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【note商店街】気まぐれ写真ギャラリーぽこねん #001 こんなお店です
オウェノ@小さな絵のお店さんの呼びかけではじまった、『note商店街』マガジン。
わたしもその隅っこの一角に、ちっちゃな写真ギャラリーを開かせてもらうことになりました。『気まぐれ写真ギャラリー ぽこねん』です。
普段はエッセイを書いている店主ぽこねん。自宅で執筆することに飽きて、ほどよく雑音と人の視線があるような執筆空間がほしいなぁ、と思っていたところに、note商店街の店舗募集のお知らせを発見。
せっかくなら撮りためた写真たちも飾って、出入り自由な場所として開放しちゃおう!と気まぐれで始めたのがこちらのギャラリーです(なので店主は、もっぱら受付カウンターで何か書いてます)。
* * *
この投稿が、ギャラリーぽこねんとしては記念すべき第1回目。
まずは自己紹介と店舗紹介からということで・・・。
ここはどんなギャラリーかなぁ、と自分であれこれ妄想をふくらませていたら、手が勝手にタイピングしだして(こわい)、気づいたらこのギャラリーを舞台にしたへたな短編小説みたいになってしまったので、今回はそれをもって店主と店舗の紹介と代えさせていただこうとおもいます。
本来ギャラリーとしての投稿は、写真メインにしようと思っているので、今回は番外編。店主も想定外、まさかのテキストオンリーです。
初回にしていきなりの番外編(えっ)ということで、早くも気まぐれっぷりを発揮しておりますが、お気に入りのお飲みものでも飲みながら、ゆるーく、かぎりなくゆるーーく、お付き合いいただければ幸いです。
いいですか、ゆるーーくですよ。
それでは、どうぞごゆっくり。
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コロン、コロロン。
東南アジアあたりのみやげものだろうか。ドアをあけると、バンブー製のドアベルがなんとも愛嬌のある音を響かせた。
「あ、いらっしゃいませ」
受付カウンター越しに、何やら書きものをしていたらしい店主が顔をあげる。
「あ、こんにちは。はじめて来たんですけど・・・。ええと、おもてに、“お気軽に休憩どうぞ”って書いてあったから」
「ああ。どうぞどうぞ。歓迎です。ご自由にくつろいでいってください」
そう言うと、店主は手のひらで中央のソファを示してにっこりほほえんだ。
かと思うと突然、「あっそうだ」と何やらつぶやき、パタパタとバックヤードに引っ込んでしまった。
えらい気まぐれな店主だな。
* * *
壁にかけられた作品をゆったりと眺められるよう、部屋の中央に背中あわせにおかれた、ふたつのソファ。
4、5人はゆったりと腰かけられそうなゆとりがある。
奥側のソファには、すでにご老人が座ってひとやすみしているようだ。まだだれも座っていない手前側のソファに腰をおろし、「ふぅ」とひと息つく。
そこへ店主が戻ってきた。
「あー、どうも。さっきはすみません。ええと・・・、外、暑かったでしょう。5月とはいえ、日差しはけっこう強いですからねぇ。冷たいお飲み物でもいかがですか」
スッと、差し出されたメニュー。へぇ、ギャラリーとはいえ、ドリンクとお茶菓子くらいならやってるんだ。
「じゃあ、ほうじ茶ラテの冷たいのを」
「は〜い、ほうじ茶ラテの冷たいの」
丁寧なんだかフレンドリーなんだか、さだまりきらないこの距離感、なんなんだか。
でもまあ、肩の力は抜けてゆく。
* * *
ほどなくしてグラスに入ったほうじ茶ラテが運ばれてきた。白とベージュの淡いマーブルに氷が浮かび、カランカラン、と涼しげな音をたてる。
ごくん。
どうやら予想以上にのどがかわいていたらしい。体内にスーッと染み込む感じが気持ちよくて、そのままごく、ごくと飲んでしまう。あー、うまい。
おもしろいお店が集まる商店街ができた、と聞き、隣町から遊びにきたはいいけれど、実際どのお店もおもしろすぎて、少々はしゃぎすぎてしまったようだ。
お客さんとして来ているひとたちもまた楽しいもんだから、道行くひととのおしゃべりもはずむのが、この商店街の不思議なところ。
あぁ、来てよかった。今日はいい日だなぁ。
そんなことをしみじみ思いながら、でもそろそろ、ちょっと静かな空間でひと息つきたいと思っていたそんなとき。
たまたま、“お気軽に休憩どうぞ”と書かれた、いかにも人気のなさそうな写真ギャラリーを見つけたものだから、こわいものみたさでついつい入ってしまった。
写真なんて、あんまり興味はないけどね。
