見出し画像

汁なし担々麺が食べたくて

めったにテレビなんてみない生活を送っているのに、先日つけたらたまたま汁なし担々麺について放送していたものだから、それから汁なし担々麺を食べてみたくてしかたがない。

さらにわるいことには、そのときわたしは小腹が空いていたのだ。

そんな時分にあの四角いフレームの中で、出演者があまりに美味そうに汁なし担々麺をすする。箸でかき混ぜられ、赤い油やひき肉とからみつく麺をカメラさんがここぞとばかりにズームアップする。あんまりだ。

わたしは汁なし担々麺を食べたことがない。

でもその出演者曰く、担々麺というのはそもそも天秤棒で「担いで」売り歩いていたのが名前の由来で、むしろ運びやすい汁なしのほうが本来の「担々麺」だというではないか。いまでも本場中国四川では汁なしのほうが一般的だという。

そんなことを言われると、本場の味とやらをなおさら食べたくなる。

だってわたしがこれまで担々麺と思って食べてきた担々麺は実は担々麺じゃなくて、汁なし担々麺が担々麺だったなんて。くそう、なにがなんだかだ。

とにかくわたしもそれを食べてみたい。そうしてほう、これが本場のね、とわかったような顔で頷いてみたいのだ。

ここから先は

2,651字
どうでもいいことをすごくしんけんに書いています。

<※2020年7月末で廃刊予定です。月末までは更新継続中!>熱くも冷たくもない常温の日常エッセイを書いています。気持ちが疲れているときにも…

自作の本づくりなど、これからの創作活動の資金にさせていただきます。ありがとうございます。