『伝えるための会話の順番』 てくてく通信+🎈 #44
こんにちは、英会話Oneのただともこです。読む瞑想マガジンへようこそ。
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あなたの毎日の底に静かで気持ちのいい音楽が流れますように。
話の順番
仙台は雨です。静かに降り続きます。私は子供のころ田んぼのある世界に育ったので、雨のないことの方が、雨がありすぎるより心配になります。じめじめして、過ごしにくいですが、この雨がもたらす豊穣を想像して過ごすことができるといいなと思います。
英会話をしていると、皆さんがお話をするときに、話をする順番を考えていることが多いことに気が付きました。英語と日本語では話すことの順番が違います。英語では、結論を先に言います。住所も、番地から始まります。最後が市で、県で、国です。例えば、事務所の住所はこういう表記になります。
例えば顔見知りのお弁当屋さんに電話して10分後にから揚げ弁当を取りに行くときに、
「すみません、ただと申しますけど、から揚げ弁当をひとつお願いします。10分後に取りに行きます」
という言い方にすると、最後に名前をいうよりも、ずっと早く相手に要件が伝わります。
通常なら、名前は一番後に聞かれるものだと思うのですが、最初に相手が誰だかわかると、お弁当屋さんも動きがとりやすいのです。そして、名乗っているということは、お弁当を取り来るつもりでいるんだなという少しの責任が発生します。つまり、聞いている側にはお客様に対する信頼が発生します。その分相手は動きやすいです。
この間、同じビルに住んでいる人から、「火曜日の不燃ごみのだしかたが悪いひとたちがいて困っている」という話を聞きました。不燃ごみは次の日の可燃ごみの時に回収されるからそんなに問題ないじゃないと思って聞いてみたら、その可燃ごみが、回収されなかった不燃ごみの量で、押し出されてネットからはみ出してしまって、カラスがごみを荒らすから、困っているのだという答えが返ってきました。なるほどなとこの時初めて、私は相手の言いたいことを理解することができました。さらに付け加えるとその人はそのはみ出たごみの後片付けをしているから、気になるのだということもわかりました。
この話、話の最初と最後では、だいぶ印象が違う話ではないですか?皆さんはこの話を管理会社に電話で伝えるときどうしますか?
私なら、まず結論から伝えます。「火曜日のごみの出し方が悪い人たちがいるから注意してほしいのです。」「というのも、そのごみが水曜日のごみを増やしてネットをはみ出し、カラスがごみをあさるので散らかるのです。」端的に語るとこういう話になります。
私はこの話を例にして、何回も話しているから2行にまとまりましたが、話したい人の気持ちは2行にまとまっていません。余計なごみを出す人たちがいて迷惑している気持ちも、ごみが散乱するのを片づける気持ちも、それがカラスのせいなのに、ほかの人や物のせいに誤解されるかもしれない嫌な気持ちも、全部入っています。だから、話は長くなります。でも、管理会社の人が話を聞くとき、相手は、気持ちを聞いているわけではなく、どうして何をしてほしいのかを聞いています。そこに、「私の気持ちを理解してほしい」というプロセスを付け加えると話はとっても長くて、むつかしくなってしまいます。だから、その人は、私にまず話をしてくれたのだと思います。私は話の気持ちの部分を聞くことができるからです。
多くの事務的な物事を頼むとき、相手の中に、現実的に相手がすることをイメージできるような言葉で話をすると、話はとても素早く進みます。「火曜日のごみの出し方を注意してほしい→水曜日のごみが増えて散らかるから→片づけが大変」この順番で話を組み立てると、一番後の部分は実は管理会社の仕事なので、それをやってくれている人がいるなら、助けたくなります。自分の仕事が減るからです。
自分の気持ちを理解してもらうことと、相手に事務的にやってほしいことは違うことなのです。このことを踏まえて、相手に何をしてほしいか、伝えるようにすると、世の中はとても素早く回るようになります。