まあせっかくだから、ちょっとのぞいていくかな。
* * *
ギャラリー内は決して広くはない。だが、不思議とゆとりがある。
それは展示されている写真と写真の間に、たっぷりと余白があるからかもしれない。
ぎゅうぎゅう押し込まない、そんな感じがここちよい。
額におさめられた写真だけが展示されているものもあれば、その写真の近くに、小さなタイトルとメッセージのような、ちいさなテキストカードがあわせて展示されているものもある。
商店街という立地のおかげか、この小さなギャラリーにもちらりほらりとお客さんは入ってくる。それぞれ思い思いに作品を眺めてぼーっとしたり、ソファでひと休みしたりして、また去ってゆく。
派手さはなく、淡々と、静かに時間がすぎてゆく。
* * *
ギャラリーの隅っこにある小さな丸テーブルには、感想を残していけるノートとともに、なぜかブタの貯金箱がおいてあった。
店主の気まぐれでお出しするお飲みものや写真たちが、なんだか気に入ったなぁと思ったらこちらへお好きなだけ募金してください
そういやさっきのドリンクメニュー、値段とかなかったな。
てか、募金て。しかもお好きなだけ募金て。もっとほかに表現あるだろう。不器用か。しかもブタの貯金箱て。昭和か。
なんかついつい笑ってしまって、まあがんばれよ、と思う。
飲み物代として、ポケットにあった小銭を入れた。
* * *
ひととおり写真を眺めていたら、自分でも知らないうちにけっこう時間がすぎていた。
写真のことなんてよく知らないが、ノイズのない空間で、何かひとつの対象と向き合う、ってのはそれだけで感覚が研ぎ澄まされるような気がするな。
たまにはこんな時間も悪くない。
そろそろ帰ろうと、店主に軽く挨拶でもしようと思ったが見当たらない。また奥に引っ込んだのか。
と思ったら、受付カウンターに何やら立てかけてある。
夕焼けがきれいになりそうなので
ちょっと撮影いってきます
みなさまどうぞごゆっくり 店主
おいおい、大丈夫かよ店主。
気まぐれにもほどがある。
でもまあ・・・、なんか悪くない空間だったな。
商店街はおもしろかったし、また遊びに来たら、ついでに寄ってやるか。
(つづく)
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と、そんな感じのギャラリーをひらきたいと思います(どんなだよ……)!
今回は“勝手に番外編”ということで文字ばかりの投稿になってしまいましたが、通常投稿は写真メインの予定です(ときどき気まぐれに、こういう物語風の回があったりするかもしれません。読みたい方、いるのかしら…)。
今のところは投稿ごとに、テーマを何か決めて、そのテーマに沿った数枚の写真とキャプションみたいなものをあげてみようかと。
しばらくたってからは、コメントでみなさんからテーマを頂戴するのも楽しいかなぁ、と思っています。
やってみて、変える可能性もじゅうぶんあります。なにせ、店主がえらい気まぐれなもので……。
ぜひ、ふらっと遊びにきてください。
気まぐれでお飲みものやお茶菓子、お出ししますね。メニューは毎回変わってると思いますが。
え、お菓子の差し入れ? 大歓迎です。いただいたお菓子は、他のお客さまにもおすそ分けするかもしれません(架空のお菓子の差し入れ、コメント欄にいただいたら別の投稿で登場するかもです)。
それでは、本日はご来店ありがとうございました。
また、お待ちしてます。
* * *
おまけ:
どんなお店が居心地いいかなぁ、と妄想していてふと思い出したのは、2010年にひとりで訪れてしずかに感動した、千葉・千倉の海岸美術館。山の中に、ひっそりと佇む写真美術館だった。しらべてみたら、今年の3月に閉館したという。さみしい。
写真ひとつひとつもすばらしかったけれど、それよりも、緑や光など自然と溶け込むその空間全体の設計がとても好きだった。敬意を込めて、当時の写真を掲載。ありがとう、海岸美術館。
素敵だったなぁ、この空間…。ギャラリーぽこねんはもっとずっと狭いですが、店主の心の中だけには広々と、こんなイメージが描かれています。
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![小中ぽこ(ぽこねん)](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/2110752/profile_18db50139e1bf29e6349c40104050b7e.jpg?width=600&crop=1:1,smart)