5 47 2 詩集 リバイバル おまけトーク(感情の内と外)



詩集 百花繚乱
「蕗」

夜が明ければしんしんと冷えた真っ白な世界が煌めき出す
お日様の光に照らされて目覚める木の葉たち

訪れる温かな風を待っている

肩を寄せ合って 眠るような 君が目覚めた時
日向が風に乗って輝き始める

もうすぐ春風が舞い降りるから
起き出そうと雪を掻き分ける

雪の妖精が微笑んで
地面の下に隠れる小人に手を伸べる

白銀の世界に流れゆく
空のような雪解け水

キラキラと星のように大地に光を散りばめて
咲く星のように君は祝福される

春の訪れを告げる風に抱きしめられて

#4  大地と大空 心と影

断崖から海を臨む 夜の世界
巡る光と闇 呼応する潮の満ち引き

行き着いたのは自らが生み出した
自分だけの痛みに溢れている

逃げ場もなく ただ追い詰められていく

誰に助けを求めればいいのか分からない
自分を信じることもできない
自分だけの苦しみに溺れていくように
生きるだけでもがいている

ただ歩みを続けてきたというだけの
出来事を重ねたにすぎない心が
継ぎ接ぎのようになっている

ほんの少しの痛みでこの心は崩れてしまうかもしれない

崖から突き落としたのは
誰かの手だったのかもしれない

月を見上げて 微かな光に手を伸ばす
希ったものは 誰かの手だったのかもしれない

考え方が違うというだけで

分かりあえなくて
許せなくなる

正しさを求めて
否定してしまう

嫌いでもいい 否定してもいい
歩み寄らなくていい ただ認めてあげるだけでいい

誰かの背後に
潜んでいる自分の心は

自分の手でしかすくいとれない

心が孤独であるとき
世界には自分一人しかいない

言われた言葉に傷つくのではなくて
無理解に傷つく

放たれる言葉が矢のように痛むから
いっそのこと何も言わないでほしい

寂しいとき
心は寒さで震えている

分かってもらえると安心する
触れられた温もりに癒される

悲しみを取り除くことはできなくても
一緒にいることはできる

理解できなくても
想うことはできる

分かろうとするとき
手探りで触れようとしている

心は言葉にならない場所で
抱きしめようとしている

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