
誰かの通った夢の跡だったかのかもしれない

返答詩集 子守歌
「子守唄」

―いつかどこかで会えるかもしれない
今かもしれないし これからかもしれない
ずっと前かもしれない
今も続いている話かもしれません―

ある木があります

木はとても大きくて
大人十人が手を繋いでも一周できないほどで

とても高くて
遠くの山に届きそうなほどです

雨が降っても木の下は濡れることがありません
嵐がきても幹はびくともしません

木に一人の旅人が訪れました

木は言いました
こんにちは

声は出なかったのですが
風が代わりに届けてくれました

ただ挨拶がしたかったのか
旅人は木に挨拶を返しました

旅人は疲れたと呟いて
木に寄りかかって座りこみました

荷物はほとんどありません
着ている服はぼろぼろです

木はこの旅人に何かしてあげたいと思いました

すると曇っていた空が晴れ
雲の隙間から月が現れました

満月の下で虹が架かり
流れ星が消えていきます

森が大きな布団のように
旅人は風に柔らかな揺られて眠りました

朝陽が登ると旅人は目覚めました
お礼に旅人は木の近くに種を植えました

また来るよ 木に手を当てて
旅をまた始めたのでした

木は旅人の言葉を信じて何年も待ちました

木はずっと待っていました
旅人はやってきませんでした

どれだけ待っても
旅人が来ることはありませんでした

遠い空に一つの星が輝きました
旅人は星になったのだと木は知りました

木は悲しくて寂しくて泣きました
言葉にならず誰にも聞こえません

風がひゅうひゅうと音を出すだけでした
木の葉がさらさらとなる音だけでした

木は星になりたいと思いました

すると空から雷が光り 木の枝に突き刺さりましたが
木が倒れることはありませんでした

稲妻はそれっきり
世界は真っ暗な闇に包まれました

木はあまりに頑丈で
途方に暮れるしかありませんでした

虚しくて胸を一杯に満たしてしまいたいと思いました

すると雨が降り始めました
木の涙が降り注いだかのようです

雨は止むこともなく
木は雨に溺れてしまいたいと思いました

木はとても高いから
足元を雨水が流れていくだけです

夜は明けても
雨は止むことはありませんでした

ある日一羽の小鳥が木に止まりました

酷い雨だね
鳥は木に話しかけました

鳥は困って空を見上げていました
木ははっとして泣くのをやめました

すると雨が弱まり 雲がなくなっていって
太陽が顔を出しました 今までの大雨が嘘のようです

鳥は木に言いました
君のお陰でこの雨を乗り切れたよ

木は旅人を思い出して声を詰まらせました
鳥は返事を待たずに飛び立ちます

木は鳥の旅路を見守ることしかできません

風は強く吹いて
鳥の背中を押すように空の彼方へと運んでいきました

木はまた一人ぼっちです

その時芽が出ました
旅人が置いていった種のことを木はすっかり忘れていました
芽には光が射していました
雷が枝を折ったので陽だまりができたのでした

光に抱かれるように
その葉は木にいつまでも守られていました

花が咲けば木は光を呼んで祝福して
花が散れば悲しみのあまり葉が抜け落ちてしまいました

花は香りを歌い
木の周りに咲いては散っていきます

だから木は寂しくありませんでした

旅人が寂しくないようにと
種を置いていったからです

木は花に囲まれて
今日も安らかに眠ります

花の唄に耳を澄ませて
旅人の星に祈りを捧げるように

返答詩集 余韻
「見上げた空 見渡す地平 この星に生きるということ」

生きていることは奇跡なのに
どうして生きているうちに当たり前になってしまうのだろう

生きていくことは大変なことなのに
どうして簡単なことのように思えてしまうのだろう

かけがえのない宝物が
どうして自分だけのものだと思ってしまうのだろう

樹も 空も 川も 草も 花もそう
虹も 月も 太陽も 夜の星々と この手のひらの石もそう

どうして大切なものが時を経るほど色褪せてしまうのだろう
軌跡を辿ればただの道でしかなくなってしまう

自分も 世界の一部で
世界そのものなのに

どうして自分で自分を傷つけるようなことをするのだろう
どうして自分の心を踏みにじるようなことをするのだろう

悲しみや痛みは 彼方の星のように いつか届いてしまう
降り注ぐ雨は誰かの涙 流れる血は彼方の悲しみ

痛みに寄り添う誰かはいるのだろうか
悲しみをすくい取る誰かはいるのだろうか

巡る血も 震える命も
自分であって 自分ではないもの

永遠の呼吸も 明日の朝陽も
生きて 巡るこの命も

全て自分だけのものではなくて
自分だけではどうしようもないもの

できることは手足を必死に動かして
溺れないようにすることだけ

すべて借り物
いつか世界に還っていく

すべて贈り物
自分だけではない世界の圧倒的な力

自分以外のすべてのありとあらゆるものに
この命が生かされている

この世界にあることを
許されている

空も 海も 風も 樹も
自分自身だから

かけがえのないものたちで
世界は満ち溢れている

#大地と大空  心と影
14

痛みは悲鳴に似ている
声は何を訴えているのだろう

見えなくても確かにあって
無視をしてもなくなってくれない

痛みに何を託してるのだろう

詩人です。出版もしております。マガジンで書籍のご案内もいたしております。頂いたサポートは出版の費用にさせていただきます。