7 1 詩集シリーズ(コーヒーについて)
詩集 日常を生きる
「日常」
一歩を積み重ねて
自分だけの道を
形作っている
白紙に今日を描いて
淡々と押し流されそうになって
溢れ出すような何かに翻弄されながら
必死に握りしめている
当たり前であるのに
奇跡に満ちた
日常という 営み
思想詩集 光と闇の物語
一章「影」
足元の影は深い海のように
痛みを引き受けている
世界に訪れる暗い夜のような
壊れたピアノみたいな音を立てて
影の手が受けとめている
色あせた闇に手を当てる
冷たくて 夜の砂漠のようだった
地面にできた罅が
影の胸のところにある
偶然だろうか
そっと撫でてみた
手を影に当てる
手が重なる
痛みを分け合おう
喜びも半分こしよう
影と自分
二人で独り
返答詩集 出逢いと旅 別れと続く道
「出逢いと別れ」
風が吹いて 雨が降って 光が注いで 葉が散って 雪が舞い
伸べた手に 痛みと 温もりを 残して
消えていく 朝陽が閃いて 闇夜が広がり
一日は何があっても 何もなかったかのように 通り過ぎていく
心を置き去りにするように 時は巡り 進むしかないから
零したものに 気づかなくて 魔法みたいに一瞬で消える
いつか別れる日までの ささやかな時間でしかなくて
指先から離れて 空っぽの手に残るのは 心の中にしかしまえない
両腕に抱いて 温めている 彼方の星には届かなくても
流れ星が零した涙には 触れられる
願ったことが叶わなくても
足跡だけは残り続けている
海の波のように揺らぐ どうにかなること どうにもならないこと
言葉だけで知っているもの 知っているつもりで 本当は分かってないこと
分からないのに どうしようもなく降り注ぐもの
彩りが移ろい 光のように瞬いて 花のように舞い 次々と散る
伝えたかったこと 伝えられなかったけど この手に託したもの
言葉にする必要がないくらい 伝えてきたこと
離れてしまえば もう会えないかもしれなくて
奇跡みたいな 出会いだった
伝えられなかったこと 届かなかったもの 零してしまったもの
今日目にした星は きっと誰かの夢
心臓が奏でた唄
明日という夢の続き
# 5
星の欠片 心の断片
二部 星と心
一章 心と鏡
5
この手にできるものは
限りがあるから
零すしかなかったものたちが
道標を描いている
光がきっと
進むべき道を照らし出してくれる
6
道が袂を別つ前に遡ったとして
選んだ方も 選ばれなかった方も
どちらの道を行ったとしても
同じ場所に行き着くのかもしれない
別れすら新たな始まりだった
手放しても 信じて歩いている
選ばれなかった未来の続きへと繋がっていく
7
季節が自然に巡るように
訪れては去っていく別れに一抹の寂しさを
空白を満たす孤独は日常に溢れる
寂しさも 喜びも 心に残していく
日々の移ろいのような
終わりになんてならない
すれ違った星同士が 巡り廻って
再び出会えるように
8
過去は振り返ることでしか触れられない
いくらでも触れられると思っていた 記憶は遠ざかっていく
正解が分からなくても 手探りで生きていく未来を
選び歩いてきたからこそ 今の自分がいる
心の中にしまってある
触れたもの 届かなかったもの
抱えたものをなくしても
想いは消えずに
夢と願いに形を変えて
彼方に輝いている
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