もちろん、気持ちを伝えることが大事なコミュニケーションの場合もあります。友達や家族などがそうです。あるいは英会話に来て気持ちを伝える勉強をする場合もそうです。話をするとき人は、気持ちと事務的事項を大体一緒にして話をしています。多くの場合、日本語で話をするので、緩衝材が入って、気持ちを受け取ることもやってもらえる場合があります。でも、本当に必要な事項をしてもらわなければいけない時は、自分の気持ちは別のところで整理して、事務的な事項だけを伝えられるようにならないと、話がこじれてしまう可能性があります。
最初のお弁当屋さんの例は、ビジネスをしているとよく感じることで、最初に名乗って話を始めてくれる人の話は聞きやすいのです。無名の人のまま、なんとなく連絡を取ってくる人たちは、自分がした約束を果たさないことがあります。名乗ってくれることで、「顔」ができるので、その人に対して、サービスをしやすくなります。
人は事務的事項だけでできているわけではないので、気持ちの話をする相手がいないと、成り立っていきません。でもそれは、近しくしている友人とする話で、マンションの管理会社の人と話す話ではないと割り切ると、物事はとてもスムースに進んでいきます。
これは逆に言うと、自分が気持ちの話をする相手を仕事の関係以外にいくつか持っていないといけないということでもあります。あるいは、気持ちを聞くことを仕事にしている人に気持ちを聞いてもらうこともできます。占い師やカフェや居酒屋、バーの人たち。そして、カウンセラーやその他、話を聞くことを仕事にしている人たちがそれにあたります。その場合も、自分が気持ちの話をしているときと、相手にしてほしいことの話をしているときの違いを把握して、お願い事をすると、話は伝わりやすくなります。多くの人は、自分の気持ちと相手にしてほしいことを混ぜたままにして、相手に伝えます。そうすると相手は困ってしまうのです。自分の気持ちを理解してほしいことと相手にしてほしいことは違うことです。多くの依存がこの部分をはっきり区別しないことから発生しています。
このことに気を付けてコミュニケーションをとるようにすると、たぶん世界はより一層スムースに回っていくようになります。
相手に何かお願いするときは、相手がどうしてそれをすると自分にもメリットがあるのか、想像しやすいように、「どうして、何をしてほしい」を相手の頭の中に絵を積み重ねて描いていくイメージでするといいです。これは英語も同じです。まず、これをしてほしい。こうだからです。とひとつずつ、相手が想像しやすい言葉を選んで、伝えていきます。そうすると、最後には、自分の気持ちまで伝わっていたりして、一挙両得です。このごみの話なら、「今までごみを片づけてくれていてありがとうございます。」というコミュニケーションになるはずなのです。
このことは、自分の気持ちには、自分で責任を持ちましょうということの延長のレッスンです。なかなか教えてもらえませんが、自分で自分の気持ちの世話ができるといいです。それができると、自然と他の人も自分の気持ちを世話してくれるようになります。でもまずは、自分の気持ちと相手にしてほしいことを分けて話すようにすると話は分かりやすくなります。そして、聞いてほしい気持ちがあったら、それは別に、怒ってるんですとか、困ってるんだ、辛いんだ、気持ちを聞いてほしいんです、という風に聞いてもらう方がよく伝わります。そのほうがずっと聞いているほうはかなり楽です。誰が相手でも、そういうコミュニケーションができるようになるといいなと自分のことに関しても思います。
ちょっとしたおすすめ
トマトパスタのレシピ
夏です。簡単に作れるご飯があるといいですよね。
ちょっと疲れてさっぱりしたものが食べたいときのパスタ。
これで出来上がりです。
トマトのおいしさを堪能するパスタ。
これにアンチョビのこま切れを入れたり、
炒めたベーコンを入れたり、
オリーブオイルにニンニクのにおいを付けたり、
というバージョンもあります。
でも、シンプルトマトが一番おいしいです。
疲れた時にどうぞ。
編集後記
梅雨に負けて、鬱々しています。でも、お客様にお会いすると元気100倍になります。ありがたいことだなと思います。ちょっと水泳とかランニングから離れていますが、だんだん運動にも戻っていきたいです。そして、絵を描くぞーと最近は思っています。
(初出:2019.7.6)