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『人種』 てくてく通信+🎈 #69

こんにちは、英会話Oneのただともこです。読む瞑想マガジンへようこそ。
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あなたの毎日の底に静かで気持ちのいい音楽が流れますように。


人種

仙台は長い梅雨がだんだんと蒸し暑く変化してきました。仙台の梅雨は大抵傘を持つ手が冷たくなる、寒い梅雨なのです。庭の梅が熟してきましたが、皆さんの周りの植物はどんなですか?

今日は、人種の話。

日本に住んでいると、「人種」という言葉はあまり聞かないと思います。基本的に、アジア系の人種が95%を占めているからです。でも、例えば、アメリカやオーストラリア、あるいは、イギリス、フランスなどに行くと、多様な人種で構成された社会に触れることになります。ちょっと不思議な体験です。これは、新しい体験なので、なかなか対応しにくいだろうなと思います。そんな対応しにくい体験の中で、私がした人種体験をお伝えします。

私がアメリカに行ったのは14歳で、中学生でした。住んだのはセントルイスという街。アメリカのど真ん中にあります。その中でも、比較的高級住宅地に家を借りることができました。10か月だから、安全面と教育の面を最優先に考えて、私の家族はそういう選択をしました。アメリカでは、住む場所によって、まったく教育のレベルも、内容も違うし、安全の度合いも異なります。アメリカでは安全はお金を払って買うものなのです。

そんな、とてもいい住居区で、私は中学校に通いました。住んでいる人のほとんどは白人で、通っている人の多くは白人でしたが、そのころのアメリカの人種政策から、ダウンタウンから約半数のアフリカ系アメリカ人がバスで通ってきていました。だから、人口的には、白人とアフリカ系アメリカ人が半分ずついるような状態で、学校が構成されていました。

私は、白人の友達のグループに属していました。サマーキャンプで一緒になった友達とその周りの友達が連なって、グループを作っていました。スクールカーストでは、ちょっと勉強ができるオタクな集団くらいのすみわけをしていました。いじめられることはなかったけれども、とても、人気者というわけでもありませんでした。そして、クラスの中では、だんだん他の友達もできてくるという状態でした。

白人グループに属していましたが、私はアジア人です。ということは、アメリカでは、有色人種として認識されます。それがそんなに大事なの?と不思議に思われる方々もいらっしゃると思うのですが、アメリカは、一触即発的なけんかや事故がとても起きやすい場所です。とっさの判断で、身の安全を確保しないと、危険な状態がたくさんあります。だから、人種でいろんなことを判断する習慣がついている人たちがたくさんいるのです。つまり、アジア人だからといって、スーパーマーケットのレジで、買ったものを投げてわたされたり、ちょっと意地悪な態度を取られたりすることが、ごく日常としてあります。そういうことは、だんだん住み慣れていくと、減っていく状態でもあります。

さて、教室に戻って、クラスの中には、白人とアフリカ系アメリカ人が半々くらいいるはずです。でも、クラスは能力別に編成されているので、私がいたクラスは白人が大半で、頭のいいアフリカ系アメリカ人が少しいるという感じでした。その中で、組になって実験をしたり、ちょっとおしゃべりをしたりする時間に、そばに座っている、アフリカ系アメリカ人と話す時間も、だんだんと時間が経つと現れました。彼らは、白人とは全く違った、文化背景で自分たちの暮らしや考えを作っています。それが面白くて、例えば、手のひらの白いところと、黒いところがどうなっているかという状態が面白くて、手をしっかり見せてもらったりしました。その友達は、私が人種差別の意識を持っていないと判断してくれたので、少しずつ心を開いてくれたのだと思います。そうやって、2人、3人とあいさつするアフリカ系アメリカ人が増えてきました。

そんなある日、体育の時間が来ました。その日は、クラスが二つに分かれて、ボールゲームをすることになりました。そのために、チーム編成をしていました。いつもなら、先生がクラスを分けてくれるので、白人も、アフリカ系アメリカ人も混ざったチームになるのですが、その日は、たまたま先生が「好きに分かれていいよ」といったのです。クラスは、自然とアフリカ系アメリカ人チームと白人チームに分かれました。

