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自宅保育デイズと、新しい日常

3歳の娘に空前のハサミちょきちょきブームが訪れており、片付けても片付けてもいつのまにか紙片が散らばり床の見えない毎日を過ごしている。

家の中でも楽しめるように、と勢いで作ったダンボールハウスも日ごとに変化を遂げつつある。壁や床には娘が描いたぐるぐるの絵や、切りきざんだ紙片がぺたぺたと貼られ、かつ単品で貼られた謎のセロハンテープ群がてらてらと光る。

今日はふと思いついて「あっ窓でもあけようか!」と屋根部分にカッターで小窓を開けた。さらに紙に動物を描いて、動物たちがそこから中を覗き込むようにした。床に寝転んで上を見ると、カバやうさぎと目が合う。童心に返ってわたしが一番楽しんでいるかもしれない。

一方で、ハウス内には色とりどりのボールがこれでもかと転がり、娘によってちょきちょきされた紙切れたちが鳥の巣のようにわさわさと広がる。そして今日も、彼女はちょきちょきに勤しむ。紙片はかさを増してゆく。

そのかたわらでわたしは何をしているかというと、申し訳程度にパソコンをひらいて「鶏もも肉 下味冷凍 人気」などの検索ワードをたたきこんでいたりする。この日々を生き抜くための知恵をわずかでも得んとしているのだ。

常時は肉魚を冷蔵で使い切るタイプだったが、この外出自粛で食材をまとめ買いするようになるとそうも言っていられない。世の賢い先輩主婦がインターネットに放っておられる、すばらしき知見に学ぶ日々である。

……などと書いていようものなら3秒おきくらいに娘に「ママ!」と話しかけられるので、まったく書き仕事などすすまない。だから娘のかたわらでやれるとしたらこんなふうにリアルタイムの日常を書きとめるくらいか、下味冷凍レシピの検索くらいなものである。あと実際下味に漬け込むくらい。

では夜に仕事せん、と「娘ちゃん、今日はパパと寝てくれる?」と打診すれば即刻「いやーっ!」と却下され。あーわかったじゃあママと寝よう、と横になり、寝かしつけのまどろみから帰還するのはなかなかどうして至難の業だ。ならば早朝に仕事をすすめようと思い早起きをする。暗闇の中で起き、リビングでPCをひらいてしばらくすると、必ずといっていいほど普段より1時間以上早く娘も起きてくる。わお。

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どうでもいいことをすごくしんけんに書いています。

<※2020年7月末で廃刊予定です。月末までは更新継続中!>熱くも冷たくもない常温の日常エッセイを書いています。気持ちが疲れているときにも…

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