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全部だきしめて - KinKi Kids(1998年)

text : tomai

2022年8月6日、東京ドームへKinKi Kidsのコンサートを観に行った。

普段は年末年始にコンサートをすることが恒例となっているKinKi Kidsだが、今回は25周年記念イベントということもありデビュー日の7月21日前後である7月、8月での開催となっていた。

私が本格的にKinKi Kidsのファンになったのは『Secret Code』が発売された2008年の夏だったが、それ以前からリリースされるアルバムはすべて所持していたくらいにはずっと彼らの音楽を聴いていた。(初めて購入にした短冊CDも『硝子の少年」』だったような気もする。)

そんなこんなで、25年もずっとKinKi Kidsの音楽を聴き続け、5歳だった私はいつのまにか30歳になった。

もう何度も何度も聴いてきたKinKi Kidsの代表曲たちが披露されていく中、今回のコンサートで改めてハッとさせられた曲があり、それが『全部だきしめて』だった。

リリースされたのは1998年。当時、近所のTSUTAYAで反町隆史やSPEEDのシングルCDらと共にレンタルをして自分でカセットテープに録音した記憶がある。

歌詞の意味もよくわからず、でもなんか沁みるいい曲だなあ〜なんて思いながら、幼い頃からずっと聴いてきた『全部だきしめて』。

30歳になって改めて向き合ってみると、その力強さと包容力にびっくりしてしまった。

はっきりと突き刺さる力強いメロディ、そして、あまりにも愛の深い歌詞。

特に、歌詞が今の私の胸に突き刺さった。

とても大切な人なのに、なぜか信じられなくて相手を試すような態度を取ってしまったり、傷つけたくなんかないのに、なぜか攻撃的になってしまったり。

そんな経験は、生きていると時々起こる。

その度に自己嫌悪に陥るし、自分なんて消えてしまえばよいのに、と何度も思ってきた。

だけどこの曲は、そんな人間でさえも許し、認めて愛してくれる包容力がある。

この優しさに甘えすぎてはいけないと思うけど、優しさを与えてくれる人をもう少しちゃんと信じたいし、愛したいし、相手からの信頼や愛をしっかり受け止められる人になりたい。大切な人の不安定さを認め、支えてあげられる人になりたい。

それは恋愛関係だけに限らず、親子とか兄弟とか友達とか、あらゆる人間関係に言えることだと思う。

"さびしさの嵐のあとで
きみの笑顔を さがしてあげるよ"
という、相手の不安定さを受け止めた先にある前向きさも素敵だ。

この曲の良さに出会えた私は、少しだけ大人になれたような気がする。

『全部だきしめて』KinKi Kids(1998年) 

作曲:吉田拓郎 作詞:康珍化 編曲:武部聡志

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