その時、私は、両方のチームの線の真ん中に立っていました。少しずつ心を開いていった、何人かのアフリカ系アメリカ人の友達のおかげで、私は彼らの信頼も少し勝ち得ていました。でも、属しているのは白人のチームでした。(私の学校にはアジア人は3人しかいませんでした。クラスには一人です。)そのとき、両方のチームが、こっちにおいでよと、手招きをしてくれたのです。私は、立ちすくんで、すごく迷いました。できることなら、一回、アフリカ系アメリカ人の世界に行ってみたかったのです。でも、それを一回やると、地元に住んでいる、白人の友達とのつながりは絶たれてしまいます。先生は、アフリカ系アメリカ人でした。1分くらい迷って、私は、白人のチームに行きました。「なんだやっぱりそうなんだ。」というあきらめの気配をアフリカ系アメリカ人から感じました。悔しかったです。せっかく勝ち得た信頼を失ってしまったことをその時悟ったからです。

今、私がフェイスブックでつながっているアメリカの友達は、もれなく白人です。アフリカ系アメリカ人の人たちとのつながりは今はありません。3年前、友達の家を訪ねて、1週間ほど滞在した時も、迎えてくれたのは、全員白人の友達でした。それはひとつも後悔していないのです。そんな風に30年後に泊めてくれる友達がいるだけで幸せです。

でも、同時に、あの時、手のひらをじっくり触って見せてくれたあの友達はいまどうしているかな?どんなことを考えているかな?とも思います。あの時、私に「こっちのチームに来てもいいよ」と心を開いてくれた彼らの生活はどんなだろうとも思うのです。それは、明らかに、アメリカのもうひとつの社会の側面で、文化でもあるからです。あの時、Tomoko is OKと言ってくれた人たちともう一回話す機会は訪れないかなと思います。今なら、様々なすみわけの外から、その人たちと交流する術があるからです。

アメリカに住むことも、中学校を無事に過ごすことも、高校を無事に過ごすことも、アメリカでは、とっても大変なことです。でも、その中で、大事に自分たちの交流を育んでいる場面もたくさんあるのです。こんな風に、アメリカの社会は、そして多くの西洋の社会は人種で、付き合う人を分けてしまっています。それは、それぞれの人格がどういう人かという以前に、「この色だから、この人と付き合う」という常識で、階層分けをされた、すみわけ社会ができているからです。そこは、日本とすごく違うところです。

今、世界で話題になっている、Black lives matterという、メッセージは、例えば、こんな生活背景の中から、生まれています。私たちには想像もつかない不自由で危険な状態が、彼らの周りには存在します。それと戦っていくのは、一生の戦いです。例えば、ガンジーもこのことと戦って、インドを取り戻しました。だから、私は、あの時、手のひらを見せてくれた友達をもう一度探そうかなと思っています。そこで、会話をすることで、何か、お互いにとって、得るものがないか、やってみたいなと思うのです。

人種差別は、体験してみないと実感できないとても理不尽な何かです。多くの日本人は、一生体験することがないとても幸せな環境にいます。でも、少しでも長く、外国に暮らせば、自分が差別される立場に立っていることに、気が付くことがあると思います。そんな時、腹を立てるだけではなく、どうやったら、その状態から平和を導き出すことができるか、考えられるといいなと思います。そして、一生のうちで何人か、肌の色の違う友達が一時的にでも、できたら、自分の多様性は広がります。そういう交流に持ちこたえられる基盤を私は持っていたいと思います。皆さんは、この話を読んでどう思いますか?ぜひ、教室で聞かせてください。


ちょっとしたおすすめ

COCOA
厚生省がコロナウィルス対策として
発表したアプリです。
Bluetoothを使って、
過去14日間に接触した人(1m以内15分以上)の情報を保存します。

そして、万が一自分が感染した時、
そのことを知らせたかった場合、
そのアプリを通して、
申告して、接触者に情報を与えることができます。

14日間の接触履歴は厚生省には蓄積されません。
自分のアプリの中に蓄積されます。
(これはシンガポールでデータを政府が蓄積したところ
 悪評が高かったので、改正されました。)

大勢の人ごみの中を行き来する人にとっては、
便利な自己保護システムだと思います。
良かったら使ってみてください。
ちなみに、アプリはまだ仕様の変更があります。


編集後記

韓流ドラマにまだはまっています。面白いです。敬語が日本語よりもよりたくさん種類があったり、人の呼び方もいろいろあったり、役者さんがアイドルじゃなくて、本当に役者さんなのだなと思ったりして、いろいろ発見があります。そして、ハングルを読めるようにするのが今の目標です。ハードルは低く、楽しく。いまだかつてアイドルにはまったことがないのですが、韓国の役者さんにときめいています。さて、これはどうなるでしょうか。続く。

(初出:2020.7.11)



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