ATMと明石焼き
思えば、戦いは前夜からはじまっていた。
書店で本を書い、軽めの夕食をすませて店を出る。いよいよ財布のなかの現金が心もとなくなってきたなと思い、ATMを求めてコンビニに入った。
やれやれ、やっとおろせる。今朝、新幹線に乗る前に地元のATMでお金を引き出そうと思ってから、ずうっとバタバタしていて結局おろせずじまいだったのだ。もはや旅先でおろせばいいやという気持ちで、延ばし延ばしにしていたのである。
ウィーン。
コンビニの隅っこに佇むATMを見つけ、近づく。「取引開始」のボタンをタッチし、財布をひらく。さてキャッシュカードを入れようとして、重大な事実に気づいた。
“あっ、カード、持ってない!!”
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<※2020年7月末で廃刊予定です。月末までは更新継続中!>熱くも冷たくもない常温の日常エッセイを書いています。気持ちが疲れているときにも…
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