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しなくていいタイムトライアル

夫が出張中の、ある土曜日のこと。

その日は朝から、娘の歯科予約が入っていた。

ちゃんと早起きできたから、予約時間にも余裕で間に合うだろう。

のんびりと娘の着替えを手伝いながら、おだやかな心持ちで「歯医者さんがんばったら、ちょっと公園行こうか」と誘ってみる。娘が通う歯医者は、目の前が公園だ。娘も「うんっ。ボール、ぽんっ、するの!」と、なかなか乗り気のようす。

「あ、ボール遊びする? いいよー。じゃあ、ボール持っていかないとね」

おだやかな心持ちのわたしは、にっこりと微笑みながらそう返す。

しかしながら悠長に朝ごはんを食べ、「ままちゃん、いっしょ、パズル、しよー!」なんてこちらの都合おかまいなしに飛んでくる姫の要求にほどよく答えながら合間合間で支度をし、洗濯を干したりしていると、まあ予約の9時半なんてもう目前になってくる。

朝の余裕とおだやかな心持ちはどこへやら、最終的には「ほらっ、もう、遅刻しちゃう! 行くよっ!」と、嵐のように家を出ることになるのだ。

もちろん、ボールなんて持っていない。

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どうでもいいことをすごくしんけんに書いています。

<※2020年7月末で廃刊予定です。月末までは更新継続中!>熱くも冷たくもない常温の日常エッセイを書いています。気持ちが疲れているときにも…

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