7 4 詩集シリーズ 2525のミラクル
詩集 日々を生きる
「色彩」
知らない景色は 触れたら
知っている風景に 塗り替わる
未来も きっと過去も
今 目の前の光景も
思想詩集 光と闇の物語
四章「涙と花と」
花は詠う
風にそよいでゆらゆらと
香りに歌詞をつけてふわふわと
風の音を伴奏にして聞こえない歌を
雨の陽は交響曲を
雷の轟きには静寂の音を
風の静けさには凛と立つ高らかな鐘の音を
聞く人がいなくても 花は歌う
深紅の花弁は光浴びれば炎のように
燃え尽きるように枯れる時が来るまで
静かに 懸命に
躰の中から音楽が溢れ
色が踊る
生きることを歌う 喜びの歌
花に零れた一つの涙
花に触れると光の粒となって
空気に散りばめて消えていく 彼方の星のように
見上げた花 泣いている人
投げ落とされた影に
花は歌うのをやめて考え込んでしまった
空を仰いでも 何も見つからなくて
花は歌い始める
どんなに探しても
見つからない歌声は
風に乗って空へと消えていく
遠くに 耳を澄ませて 彼方に心を寄せて
唄は導きとなって 拾い集めた一篇を
風の声と雨の唄から繋いで 物語を紡ぐように
聞こえなくてもいい 花は詠い続ける
泣きやんだ人の囁き声が吐息のように零れ落ちた
草のこすれる音よりも小さく
静かに立つ山よりも大きな声で
微笑むように 去っていく
遠ざかる後ろ姿に
語りかけるように
花は再び歌う
風に揺れる姿は呼吸をするように
楽しそうに笑うようで
風に舞い踊るかのように
誰にも聞こえなくても
祈りのために
言葉を編んだ花束のように
今日もまた 花は歌う
返答詩集 出逢いと旅 別れと続く道
「掌に残るもの」
離れた手はもう届かない
風のように舞う 花片のよう
空っぽの掌に 温かな薫りを残していく
溢れる涙と 零れる微笑みのように
思い出を辿れば 光のような
手はまだ伸べられている
聞こえても余韻でしかなくて
見えても過去でしかなくて
まだ言えなかったことがたくさんあった
まだ伝えたいことが山ほどあった
離した手が別れに託したもの
叶えられなかった願い
報われなかった軌跡
伸べた指先は散った花びらのように
空のような明日に
新しい出逢いに懸けて
掌に温かなものを残している
# 5
星の欠片 心の断片
二部 星と心
二章 光の欠片
4
夢が砕けてどれだけの時間が経っただろう
残骸は緩やかに朽ちていく
手を空にしたら
捨てた欠片を拾っていた
何度も手放して 忘れる度に
何度も出会って 思い出して
失ったものが 心の中で蘇るように 鼓動を始めて
止まった心臓が 何度でも 震えるように
夢の残骸は時を経て 形を変えて 今に出会い
色褪せようとも失われることはなかった
心は夢の宝箱
いつか取り出す時まで大事にしまってある
5
過去の傷は
掻き消されてしまう
気づかなくても 見えなくても
いつか現れてしまう
克服したつもり 乗り越えたつもり
諦めたはず 時間が解決したはず
思いこんでいただけ
心はずっと覚えている
今が過去と離れていても
心に刻まれた傷は永遠のようで
忘れていたかったのに
抱えた痛みは許してくれなかった
詩人です。出版もしております。マガジンで書籍のご案内もいたしております。頂いたサポートは出版の費用にさせていただきます。