迷宮 第六章 Ⅹ




before

暗い夜の下であったとしても
それは星のようなもの

たとえ雲に覆われようとも
それを信じているから

未来に委ねて歩いていける
光に照らされる道を目指して

Ⅹ Ⅰ

そして夜が明けるだろう

光は大地を照らし
闇に包まれた町にも光が差し込むだろう

立ちつくす人は歩き出し
涙に暮れる人は安らぎに眠り
別れを惜しむ人はまた新たな出会いに旅立ち
絶望に憎しみを抱く人は希望に愛を託すだろう

光は注ぐのだ
分け隔て無く―平等に
それは全てを―許すように

そうして――世界は光に彩られていく……

光は最初からあったのだ
闇がそれを覆っていたに過ぎない

心はあらゆる事象を闇に葬り去り
万物を光に抱くだろう
どんなものにも照らす光が現れるだろう

――そして今日も
世界に陽が昇る

――朝の訪れと共に
この世界は生きていく

万物の鼓動を詩にして

between

Ⅹは削除しようと思ったが、一章の一の詩をリプライズで出して、答えを出してみるのも面白いかもしれない。

Ⅹ Ⅰの詩は、光に照らされれば解決みたいなありきたりな終わり方なのでⅩと合わせて一つの詩にして完結する。

六章 Ⅹ

暗い夜の下であったとしても
それは星のようなもの

たとえ雲に覆われようとも
それを信じているから

未来に委ねて歩いていける
光に照らされる道を目指して

一章 Ⅰ

彷徨う旅人よ
光を見たか
信じる者よ
それは蜃気楼かもしれない
藁をも縋る者よ
それは祈りに終わるかもしれない
思慮深く迷う者よ
森は深く光を閉ざしている
欲望に駆り立てられる者よ
砂漠のオアシスは干からびてゆく

この二つの詩をかけあわせていく。
欲望に駆り立てられる、というのは
理性と鬩ぎ合いを後に描くための伏線だったが、
結末は理性が全てを御すとか、
出口があるとかそういうことではなく。
意味とか価値でもなく。
それらを内包した、迷宮の構造をした精神世界において
人が知りえる最大の英知は「その人だけの真実が何であるか」という生きることの美しさにあるのではないか。

after

暗い夜の下であったとしても
旅する者はきっと星を探すのだろう

たとえ雲に覆われようとも
信じる者は見えないものを見ている

藁をも縋る者は
いつか委ねることを知るのだろう

思慮深く迷う者は
光が道を照らし出す時を待っている

欲望に駆られようとも
オアシスは蜃気楼だったかもしれない

夜が明け 朝の訪れと共に 光に彩られていく世界で
心の大地で眠る 宝石のような 囁き声を聞く時

宇宙に見つける星のような 美しい真実がそこにある

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