タロットカードでリスク回避
昔、カフェでバイトをしたことがある。結構有名で大きなお店だったので、バイトの人数も多かった。オープニングスタッフの採用だったのでバイトはみんな同期みたいなもの。人が集まると必ず先頭に立ちたがる人はいる。誰に命じられなくてもリーダーのようにふるまう人が3人いた。
その3人とは、
1:重いものの運搬や洗い物を一切やらず人に命じてやらせる人
2:正しい作業がされていても、人のやったことをいちいちやり直す人
3:人の好き嫌いを表に全面的に出す人
日増しに3人のパワーは増大していった。自然と回りのスタッフはその3人に従順になり、同期なのに敬語を使うようになる人、ゴマをするようになる人もいた。睨まれるよりは、快適に過ごせた方がいいに決まっているから、ご機嫌とりは身を守る術なのかもしれない。
私は不器用で、その術をつかいこなせなかった。3人へ苦手意識を持つようになり、すると徐々に私へのあたりもきつくなっていった。それでも頑張れたのはそのカフェとカフェの仕事が好きだったから。
バイトに入る前にはシフト表を見て、3人とかぶらないといいな、と思うようになった。3人のうち1人とかぶる日はなんとかなる、2人とかぶる日はやばいけど、他のスタッフがいるからがんばろう。3人とかぶることはシフトにはいる時間帯が違うのでまずないはずだった。
が、ありえないはずのことが起ころうとしていた、3人とシフトがかぶる日をみつけてしまった。その日は休み希望のスタッフばかり。だから3人と私だけの日。
耐えられるかな、こわいな。恐れを紛らわそうと思い、昔買ったタロットカードで占ってみることにした。カードも解説本も買っただけでほとんど使ったことがなかった。占い方もわからなかったが「3人とシフトが同じ日の運勢を教えてください」と思いながらカードをシャッフルして1枚めくった。
ソードの3
ハートに3本の剣がつきささっているカードだった。
そのカードを見た瞬間、やばい、メンタルやられる、といやなイメージがわいた。解説本は読まなかったので本当の意味はわからないが、カードから受けた強烈な第一印象がすべてだった。
私は慌てて仲の良いスタッフに連絡し、無事シフトを代わってもらうことができた。めでたし。
私はこの決断を正しかったと思っている。自分の身を守る、リスク回避は大切だから。