交響曲 未知なる自分
before
四小節
―洞窟―
光の当たらない闇の奥
そこに蠢く闇の光沢を放つ物達
醜悪の限りが立ちこめ
そこに善悪は無く
ただ混沌と破壊の足音が
気配なく木霊する
心の内側に存在する洞窟
それは自分でさえも分からない闇そのもの
五小節
―無知なる自分―
分からない 自分のこと
こんなにも近くにいるのに
近すぎて見えない
それは氷山の一角 水面下には巨大な塊があるように
それは一本の大樹 大地には地中深く根を下ろすように
それは言の葉 一枚の葉の中に溢れる想いがあるように
それは虹の橋 一本の道の中に何色もの彩りがあるように
人はそれを潜在意識と呼び
神と呼び
さらには集合意識と呼ぶ
自分のことをどれほど知っているのだろう
知った部分が星のように光るとしても
すぐ隣には果てしない深淵の闇が佇んでいる
それは宇宙の無限の広さを思わせる
between
「洞窟」あたりから、客観的な自然描写と心象風景がオーバーラップしていく。
洞窟をシンプルに得体のしれない感にする。
これだと気味が悪いだけになる
「無知なる自分」と混ぜていく。
これも専門用語ばかりで分かりにくい。もっと簡単に。
無知でもいいが、否定的なニュアンスを感じるので、「未知」にかえる。
自分という世界の広大さに目を向ける、壮大なスケールの詩にしたい。
after
―未知なる自分―
光の当たらない影の奥
誰も知りえない神秘の世界
混沌が気配なく木霊している
心の内側に存在する洞窟
それは氷山の一角 水面下に存在する巨大な塊
それは一本の大樹 地中深くに張り巡らせた根
それは言の葉 一枚の葉の中に溢れる想い
それは虹の橋 一本の道の中に何色もの彩り
星のような光で照らし出したとしても
深淵の闇は背後に佇んでいる
広大な宇宙を擁する世界において
永遠にも似た時間の一瞬に過ぎない
詩人です。出版もしております。マガジンで書籍のご案内もいたしております。頂いたサポートは出版の費用にさせていただきます。