「迷宮」 第三章 Ⅲ


before

外の世界に一歩出ればそこは洪水
草のように乱立する雑踏を掻き分け
欲望と執着の渦巻く都市を歩む

泣き叫ぶ子どもの声を聞いたか
怒りに絶叫する大人の声を耳にしたか

もしもこの世界を浄化するのなら
それはこの世界を滅ぼすのが一番簡単なことだろう

立ち尽くす己は為す術無く
無力さに打ち拉がれる

頭を抱えて 座り込み
膝を抱えて 眼を瞑るだけでいい

手首に刃物を趨らせる人がいる
屋上から飛び降りる人がいる

何も見たくない
何も感じたくない

生まれてきた是非を知りたい
そんなものは存在しない

死と生…希望と絶望…闇と光
この世界は―それらが循環するだけでしかない

出口を求め
彷徨い歩く人よ
目に映る物は偽物だ

答えを求め
彷徨い歩く人よ
全ては無意味なのだ

幸せを求めて
彷徨い歩く人よ
そんなものは存在しない

汝の見る物全ては影

手に触れる闇を
光だと握りしめる愚か者よ
人はそれを虚無と呼ぶのだ

光を知りたいか
旅人よ
だが真実は目に見えないのだ

between

Ⅱの続きのような文章だが、殺伐としている。削除する。
ⅣをⅢにして、シンプルな言い回しにする。

after

出口を求める人よ
目に映る物は偽りであり

答えを求める人よ
手にした物に意味はなく

幸せを求める人よ
全ては影であり
手に触れる闇を光だと握りしめる
それは虚無であり

光を求めるがゆえに
真実は目に見えない

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