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映画『アイアンクロー』ショーン・ダーキン監督
小学生のころからザック・エフロンが好きで、
絶対に見逃せない作品だ!ってなってた。
正直、プロレスは興味がない。
なので、正直、鑑賞前は不安だった。
だけど、プロレスよりも、家族愛。
愛にあふれた作品だった。
その愛が強いが故の悲しくも感動的なストーリーとなっていた。
この家族の悲劇の原因は、父フリッツにある。
完全な「悪」でも「善」に振り切らない描かれ方に、
とても人間味というか、多面性を感じた。
『アイアンクロー』 The Iron Claw (2023年)
監督・脚本:ショーン・ダーキン
出演:ザック・エフロン、ジェレミー・アレン・ホワイト、ハリス・ディキンソン、スタンリー・シモンズ、モーラ・ティアニー、ホルト・マッキャラニー、リリー・ジェームズ
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『ゴッド・ファーザー』の再来?
『ゴッド・ファーザー』のコレルオーネを感じる父親だった。
家族を守るために権力を得る。
家族がすべてだった。
そのために裏に手を染めるわけではないけれど。
![](https://assets.st-note.com/img/1712296785957-T8mOunkxlb.jpg?width=1200)
フリッツは移民ではない。人種的な疎外感も迫害もなかったが、
中流階級とは程遠い生活を送っていた彼には、
アメリカンドリームを強く願っているように感じた。
それゆえ、息子たちに託しているようだった。
印象的だったのは、ケリーがオリンピックの出場がなくなり、
フリッツがケリーにいうセリフだ。
「押し付けたくはない。
だけど、そろそろプロレスはどうだ?
家族が一致団結する時だ。
家族でプロレスはやるべきだ。」
選択肢を与えているようで、プロレスを強要している。
「家族」の結びつきが強い家で、縛り付ける。
まるで呪いの言葉のように。
最後のシーン
![](https://assets.st-note.com/img/1712296809158-sEpYdlTuI4.jpg?width=1200)
フリッツの最後の登場シーンも心に残った。
ずっと連れ添っていた妻ドリスから冷たくされ、
孤独な様子から、だんだんとルーズになっていく。
夕食が用意されていなくても、怒ることなく、
「そうか」と言って、椅子に座る。
彼の孤独さがより浮き彫りになる。
そして、だんだんと小さくなる存在が、
主人公ケビンが父フリッツからの呪縛から逃れて、
自立していく様子も表しているのではないか。
あえて彼の死は描かれていない。
時間軸的にはケビンが引退した後すぐになくなっているから、
描かれていてもおかしくはない。
私が思うに、そこには、監督のフリッツへの尊敬と愛、
そして、ケビンがこれ以上家族を見送るのがつらい、という願望があったのではないか。
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最後に
4兄弟を演じた4人の役作りは熱量がすごかった。
腕の大きさが倍ぐらいになってたし。
ザックの演技も素晴らしく、自然と涙が出てくるような、ゆっくりと引き込まれるような感じ。
プロレスのシーンもリアルで、
ファイトシーンが苦手な私は目をつぶってしまった。
シネコンではなく、小さい映画館でしか上映してないのが、もったいない。
ぜひ劇場で観てほしい。