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鉛色の記憶

現実が疎かになっていく。
わたしは、人よりどれだけ長く眠っているのだろう。
人生のどれだけを、眠って過ごしてきたのだろう。
寝ても寝ても、まだ眠い。
7時間、10時間、15時間…まだ足りない。
自分でも驚くほどに、わたしはよく眠る。

眠っている間は、現実から離れられる。
そうやってわたしは、現実に目を瞑る。

逃げている。追われている。
夢のなかで姿を変えて、わたしを覆う怪獣たち。
やっとのことで逃げたって、
ここまでそれは追ってくる。

自分の叫び声とともに目を覚ます。

でも、わからない。
夢の中で叫んだのか、現実の世界で叫んだのか。

生ぬるくて灰色の悪夢を見続けているような気分だ。
束の間の幸福を気休めのように味わう。

そんなわたしをものともせずに、
陽の光は煌々と降り注ぐ。

太陽って、こんなに熱かったんだ。

寝ぼけているわたしを、
一瞬にして照らす。

意図せず光の世界に連れ出されたわたしは、
それでもこりずに目を閉じる。

自分の家のように馴染んでしまった闇に、
わたしは帰っていく。

その道に、人影はない。
着いた先は、物音のしない深い底。

浮かぶために必要なのは、
羽だろうか、勇気だろうか、それともあなたの声か。

ひんやりと静まりかえったここで、
ただひたすらに耳をすませてみる。




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