時空絵巻 46頁 おまけトーク(ネガティブとは不足という話)

「神の居場所」

神はどこにいる

我は神の信託を受けた

法皇が民に告げた時
人々は彼こそが神の化身だと信じて疑わなかったことだろう

しかし―貢ぎ 捧げ 添えられるありとあらゆる富を前に
法皇は果たして民の祈りを聞き取ることができるだろうか

神を語ることの恍惚な位から世界を見下ろして
その溢れんばかりの財に目が眩むことがないとは言い切れるだろうか

貪りつくす富の姿に人々は幻滅するだろう
汝は神なのでは決してないのだと

人々の失望は王宮にすら牙を剥ける

宗教―それは民の支柱であり 民を総べる王国の礎そのものだった

民は叫ぶだろう

偽善者め
神の名を語る不届き者め

捕まえろ―広場に放り出せ―首に縄を掛けろ―

同盟と裏切り―神はいない
誰も信じるな

その時国を総べるはずの柱に亀裂が入り―対立が生まれただろう
宗教―その信念が違うことが争いを生むのだ

混沌とする国の背後に一条の光が射し込む
それは先人たちの築いた海の馳せる航路という道

国に安らぎは存在しない
もはや国は宗教を人の生きる道としてではなく
支配の道具に貶めてしまった…

大陸という大陸の全てをまたにかけ
知らぬ世界などこの世に存在しないと謳うかのように
船は海原を奔り―未開の地を手中に収めては新たな財の道を模索するだろう

星はただの星でしかなく
この世に存在しない神は我らに世界を与えたと民は謳うだろう

神すら人々は奴隷として扱うのか…

財と金と人が世界を廻る
彼らにとって奴隷はただの道具でしかなかったが
それらが結びついた時―奴隷に―人の命に値がついた

もはや世界の大地は強国の所有物でしかなかったのだ

民は我らが特別だと謳いながら
王が微笑み血税を吸い上げるその卑しさに気づくことはないだろう
名声は目の前に光の如く昇り―それは見る者の眼を惑わすだろう
故に背後で一層黒く暗躍する影の姿を見る者はいない…

合法的な暴君の搾取が始まった
民すら道具として貶められていることに
人々は気づくことはないだろう

大陸の果てに辿り着いた大地の片隅で
失望を抱き
希望を胸に
旅をする

我らが神は欲望と支配に堕落した
ならば我らが崇拝にその気高き精神を再び灯そう
疫病と飢餓が蔓延する地獄のような場所で
それこそ彼らは神よ―我らに加護を―と祈ったことだろう―
海の支配に国が傾倒していく中で
その打ち立てられた旗は時代に流されることを嫌い
誇りを託して掲げた松明のようだ

between

神はどこにいる

(我は神の信託を受けた
法皇が民に告げた時
人々は彼こそが神の化身だと信じて疑わなかったことだろう

(しかし―貢ぎ 捧げ 添えられるありとあらゆる富を前に
法皇は果たして民の祈りを聞き取ることができるだろうか)

(神を語ることの恍惚な位から世界を見下ろして
その溢れんばかりの財に目が眩むことがないとは言い切れるだろうか

貪りつくす富の姿に人々は幻滅するだろう
汝は神なのでは決してないのだと

人々の失望は王宮にすら牙を剥ける

宗教―それは民の支柱であり 民を総べる王国の礎そのものだった

民は叫ぶだろう

偽善者め
神の名を語る不届き者め

捕まえろ―広場に放り出せ―首に縄を掛けろ―)

同盟と裏切り―神はいない
誰も信じるな

その時国を総べるはずの柱に亀裂が入り―対立が生まれただろう
宗教―その信念が違うことが争いを生むのだ)

混沌とする国の背後に一条の光が射し込む)
(それは先人たちの築いた海の馳せる航路という道)

国に安らぎは存在しない
(もはや)国は宗教を(人の生きる道としてではなく)
支配の道具に貶めてしまった(…)

大陸という大陸の全てをまたにかけ
知らない(ぬ)世界などこの世に存在しないと謳うかのように
船は海原を奔り(―)未開の地を手中に収めては新たな財の道を模索する(だろう)

星はただの星でしかなく
この世に存在しない神は我らに世界を与えたと民は謳う(だろう)

(神すら人々は奴隷として扱うのか…)

財と金と人が世界を廻る
彼らにとって奴隷はただの道具でしかなかったが
(それらが結びついた時―奴隷に―人の命に値がついた)

(もはや)世界の大地は強国の所有物でしかなかった(のだ)

民は我らが特別だと謳いながら
王が微笑み血税を吸い上げる(その)卑しさに気づくことはない(だろう)
名声は目の前に光の如く昇り(―それは)見る者の眼を惑わす(だろう)
故に背後で一層黒く暗躍する影の姿を見る者はいない(…)

合法的な暴君の搾取が始まった
民すら道具として貶められていることに
人々は気づくことはない(だろう)

大陸の果てに辿り着いた大地の片隅で
失望を抱き
希望を胸に
旅をする

(我らが)神は欲望と支配に堕落した
(ならば我らが崇拝にその気高き精神を再び灯そう)
疫病と飢餓が蔓延する地獄のような場所で
(それこそ彼らは神よ―我らに加護を―と祈ったことだろう―)

海の支配に国が傾倒していく中で
(その)打ち立てられた旗は時代に流されることを嫌い
誇りを託して掲げた松明のよう(だ)

after

神はどこにいる

神はいない
誰も信じるな

国に安らぎは存在しない
国は宗教を支配の道具に貶めてしまった
大陸という大陸の全てをまたにかけ
知らない世界などこの世に存在しないと謳うように

船は海原を奔り 未開の地を手中に収めては
新たな財の道を模索する 星はただの星でしかなく
この世に存在しない神は 世界を与えたと民は謳う

財と金と人が世界を廻る
彼らにとって奴隷はただの道具でしかなかったが
世界の大地もまた強国の所有物となっていく

民は我らが特別だと謳いながら
王が微笑み血税を吸い上げる卑しさに気づくことはない
名声は目の前に光の如く昇り見る者の眼を惑わす
背後で一層黒く暗躍する影の姿を見る者はいない

合法的な暴君の搾取が始まった
民すら道具として貶められていることに
人々は気づくことはない

大陸の果てに辿り着いた大地の片隅で
失望を抱き 希望を胸に 旅をする

神は欲望と支配に堕落した
疫病と飢餓が蔓延する地獄のような場所で
海の支配に国が傾倒していく

打ち立てられた旗は時代に流されることを嫌い
誇りを託して掲げた松明のよう

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